yuunagiさんの「罪喰い ~千の呪い、千の祈り~」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

お久しぶりのOperettaさんのゲーム、期待を裏切らない出来栄えでした!!それぞれの攻略対象キャラに魅力があり、また主人公に惹かれる理由も違和感なく描写されていました。特に至央√は進めていてにやにやが止まらず、至央のためだけでもプレイした価値は充分なもの。
ずっと以前からライターの方の作る物語が好きでいて、キャラの作りやストーリーの流れはパターンとして馴染んでいたので驚くということはあまりありませんでした。
むしろコンプ直後はライトな出来に物足りなさを感じたのですが、よくよく考えてみると(あぁ、あのキャラはあの時あんな思いをしていたのだな……)とか色々と気づく点が多く、それがこのライターさんの上手いところなのだと改めて認識させられました。
なので、最終的には本当にプレイしてよかったなぁ、と心から思っています。


この「罪喰い」というタイトルに作品の全てが集約されていると過言ではないと思います。千年に渡る様々な出来事によって生じた罪を薫ちゃんが全て終わらせる。それは、薫ちゃんがこれまでの世羅の記憶を持っておらずまっさらで、何にも縛られてない状態だったからこそなし得たのことなのだと。
しかも薫ちゃんは人を喰らっても生き続けたい、たとえそれがどれほど辛くても罪の呵責に苛まれてもなお自分の運命に足掻く。その生き方が、記憶を受け継ぎながら転生を重ね千年を生きた連と守人が惹かれた理由なのでしょう。
本当に薫ちゃんは彼らにとっての救いだったに違いありません。

最初にプレイしたのは蒼太√。
彼はサブキャラ扱いで、メインを残したかったために先にしたのですけれど、後になって思えば守人√の次にすればよかったと後悔しました。
蒼太√は守人√からの派生だったので、共通部分はスキップできてしまい感情輸入がちょっとしにくかった。じゃあ、スキップするなよって話なんですけど。
肝心の蒼太自身に関しては、見た目可愛い系のへタレシスコン兄でとにかく報われないクラスメイトという立ち位置であった序盤から、薫ちゃんと同じく華姫の転生体だったために人から上樹のものになりその気持ちを理解しあえる存在になる終盤と大きく変化します。
これは蒼太にしかできないポジションで、もの凄く美味しいです。戦闘面ででも蒼太じゃないとってところがちゃんとありますし。
また、そこに至るまでに放課後絵のモデルになったり、そこで事故チューが発生したり、一緒に試験勉強したりと、同級生ならではのエピソードがまた微笑ましい。
そして、蒼太と言えば素子ちゃん!
華姫の世羅の友人でありたい部分ということですけれど、いやいやいや彼女絶対薫ちゃんに対して友達以上の感情を向けてたとしか。覚醒すると戦衣を纏える素子ちゃんとの共闘とかアリだったと思います!!蒼太絶対に許してくれなさそうだけど。
あと、蒼太√の守人は切ない……。守人は己以外の他の√でも同じような感想を抱きますが、この人基本的に自分のことよりも自分が大切にしている存在の方を優先してしまうんですよね。千年前、そして前代の出来事が彼を自罰的にさせていて、でも基本的に守人はどうしようもなく優しくて、優しすぎる……。だからこそ薫を蒼太に譲ったわけで、そういうことを内心では相当苦悩しているのにやってしまう守人はけっこう沼です。

次は本筋からは逸れているだろうと睨んだ至央√なのですが、至央は本当にこの「罪喰い」の萌え成分の大半を担っていたかと。
世羅を殺すためだけに歪んだ方法で生み出された彼は一見狂人で会話することすら無意味と感じさせます。でも、実際はそうではなく至央には至央の大切なものがあり、それを守ろうと自らの心を騙してきた。そんな彼が薫ちゃんと関わってゆくにつれて蓋をした自分自身を呼び起こすその過程が堪らない。
しかし、そもそもは至央が薫ちゃんを世羅ではなく薫ちゃんとして認識したことが全ての始まりのなのだと思います。
修学旅行で罪人を喰うことに対しての問答は私の一番好きなシーンですが、このシーンからするに薫ちゃんは自分を自分として見てくれる至央に甘えていたでしょうし、至央は至央で己が当の昔に忘れた感情に葛藤する薫ちゃんを心から綺麗だと感じ惹かれたのでしょう。
また、互いに過去に縛られてないので、真っ先に世羅の素体を手に入れようという選択肢が取れたのもこの二人だからこそでなんか若さを感じました。
あと、この√至央がヒロインなんじゃ……って思うところ多々でした。むしろ薫ちゃんがヒーロー?的な。
私が強いヒロイン好きだからというのもありますが、全然不快ではなくて――持ちつ持たれつと言うか、互いに救いを相手に見出している。だから危険を冒しても守りたい、そんな唯一無二な関係が素敵の一言に尽きました。
もちろん片思い時期もなにかと接触しようとする至央も、我慢の限界が来てプッツンしたのも、覇名を刻んだ後の心の声ダダ漏れなのもニヤニヤが止まらなくて最高でした。
ラストは、またもや守人は不憫だ……って感じでしたし、任史には二人の子供を抱かせてあげたかったなぁ、と……。BADEDに関しては至央のものが一番容赦なかったかと。それでも手加減しているとは思いましたけど。

