amaginoboruさんの「あなたに恋する恋愛ルセット」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

「イチャラブだけを見せます」のコンセプトどおり、不要なパーツが排されています、ただののか以外のルートは本当に排斥しただけで、取り除いてできたスペースを使った工夫が一切見られません。よりイチャラブを楽しませようと取り組む姿勢を、作品から見出すことができませんでした。
製菓の道を志す(意訳)主人公が仲間のおにゃのことラブラブになるお話です。
コンセプトどおりの内容で、不快な展開やシリアスのない個別ルートばかり。
イチャラブだけを楽しめる作りです。グラや彩色も大事なシーンでは気合が入って
いて、視覚面でも楽しませてくれます。

一方で不快要素を極力オミットしたことで、各個別の流れが画一化されているのも
また事実です。「告白→すぐエッチ→いちゃエッチ*3」の流れに「あーん」シチュ、
デート先とその大半がバッティング。イチャラブの中身にこそ差異はあるものの
結局はイチャラブに変わりないわけで。似たような展開を幾度となく味わうことに
なります。

またののかを除いた3人は共通と個別がお話的に繋がっていません。プロローグと
初授業から個別に入っても面白さには一切影響しません。共通は5時間ほどとかなりの
ボリュームなのに、発展が一切ないわけです。イチャラブを邪魔しないよう無難な
授業パートとしたのでしょうか。

このような内容ですので、イチャラブスキーにしても読み手は限定されます。読みきり
エロコミックやロープラ抜きゲーのような、イチャつくシーンだけを見せる作品が
好みの方にはオススメです。逆にオススメできないのが、複数話にまたがる物語や
共通ルートから登場人物のキャラを積み重ねていくタイプをお求めの方。要回避です。

ならイチャ特化のロープラゲーやれよって話ですが、スイーツから連想される甘く
柔らかな空気はロープラではなかなか見当たりません。あったとしてもシリアスが
挿しこまれることも少なくないですし。その作風とイチャロープラ複数本を
パッケージングした商品、と考えれば需要に理解が及ぶのではないでしょうか。

唯一の例外として、ののかルートだけは共通と個別で物語の繋がった、お話としても
楽しめるクオリティです。製菓・恋愛・ヒロインがバランスよくピックアップされて
いて、話の抑揚が丁寧につけられています。結果イチャラブに深みが出てのめりこめ
ました。当該ルートだけは名作キャラゲーに遜色劣らない内容でした。



以下、過程重視のイチャラブスキーによる愚痴と指摘。ネタバレありです。











守りの姿勢自体は悪いことではないと思うんです。実際問題、甘イチャからの無粋で
無用なシリアスには私も閉口させられたことありますし。ユーザの求める要素だけを
楽しんでもらおうとするコンセプト自体は評価に値します。

だからといって、イチャラブ以外を疎かにして良いわけではありません。相手を知り
過程を辿れるからこそ、エロゲのイチャラブはユニークに映えるのですから。ののか
以外の3ルートはその努力を怠っています。

具体的には、まず共通パートがただの添え物と化しています。ルート選択こそ用意
されていますが、その内実は本当にルートを選ぶだけの薄味なもの。共通部分も製菓
コースの結束を深める的な内容で、全個別ルートに影響を与えていません。だから
前半がスカスカに感じる。共通自体を面白くする、あるいは個別をより面白くしよう
とする意思が見受けられません。

そこへいくとののかルートは(結束イベントはさておき)製菓のシーンは後々の個別に
大きな影響を与えています。主人公に作る喜びと食べてもらう喜びを体験させることで、
1つ先のステップであるコンテスト用製菓の話についていけるよう配慮されています。
ののかの「食べる人の顔を見ずに作るお菓子」の話を僅かながらも実感できるわけです。
(幼少期の思い出やののかのパーソナルにも影響しているのはいうまでもありません。)

同じような流れを他3人にも設けるべきでした。柚姫なら製菓の頑張りシーンは
そのままに、自分へに対する厳しさを他社には求めない優しさを見せるとか。楓花なら
カステラのエピソードは共通で見せた方がよさそう。個性を早くに掘り下げることで
ヒロインに長く愛着を抱けます。美絵瑠は家族ネタも良いですが、サボり癖ネタを
よりコミカルに向けても面白そうです。

代わりにお泊まりや学祭のエピソードはオミット。だってあれら、作品に何の厚みも
与えていませんから。ののかの共通エピソードとして学祭ネタを仕込めば十分です。
各個別の導入も無理にペア分けすることはありませんし、ののかを全ルートで大会に
出す必要もありません。ワンパターンにせず各個別の妙味を引き出す工夫はいくら
でもあります。

そうすることで柚姫のトライ&エラー魂や楓花の静的な熱愛、美絵瑠の家族愛がより
深みを増したでしょうし、結果としてイチャラブもより映えたはずです。しかし現実は
3人とも共通ではほとんど進歩なく、個別も似たような流れで画一的。イチャラブの
シーンがただあるだけでした。

ののかルートは「食べる楽しさ」「食べてもらう喜び」を共通時点で見せ、同時に
「最初に食べて貰って嬉しかった人」を主人公とすることで各エピソードを線で
繋いでいます。そうやって2人の関係を深める過程が楽しめるよう、他ルートでも
見せて欲しかったのです。


イチャラブエロだけを見せたいなら、何もフルプラエロゲである必要はないんです。
エロCG集の方が絵は同じぐらい綺麗で安く楽しめますし、エロゲの体を取りたいなら
ロープラの方が属性を狙い打ちできます。何よりどちらも、無用で冗長な共通パートを
見なくて済むんです。わざわざ高いものを買う必要がありません。

それでもフルプラエロゲを手に取るのは、共通パートでヒロインや主人公をより深く
知ることができるからじゃないですか。コミックや小説でも可能ですが、CGグラや
BGM,ボイスと多面的に楽しめるのはエロゲだけです。総合力がウリの媒体で総合力を
捨てたら、それは他メディアの劣化品です。捨てるなら捨てるで代替品の用意は
マストです。しかし本作は何も用意していませんでした。

以上。フルプラエロゲの長所という最重要パーツを「イチャラブだけを楽しませる」
という守りのために捨ててしまった作品。それが『あなたに恋する恋愛ルセット』です。
捨てなくともコンセプトは守り通せたはず。その道を考慮せず型にはめこんで満足して
しまったのが本作最大の失点ですね。フルプライス作品として出す意味を、今一度
考えていただきたく思います。

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