nezumoさんの「キミトユメミシ」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

全体を通して勢いありきの作品。バカなことしてるの見て笑ったり、かと思えば泣けてきたり、もれなく色々詰まっているけど、感情移入したり伏線回収を楽しむというよりかは、登場人物の外側から作品の雰囲気を楽しむという感覚に近い。重すぎるエンジンが唯一のネック。
始める前もよく分からなかったけど、終わってみてもやっぱりよく分からないジャンル不定の作品。
けれど全体的な完成度は高くて、尺は個別は特に短く感じたけれど、終わってみるとなんだかとても好きだった。
ライターのセンスがいいのか、様々な方向から勢いのあるネタで押し切ろうとしてくる。
かと思えば個別√に入るとちょっとしんみりした感じになって、なんか綺麗にまとめてあるし自分好みの展開でちょっと泣いてたりもする。
評判が良いから~でやるような作品でもないけれど、求めるものがちゃんと割り切れていたら楽しめると思う。


シナリオ

共通√は最初から勢いで押してくる。
そもそも登場人物自体愉快な仲間しかいないが、特に由衣や時雨なんかはその筆頭で、この人たちは下ネタに全力を注いでくる。
このあたりは体験版をちょっと触れば雰囲気は分かるし、テキストの合う合わないは見極めやすいけれども、
特に感じたのは、好みはあれどこの作品の下ネタには勢いがあって、テキストの読みやすさに拍車をかけている気がする。
モモケンなんかもサブの男キャラとして凄く良い子だし、他の女の子たちも会話を見ていて楽しい。
まるで学生生活に戻ったような気分になれる、って言うと青春ゲー全般に言えそうだが、
この作品はどちらかというと仲間と一緒に何かを作り上げるのを楽しむ青春という感じで、
仲間と一緒に楽しそうな学生生活を堪能するっていうのは、なんだかんだで一部の作品でしか味わえない面白さだと思う。

夢の内容についてはどのヒロインも普通に考えて(良い意味で)酷い。
だからじゃないけど、ギャップを味わうというよりかは、夢の内容はどちらかというとエロというよりかは笑いどころになっている。
まあ大人しそうな人が夢の中ではSになったり、そういう素振りを普段は見せないのに夢の中では脱ぎまくったり、ギャップを楽しめるって意味では正しいのかもしれない。
自分は好きですけどね、こういう「夢の中だからなんでもやって良いだろう」みたいなノリで書かれたテキスト。
やりたいことをやってるんだろうなというのは伝わってくる。勢いがあるってのはやっぱり楽しそうだから。

個別に入ると急にこの雰囲気が一転して、下ネタが控えめになって、性癖の話とかも殆どなくなって、真面目にヒロインの問題と向き合うようになる。
時雨なんかはキャラがキャラなのでノリも結構そのまんまだが、やってることはすごく真面目な内容になっている。
だが、長さがあんまりないせいか、心情描写などそこまで繊細じゃないので、単純に読み物としての恋愛に近いと思った。
シリアスの内容自体は全然悪くないし、締めも全体的に綺麗で後味が良いので問題はないけれど、
面白さのベクトルが真逆と言っていいほど違うので、求めていたものと違うものを見せられて切り替えが効かなくなる可能性はある。

少しずつ言いたいことがあるので、順番に個別の内容について書きたい。
自分の好きな順は 時雨>七ノ羽>由衣1>由衣2>真里奈
どれが特別悪いとかではないので誤差レベルです。

真里奈√

お家に刃向って音楽の道を目指そう!っていう典型的なお嬢様系シナリオ。
けど単に両親の意志に背くんじゃなくて、ちゃんと努力した上で先生も認めてくれた上でやっていることだし、
最終的にはその才能も認められるから、娘がうるさいからしぶしぶ認めてあげましたみたいな後味の悪さは残らない。

よく分からない所で終わる結末の絶妙な後味が割と好きだった。
勝手にエピローグを想像すると、普通なら「今や世界中でピアニストとして活躍している俺の彼女~」みたいなミニシナリオがありそうなものだが、
父親に認められたところで終わる上、それが初めて出るコンクールで結果も出せていないので、「家族のためのシナリオ」って感じがして。
ピアニストとして上を目指すんじゃなくて、あくまでも個人レベルの家族の話として綺麗にまとめているところに好感が持てる。

