BEM2さんの「夢の坂(再編集版)」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

色々な意味で異色の名作
「動かないゲーム」と言われたゲームが15年近く経てから起動方法が知られ、その後にファンによってリメイクされた、というだけでも相当に異色なのに、それだけで終わらずにゲーム内容・舞台設定・シナリオも相当に異色といえる作品。敵対勢力の攻撃手段や、人間にとっての脅威となる存在が一つじゃなかったとか、最初は全く予想もしなかった裏がある。「夢」が攻撃手段とは思わないでしょうね、普通は・・・。
「夢」が「攻撃手段」と気が付いたときには完全に手遅れで、主人公達は逃げられなくなってる。
最初は「共通の夢」を皆が見始めて、「あれ?変だな」で済むけど、「夢で見たこと」が「共通認識」になってくる。「夢と現実の境界」をあやふやにさせていく。これが最初の仕掛けで、次に何が起きるか?

「エルム街の悪夢」とかとはまるで違った形で「夢」を使って攻撃してくる(最初の方はプレイヤーも主人公も異常であっても「攻撃の始まり」とは分からず、事態は悪い方向に進行してきます)展開はなかなか面白かったです。

結果として敵は用意周到に罠を張り、反撃は不可能に近い状態になってしまいどうするのか?という流れは結構緊迫感がありました。一体一体は弱くても、力を集約できるシステムを構築する、魔物が多数の「人間」にも協力させる、といったやり方で・・・・。

「魔物との戦い」という観点でも面白いのですが、人間ドラマという点でも異色。主人公が過去に逆レイプされた被害者だったり、ヒロインが強姦の結果生まれた子であったり、なかなかシビアな過去を持っていて、生きるのが辛い、疲れた人たちが織りなすドラマ、という面も面白かった。

人として欠けているものがあっては、言葉に力はない。それではいくら言葉を紡いでも人は救えない。
悪霊や魔物となったモノも元は人間。重く正しい言葉なら通じるはず・・・。

言葉に力を持たせるにはどうする?とかの展開は「自分の欠けたもの」を自力だけで見つける、のではなく
心の傷や苦しみを共有できる人に気づきを与えてもらう、といった感じの流れはあんまりない展開かな?と思いました。自分が救われなければ、人は救えないし、自分以外も、無残に死んで魔物になった存在も。

それとは別に、「潜んでいた神のごとき存在」が前に出て「完全に近い解決」をするシナリオがあって、「仲間は助けられるけど、それでも泣く人が出た」主人公の「解決」の仕方と違って「完璧」。完璧なんだけど、
「不完全な解決」による痛み、涙と悲しみが成長の糧になる「主人公の解決」に比べて、糧になっていない面がある。この辺りは面白かったですね。

惜しむべくは、1998年に作られた作品だけにちょっと古く感じるところかな?今風にスタイリッシュにして、あとは「謎が未解決」の部分が解消された完全版はぜひ見たい。女の子は皆、魅力的なのでフルボイスでやってほしいな。




長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい776回くらい参照されています。