morufaさんの「ピュアソングガーデン!」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

近年の作品の中で一番ご都合主義な展開はある意味必見
前々作、『ココロ@ファンクショ』を彷彿とさせる近未来設定を扱ったPULLTOP最新作。




タグは近未来、学園、部活、タイムトラベルとお馴染みのチョイスに、メインヒロインの一人がラブドールという
結構マニアックな嗜好タグも完備しているのが特徴。


プロット構成としては各ヒロイン毎に彫りさげを行わないごっちゃまぜタイプの共通と、1.2回で簡易分岐する
個別とに分かれている。

今作の目玉としてはやはりPULLTOPでは初?のE-Moteを使ったイキイキとしたヒロインたちの存在だろう。
セリフに合わせた表情の変化はもちろん、話し相手に向ける視線や話しかけられた際にしっかりとそちらへ
顔や視線がしっかりと動く点は見ている上でも非常に安心感を提供してくれていた。

特に明日歌の表情差分はどれもしっかりと場面や発言内容とあっており、元来のかわいさをより引き立たせる
素晴らしいセッティングであったが、一方で律はその真逆で、どの場面でも喜怒哀楽の基礎的な表情しか
表現しきれていなかった点はもったいなく感じた。




しかしながら今作の良し悪しを列挙していく場合、悪い点の方が多く上がってきてしまうのも事実。

まずテキストについてたが、地の文や各キャラクターの台詞回しなども全て含め、非常に「幼さを」感じる
部分が多く見受けられた。

それはある意味登場人物たちが学生であるという部分ではリアルな表現なのかもしれないが、
地の文で端々から感じる

「うまい表現をしようとして失敗している」

という感じが読んでいるとビシビシ伝わってくるのだ。

特に主人公である奏多の音楽に対して線を引いているという設定周りにおけるテキストが
読んでいると非常に気持ちが悪い。大して重いトラウマや経験ではないはずなのに妙に重く受け止めている
ような様子で描かれている上に、そのくせ音楽関連の世界からは離れようとしないブレブレの姿勢が
読み手をこれでもかとイラつかせてくる。

またこの設定の煽りをもろに受ける形となった玖音も非常に不愉快なヒロインとして描かれてしまっている。
主人公の事情に明るいということで妙な気遣いを見せ続け、一部キャラに対する「○○たん」呼び、
律に対する態度の一貫性の無さ、全体的な言動の一貫性の無さ、ビジュアル面でも一枚絵と立ち絵の
乖離がひどく、一番目に映ることになる立ち絵時の劣化が酷いなど、上げていけばキリがない。



ただ多くのレビュワーが一番不満に感じている点は、恐らく鳥肌が立つほどのご都合主義展開なのではないだろうか。

冒頭でも書いたとおり、今作はここ数年の作品の中で恐らく一番「ご都合主義」という要素を正しく表現した
内容であった。

作中において何か行動を起す際の指針となっていた未来予測システムがはじき出す

「○○となる可能性、4%」

といった数値結果が全くもって意味をなしておらず、成功率が99%だろうが失敗するし、1%だろうが成功する。
特にメインシナリオとなるいろはルートがもう目も当てられない。

「数千単位の人のサーバーアクセスを全員歌を一緒に歌わせることで阻止する」
「数千単位の人にその日起こった出来事の情報封鎖を口約束で約束させ根拠もなく達成されたことにしている」
「トゥルーエンドで存在を秘匿され未来へと帰っていったいろはが1年後帰ってくる」

と、列挙している間に頭を掻き毟りたくなるほどのご都合主義展開が目白押しとなっている。

単純なご都合主義なら今作でなくても大なり小なり、あちらこちらで見受けられるし、ハッピーエンドが
ほぼ大多数に受け入れられる昨今の流れに合わせてそれ自体は私自身も何も不満は無いのだが、
今作のご都合主義はそれに合わせて兎に角気持ちが悪いのだ。

いっそ魔法の力で解決や未知の力に目覚めて解決してくれた方がまだマシで、今作の場合解決手段が
「人の善意」や「超低確率」というある程度理解が及ぶ要素が残されている分伴う理不尽感が半端無いのだ。
その上起こった奇跡を台無しにするような展開を持ってきたり、今これを書いている段階でも思い出して
イライラしそうになるほど。




最後に総評となるが、ここ最近のPULLTOPの作品傾向は正直私好みではなくなってきてしまっているという
私的趣向を抜きにしても、決していい評価は与えられないという内容であった。

それでもあえていい点を述べるのであれば、「豪華だった」という一点に尽きるだろう。
日本全国あらゆる産地から厳選された食材を取り寄せたのに結局出来上がったのはTKG。
使った食材はE-Moteという名の高級卵と、豊富なゲームソングという名のあらゆる手間を掛けて醸造された
一番絞り醤油。しめて9800円になります。



別にテーマが悪いわけでもなく、寧ろ近未来のテーマは取り扱い作品はそう多くは無く全体的に見ても
まだまだ開拓できる余地が多く残されているし、E-Moteは平面世界におけるキャラの魅力限界を大幅に
拡充させることが出来る素晴らしい技術だ。

たがしかし、シナリオゲーではないという免罪符を翳せる最低ラインはここ数年で間違いなく上がってきていて、
PULLTOPやクロシェット、ALcotにSAGA PLANETSなどの大手も最近このラインに引っかかり始めている。
厳密に言えばプロット構成力とキャラの魅力を如何に描写出来るかは似ているようでまったく別種の
技術なのだが、ストーリーがキャラの魅力を損なわせるという現象は往々にして発生するため無視は出来ない。


次回作を期待している、と希望を持っていいづらくなってしまったことが何より残念だ。

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