時雨√

私が変わればみんなも変わる!精神でひたすらバレーボールに打ち込む真面目な時雨さんのお話。
真面目な話前半~中盤のバレーが上手い(らしい)先輩は相応に不快だったが、結末で全部ひっくり返してくれたので大好きになった。
途中までオドオドするだけだったセッターの子が成長する姿もそうだけど、やはりチームプレイが完成していくのは見ていてどんどん熱くなる。
時雨は鳥肌が立つような拾い方をするし、「チームのために全力を尽くす」っていう魅せ方が非常に上手かった。
結末もさっきも言ったかもしれないけど、チームとしての初勝利を収めて私たちのバレーはこれからだってところで終わるのが後味が良い。
この後勝つか負けるかなんて分からない(多分負けてそう)けど、チームとしてようやくまとまったってのがポイントだから、これでいいんだよ。

歌詞がめちゃくちゃな最強の挿入歌「時雨dictionary」については、プレイした後に聞くと本編と所々リンクしていて鳥肌が立つ。
「何があっても時雨がフォローする!」ってめちゃくちゃかっこよくないですか?
あとBメロからサビにかけてのいかにも「ラップ部分の歌詞の主題を上手くまとめてみました!」って感じの歌詞とメロディが好き。
……聞いてるうちに異常なまでに癖になりますねこれ。みんなで食べようウーメーボーシー!

七ノ羽√

共通から妙に出てくる本屋に来る謎の人物の目的に迫る話。
何者かと思えば実は七ノ羽の父親が昔出してた本の編集者で、また本を書いてほしいというもの。
けど七ノ羽の父親は家族を大切にしたいという想いから筆をおくことを決めていた。それに対する形で七ノ羽は文章を書き始める。
家族のすれ違いからの和解ネタは鉄板だけど、何度見てもこの手の話は好き。
まあ自分がこれを好きかどうかはおいといて、最後に本を持ってきて父親に押し付けるシーンが万引きになってないか気になった。みんな気になってそう。

この√でも七ノ羽が小説家としてデビューした後の話などは全くない。
父親はまた筆を取るし、そこで七ノ羽も一緒にデビューする。小説家としてのデビューじゃなくて、家族との和解がメイン。

由衣√

由衣と恋愛するだけじゃなくて、みことの謎にも迫っていく。
共通で謎だった部分の申し訳程度の種明かしはあるものの、おまけ程度なので伏線回収と言えるようなレベルではないと思う。

由衣√1では由衣の心と向き合う。
みことに囚われて夢の中にずっといたいって言い出す由衣を夢の中から引きずり出す。
みことがあの後どうなったかを描写しないあたりが由衣√だと思った。
話としてはかなり好きな部類で、離別エンドの類に入ると思う。エンド1がノーマルでエンド2で救いをもたらすみたいなよくある構図です。

由衣√2では、1よりもみことと向き合う部分が多くなる。
1では夢の中に取り残されたみことを現実に救い出すのが目的なので、どちらかというと作品としてのハッピーエンドと言うべきなのだろうか。
由衣がプレハブ小屋とお別れするシーンも含めて、由衣が今まで求めてきたものとの決着をつけるようなシナリオになっている。
みことちゃんは大好きなヒロインだけど、まとめ方は存外あっさりしてるなと感じたし、由衣√1に比べると物足りなさが残った。
普通はこっちを見れば後味良く終われるのかもしれないが、いかんせん原因が単純だったりする上、由衣√としては1の方で完結してるので、
作品としては必要な内容だが、感じ方としてはおまけ程度かなと。

みこと√

自分みたいなみことちゃん(CVあじ秋刀魚)目当てに買ったようなユーザーに向けた最高のおまけ。
最低の教授が最低の導入をキメてくれるのが印象的だが、みこと目的だった自分には些細な問題でしたね。
タイムリープとかそんな能力ないけど、エロゲだからなんでもありでしょ精神で過去に戻って颯爽とみことちゃんを助けてしまう。
あとはそのまま適当に恋愛して終わりだが、普通に考えたらみこと√は作りようがないので、素晴らしいサプライズだなと思った。
いやもうなんというかどんな超次元設定だろうがみことちゃんと恋愛できたのが本当に満足。ユメトモで終わらなくて本当に良かった。

