gggrrrさんの「リズベルルの魔 3+4」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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ほんとうの物語シリーズ2弾。今回は大きな脅威に立ち向かう話ではなく、人々の心理情景に重きを置いた話。
前回の1章・2章が門の儀式、黒水球という都市を襲う脅威に立ち向かう話でしたが、今回の3章と4章はより個人の心理描写に重きを置いた話です。水面下ではなにやら話が動き、正体不明の怪人物の影がちらつき始めたりしますが、表面として目立った進展はありません。


3章 黒き禍の予言

 主人公は悲劇の少女プランシューネ。2章の舞台であるフェアルージュの危機を救ったリズベルル一行が、その足のまま休暇に入り、リゾート地として名高い街メルディーノに観光旅行に行くことから始まります。フェアルージュの剣守となったネムリーも、最後の羽目を外す機会と周囲の押されて旅行に参加。そしてメルディーノで有名な芸術家ジルハワードの娘であるプランシューネと出会い、年代の近いリズベルル、ネムリー、プランシューネはすぐに仲良くなります。そして十年来の親友のように意気投合した3人はリゾート地で少女らしく楽しくはしゃいで楽しんでいたのですが……

 実は、プランシューネはリズベルル一行と出会う以前に黒水の災害で死亡しており、父のジルハワードの技術と偶然によって、黒水を飲むことによって存在していた、一種の動く屍となっていたのでした。そしてプランシューネ自身にはその自覚はありません。

 黒水は、異なる次元での「潰えた可能性」ですので、それを体内に宿しているプランシューネは、徐々に「どこかの世界で潰えてしまったプランシューネ」と入れ替わっていきます。この「異なるプランシューネ」はすでに半分以上自分になっていると言っているので、そのままではそう遠くないうちに、「この世界のプランシューネ」はいなくなってしまうのでしょう。プランシューネは最近体が思うように動かないと感じていましたが、それは異なる自分に体が乗っ取られていたためです。そして父ジルハワードと、密かに彼女が慕っているメルディーノの剣守ディランとの会話によって、自分がすでに死者であることを知り、ディランの手で眠りにつくことを望みます。そして大事な友人となったリズベルルとネムリーには、自分の死はしばらく伏せ、彼女たちの中で自分と過ごした日々が想い出となるころに明かしてほしい、しばらくはプランシューネの名前で彼女たちに手紙を出してくれと父に頼みます。ジルハワードとディランをそれを了承し、プランシューネの魂は美しいメルディーノの湖へと融けていく…… 

というのが3章の内容です。

この3章はプランシューネという少女の恋心や父を思う愛情、父ジルハワードの娘に対する限りない愛、剣守ディランの少女を守れなかったという罪悪感など、心情描写がメインとなっています。この数年後の7章にて、プランシューネの死はジルハワードの口からリズベルルたちに語られますが、リズベルルとネムリーはショックを受けながらも、同時に納得したところもありました。自分たちは少女から大人の女性に変わろうとしているのに、手紙の中のプランシューネはいつも出会った14歳のころのままなのですから、その違和感は徐々に大きくなっていました。それも当然で、プランシューネに扮して手紙を書いていた父ジルハワードのなかのプランシューネは、14歳のままで止まっているのです。「今娘がいれば何を思っていたのか、こういう時娘なら何と言うだろうか」など、娘を深く愛し理解者であったジルハワードには、プランシューネの思考や行動をある程度トレースできたでしょう。しかしやはりそれは、14歳のプランシューネなのです。プランシューネと出会い友達となったころの14歳のリズベルルの考えることと、様々な経験を経て17歳になったリズベルルの考えることでは差が出ます。ですがプランシューネだけは変わらないまま。このことに、特にネムリーは疑問を持っていました。ですが、それは真相を知った二人の心を痛みをやらわげることにはなりませんでした。ですが、2人はプランシューネの願いの通りに、彼女のことを「良い思い出」として心に刻み、前を向いて生きていくことができるまでに成長してくれていました。

しかし、剣守のディランは割り切ることが出来ず、プランシューネを守ることができなかった自分を責め続けます。皮肉なことに、死ぬ前のプランシューネは「知人の娘」程度の認識でしかなかったのに、死んでからの彼女は常にディランの心から消えることのない存在になったのです。その自責の念は7章での厄災である「虚無」との戦いで爆発し、普段冷静沈着な彼が、自暴自棄のような戦いを繰り広げ、命の危機に陥ります。

