nezumoさんの「セルフレ -セルフフレンド-」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

亜衣√と伊緒√における主人公との距離感について
ジャンル的には多分抜きゲーなので、それは勿論唐突な状況でエロシーンが入ったりなどはするけれども、
その中でもセフレという関係を築いている亜衣√と伊緒√について書いてみたい。

個人的にこの2人と主人公との関係で気になったのが、セフレという距離感をどう捉えているのかという問題である。
結論から言うと、亜衣はどちらかというと普通じゃなくて、伊緒は普通の恋愛の延長線上になっていると思う。
ここで言う亜衣の普通じゃないというのは、恋愛絡みではなかったという意味で。


亜衣というキャラクターは八方美人で、何を考えているか分からないし、自分から自分のことをあまり話したがらない。
他人とは基本的に作り物の人格で接して、流行りものなどを積極的に摂取し、周囲よりも知っているという優越感に浸る。
ただ、そもそもその何を考えているか分からないという部分は、主人公が作り出してしまった状況でもある。
お互いに身体だけを重ね合うという関係を続けていく中で、お互いにその先のプライベートに踏み込もうとしない。
お互いの身体のことをよく知り、定期的に身体を重ねながらも、お互いのことをよく知らないのである。

亜衣が主人公に近づいたのは、この人となら気を遣わずに楽に過ごせると自分が判断したからで、
おそらく身体を重ねることに対しても、元からそれほど抵抗はなかったのかもしれない。
営業スマイルといわんばかりの対応を周囲に振りまいて生活している亜衣が、主人公と過ごしている時だけは自然体でいることができる。
友達の数や関係の深い浅いではなく、主人公の隣という場所を純粋に自分の家のような場所として考えている。

亜衣が家出をした原因は、「一人になってよく考えてみたかったから」「今までの環境で流されているだけの楽をしたくなかったから」
つまりこのタイミングで初めて亜衣は恋らしきものを自分の中に認識して、それまでは完全にセフレという認識を本人も持っていたと言える。

この認識は主人公の方も同じで、詳しくは伊緒√の一場面を切り取ってみるとよく分かる。
亜衣はいわば所有物のような感覚で接していて、亜衣も同じように主人公と接していた。
主人公が伊緒とくっつきそうだという状況は、今まで大切にしてきたオモチャを取られてしまったようなものだと2人は形容する。
都合よく関係を切ってもらうための取ってつけたような理由だと言われればそれまでだが、
結局2人はあれだけの時間と経験を重ねてようがどちらか片方でさえもセフレ以上の関係に踏み込めなかったのであり、
お互いにそれ以上の関係など最初から想定していなくて、だから今までの積み重ねにモヤモヤしつつも割り切ることはできたのだと思う。

撮影という観点で見ると、主人公の撮る写真にはその人の感情が上手く反映されるらしいが、
亜衣の場合、これの移り変わりが、

無感情(人形みたい)→少し悲しげな嬉しい感情→嬉しい感情

と変化していて、セフレ時代に主人公に撮られていた時には恋愛感情が欠片もなかったことがある程度事実として伺えるし、
その後亜衣が自分の恋に悩んでいたことも、その後付き合い始めてから表情が一気に良くなったことも納得できる。

主人公と亜衣の2人に関しては、セフレという関係が、少なくともこの2人はお互いに楽に求め合えると考えている関係であり、
お互いにプライベートに踏み込まないことで余計なことを考える必要がない。
最終的にはお互いに自覚して恋愛へ向かっていくが、途中までは確実に身体だけの関係だったと言えると思う。


伊緒の場合は状況が真逆になっている。セフレという距離感がもはやセフレになっていない。
伊緒√の最後に明かされるが、そもそも伊緒は盗撮をしていた時点から主人公に恋をしているので、
登場人物として現れた時点で主人公に対するフラグが立っているようなものだ。
ただこの事実は伊緒√終盤まで本当に明かされないので、テキストを振り返ってみて「そうかもしれない」と感じられる程度のことではある。

最初、亜衣と主人公がキスをしている写真を盗撮して、それをばら撒かれたくないがために主人公は弱みを握られる形になったが、
もしかすると伊緒自身が主人公と少しでも行動を共にしたくて、パパラッチ?という自分と同じような役割に加担させたのかもしれない。
こう考えると、伊緒は最初から一貫して自分の恋愛のために行動しているようにも見えてくる。

スズメの巣を観察しに行った後、伊緒の強がりから成り行きで抱かれて実質セフレのような関係として認定されるが、
主人公はそういう認識であるのにも関わらず、伊緒自身は明確な恋心を持っている。
伊緒にとって、最初に抱かれた時点から既に身体を重ねることが一種の幸せのようなものになっていて、
それがシナリオを進めていく中で恋人としての行為に変わっていくだけに過ぎない。
主人公視点ではセフレから恋人に変わっていく距離感の取り方の違いが描かれるが、伊緒自身は最初から既にすり寄ってきているのである。

写真を撮られるという観点から見ても、亜衣のような特殊な表情を挟むことなく、一貫して良い方向に進んでいるように思える。

主人公と伊緒の2人に関しては、セフレという関係が、主人公が恋愛を自覚するまでに伊緒が主人公を繋ぎ留めておくための関係になっている。
セフレという関係で主人公と繋がっておくことで、そのまんま恋愛へと移行できる可能性を秘めている…かもしれない。


一般的にどう考えられているかはともかく、身体を重ねるだけの関係というのはこの作品では余計なことを考えなくていい楽なものとして使用されている。
しかし、楽な関係でありながら身体の繋がりはあるわけで、そう考えると楽に切れるようで実はついて回るような不思議な力を秘めてたりもする。
どう物語に生かされているかというのがまた面白くて、恋愛行きになるものもあればそうでないものもあるし、それこそ種類にすれば山のようにある。

つまり何が言いたいかと言うと、セフレという距離感が自分は結構好きで、立ち止まって考えてみると意外と面白いなあと素直に感じた。
値段を考えると本当に短いけど、テキストも面白いし、エロシーンまでの流れとか結構自然?だし、
もし次回があるなら、似たような路線のシナリオを見てみたいです。あと絵は全体的にかなり好き。

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