人気投票でみことちゃんが最下位なのが納得いきません。


システム

エンジンがとにかく重い。画質を下げたり色々試してみたがやっぱり重いので根本的な問題なのかな。
コンフィグは一通り揃ってて全然不便に感じないし全く問題はないのだが、
とにかく重いエンジンが特に場面の切り替わりのタイミングではクリックしてから表示されるまでにかなりのラグがある。
やり方によっては文章が2,3個飛ぶので若干ストレスが溜まってしまった。
先述したようにテキストのテンポは良いのだが、ここで大きく足を引っ張っているのが残念。
あんまり他のブランドの作品と比較したくはないけれど、場所によっては凍京ネクロよりも反応が悪かったので参考までに。


絵やエロシーンなど

絵は全体的に安定している。画風的には七ノ羽ちゃんとかみことちゃんみたいなキャラクターが映えると思った。
あと時雨はおっぱいがとてもおおきい。普段は貧乳の方が好きだけど時雨のグラは個人的にかなり好きです。
なにかとニッチなCGが多いが、性癖に合致するかどうかはともかく少なくともネタとしては見られるのでそこが素晴らしい。

非常にどうでもいい話だけど、おしっこシーンが好きなので主人公のおしっこを時雨の体にぶっかけるシーンがあって最高に興奮した。
七ノ羽ちゃんは個別に入るなり急に普通のガールフレンドっぽさが増すので、もっと夢の中みたいに積極的に主人公のことをいじめていただきたかったです。


楽曲

時雨dictionaryが頭一つ抜けて好きだが、キミトユメミシも普通に名曲だし、個別もひとりひとり用意されてるし完成度が高い。
というか本編での謎の夢の内容を生かすためだけに時雨dictionary作っちゃうのが凄い。
あの歌詞もライターが書いてるので、類を見ない特有の下ネタ勢いはやっぱりセンスがあるなと感じた。
ボーカルソングをヒロインひとりひとりに割り振るってのは名前の通ったブランドしかやらないイメージがあったので素直に嬉しい。
しかも初回版のサントラには全部ついてくるし文句なしの満足度。
余談ですが、小高光太郎の曲ってyuikoが歌ってもどことなくceuiっぽい感じがした。
ゆいこさん大好きだから、このブランドが次回作出すならまたなんか歌ってほしいな。


総評

笑いや泣き、青春など、あらゆるものが詰まった、混沌としつつもなにかと素晴らしい作品。
勢いはかなりあるし、テキストのセンスも感じる。ライターさんはテキストを書くことをかなり楽しんでるイメージ。

ただ色々なものを詰め込んだが故に心情描写の繊細さなどはなく、感情移入には向いてないと思う。
だからこそ外側からシナリオを眺めつつ、いかにも今自分はエロゲーをプレイしています、って感覚を味わうのが良いかなと。
おかげでずっと心に残り続けるという感じではないのかもしれない。でもプレイしてる最中は間違いなく楽しい。
後を引くようなタイプではないしシリアスも軽いし、間違いなく後を引かないような作品なので、そういうのを求めている人には結構合うかも。

悪く言えば詰め込み過ぎだったり、体験版で期待したものが個別で出てこなかったりなど色々あるのだが、少なくとも自分には気にならなかった。
となると何度も繰り返すが動作の重さだけが非常に心残り。終わってしまった今だと当たり前だけどどうでもよかったかのような錯覚に陥るけど。

最後にタイトルの「キミトユメミシ」について。
主人公がキミトであること、舞台が夢見市であることなども踏まえると、
変換次第でどうとでもかかる中々に捻ったタイトルだと思う。舞台なんかは後付かもしれないけどね。


……なんでもいいから次回作をください。センスが気に入ってしまったので次回作も期待してます。

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい1162回くらい参照されています。