そんな彼を救うことができたのは、彼の心の檻であったプランシューネだけでした。

7章のネタバレになってしまいますが、この厄災「虚無」は、潰えた「世界」の可能性が襲ってくるという未曾有のものですが、それは規模が途方もなく大きいだけで、本質的には黒水の襲来と変わりません。そして、プランシューネの命を奪い、彼女の体内を循環していたがゆえに、黒水はすでに彼女の何割かを飲み込んでいました。入れ替わられていたということは、「この世界のプランシューネ」の一部は黒水の中にあったということです。そして黒水の中にあったプランシューネの魂が、ほんのわずかな時間だけ形を得て、ディランを助けに現れたのです。記憶の中の姿と変わらぬプランシューネを見て、その感謝の言葉と励ましを受けたディランもまた、ようやく自責から解放され、未来へ歩むことができたのです。

ジルハワードの描写も秀逸です。あまり口数が多い人物ではありませんが、娘に対する無償の愛が伝わるシーンが多いです。どんな姿になっても娘に生きていて欲しいと行動した彼を、責めるのは余りにも酷でしょう。失くした娘を想いながら手紙を書く彼の姿を想像すると、胸が締め付けられる気持ちになります。彼の「最高傑作」は生涯あの作品から変わることはないのでしょうね


プランシューネは、作中の人物の中で唯一死亡するキャラクターなので、メルディーノ関連の話はじんわりとくるものが多いです。死にゆく少女の願い、娘を想う父の愛とそれを失った悲嘆、少女を守れなかった男の苦悩など、物哀しい切ない描写が多い、シリーズを通しても印象に残る章でした。

最後の3人で写真を撮るシーンは作中屈指の場面ですね。




4章 竜の試練

4章はやや閑話的な話。主人公はアルバトリスの街の剣守の息子であるフィオルド。リズベルルと同年代の少年で、このエンダージェンのどこかにある「竜の試練」を求めてシェラダンへやってきました。

この4章は3章とは打って変わって、腕白で生意気盛りの少年であるフィオとジンのやや凸凹に見えて似た者同士な感じのやりとりや、歴戦の戦士である老騎士アルベルに憧れるフィオの姿、同年代の少年がリズベルルのそばにいることで心穏やかじゃないノルアードの葛藤などの、コミカルよりな日常シーンで占められています。

その間に、リズベルルと接触した怪しい蒐集家エイフォンの存在や、12都市それぞれにある「剣の試練」、それとは異なる「竜の試練」の内容が少しだけ明らかになり、この章の最後にジンとフィオを「竜の試練」に挑み失敗します。けれどフィオは師匠となったアルベル、友人となったジンなどとの交流を得て、男として一歩成長します。年頃の少年らしく父への反発心が強かった彼ですが、アルベルの口からかつて自分と同じ魔剣を持って試練に挑んだ少年がいたことを教えられ、父への見方をいきます。

 最後はフィオの家に代々受け継がれてきた魔剣の中に眠る、弦奏鎧バルハードがフィオの成長を証明するように顕れ、そして彼に頷いたあと消えていきます。

3章が娘と父の話でしたが、4章は息子と父の話。娘に対する父親というのはやはり甘くなるものですが、息子に対する姿勢は、背中を見せて生き様を語るというのがやはりカッコイイ。フィオの父親のオーランドは7章で出てきますが、厳格で己の中の確たる正義を持つことを信条とした、偉大な剣主でした。また、7章でフィオは再登場するのですが、なかなか立派な青年に成長し、カッコイイ姿を見せてくれます。



1章では名実ともに主人公であったジンですが、2章以降はメインキャラクターでありながら、それぞれの章の主人公たちをサポートする役割に回ってます。彼は「俺ももう若くないんだよ…」と自嘲するシーンが何回か見られるので、やはり28~9歳なんでしょうかね。少なくともノルアードよりいくらか年上に見えます。

恋愛面では、リズベルルとノルアードの両想いながら、互いに言い出せず進展が難しい状況。どちらかが言い出せばあっという間に結ばれそうですが、未だ機は熟さずといったところ。この2人以外では4章段階で目立ったフラグはありません。シェラダンの騎士で、ジンの同僚のユフィーユがジンに脈アリという風なのを匂わせるくらいですね。

物語全体の進展では、ジンたちの周囲より、ジンの親友でシズマが単独で探索してるシーンが多いです。王の使者の役割を持ってる彼は、他のキャラよりエンダージェンのシステムに触れているため、彼にしかわからないものも多いためでしょう。ある意味主人公より主人公的な行動を取ってます、その割にコミカルなシーンも多かったところが、彼の魅力ですね。

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