続いては至央√のEDを見なければ√に入れない任史。
私個人が任史に至央以上の魅力を感じなかったので正直言って精神的にかなり辛かったです……。だけどこの√の至央が滅茶苦茶格好良かったのも事実なのですが。
任史√では白夜の封呪に対し根本的な解決ができません。任史は当事者でもなければ、至央のように終わらせる力も持っていないためです。
なので問題を先送りする他ないのですが、立場上では敵である守人を任史は大事に思い、守人も任史のことを慕っている。この状況ではこの二人自身の手でどうにかするというのは無理ということは……。
至央がずっと守っていた母親を諦めて薫ちゃんと任史のために五十年の猶予を残してくれたのは、任史が大切で、薫ちゃんが好きで、自分にとって唯一であるその二人が幸福になれる道を作りたかった。ただそれだけな気がします。
本当にズルい。礼も言わせてもらえなかった。こんなことまでされてしまったら、なにがなんでも幸せになる他ないじゃないですか。
至央と任史は互いの√でどちらかが欠けることが運命づけられているようで、それぞれの行く先を見ることはできません。
絶対に薫ちゃんの子供を抱き上げたり、遊んだり、愛でたりしたいはずなのに、全員が揃っての幸せ陸一家の夢は叶わない。
もしかしたら、陸家絡みは誰かの死や罪、悲しみを背負うのがテーマなのかもしれないですね。千夜自身もそうですが、千夜が殺めたり、利用してきた人々はあまりに多いでしょうから、それらを贖うのが至央や任史√の薫ちゃんの生き方なのかもしれません。
あと、カゲロウについて。
メチャクチャあざとかった!!褐色、太もも、ありがとうございます!!!

さてさて守人√になりますが、この方自分の√なのになんか報われてない気がするのはなぜなのでしょう……。
いやいや、ちゃんとHAPPYEDなのには違いないのですけれど。
この√の守人は当然なのですが薫ちゃんのことを世羅ではなく薫ちゃんとして見てくれます。それがまぁ堪らなく嬉しいんですよね。
守人はどんなことに対しても真剣で偽りのない気持ちを向けてくれる。真摯で愚直なその姿に惹かれずにはいられません。
だからこそ、薫ちゃんの心中として(この人は私ではなく世羅が好きなんだ)という葛藤がもっともっと欲しかった!!
二人ともけっこうサラッとくっついてしまうので。それがらしいっちゃらしいんですが。
それに、守人がすんなりと薫ちゃんを受け入れた理由も連√をすると納得いきますし。
前代から今世で守人が世羅を好きという気持ちに変わりはありません。けれど、世羅の気持ちが自分から離れていることを知ってしまった守人が世羅自身に再会を果たしてなんの躊躇いも、淀みもなく世羅を愛せるかと言えば絶対にそうではないでしょう。また、守人は前代の最期をあえて傍観したという後ろめたさもありますし、素直で純粋で心が強い薫ちゃんに靡いてしまっても致し方ないかなぁと。
この√、守人と薫ちゃんの祝言で終わりを迎えますが、連がガチで守人がいなくならないかと思っていたところはかなり笑えました。
連にとっては薫ちゃんが守人を選ぶことが一番面白くない展開なんですよね。それでも、祝福してくれるのが連らしいのですが。

というわけで!真相√と言っても過言ではない連√です!!
何故、前代の記憶が引き継がれないのか?そもそもなにがあったのか?薫ちゃんと連はどうして心が繋がっているのか?等々の謎が解けます。
連√のツボは連は薫ちゃんのことを愛しているがそれ故に従者であろうとし、そんな連を好きになった薫ちゃんの従者では嫌、主としてでなく女の子としての私を見てほしいというすれ違いでした。
そもそも連はかなり初めから薫ちゃんのことが好きですし、ただその思いを表面化させてしまうと色々と都合が悪いんですよね。
薫ちゃんが守人と許嫁であることもそうですが、前代の記憶が理由の大半だったかな、と。あまり距離を詰めてしまうとそのせいで封じた記憶が蘇ってしまう。だからこそ連にとっては薫ちゃんが自分以外の誰かと一緒になって幸せになってほしいという気持ちも本当。あくまで薫ちゃんが一番であって、自分は二の次なんですよね。きっと、前代で世羅と両思いになったとき心底嬉しかったでしょうに……。
なのに、姉のように母のように慕い、女性として千年もの時愛した彼女から刺されるという事実は相当なものだと思います。その心中は想像すらできません。
世羅の心は、転生を繰り返してきた千年で揺らいで擦り切れて壊れかけていました。覇名を刻んだ連にはそれがよくわかっただろうし、だからこそ罪人といえど人の命を奪わなければならないと宣告された薫ちゃんが真っ直ぐに生きたいと口にしたその強さが連を惹きつけた。
連から見れば薫ちゃんはまさに光そのものだったんだろうなと。
そう考えると連が報われるこの√は本当に良かった~っ!て思えてなりません。
最後に二人の子供のご機嫌取り合戦している守人と至央も最高でしたし。
あと、感情が高ぶってる連にかつてのように兄と呼ばれて喜んでる守人もすっごく可愛かった。喜んでる場合じゃないだろって感じなんだけど心底嬉しそうで和んでしまいました。
守人は、全部が欲しい欲張りな人だから当主なんてできてるのかもしれないですね。
そういえば、連√の薫ちゃんは世羅の記憶をしっかりと引き継いで上樹としての力を取り戻している所謂最強薫ちゃんということに……?



最後にシステム面など。
この辺は特に不便なく一通り揃っていました。
BGMは声優さんのボイスを遮ることなく、かと言って主張がないわけでもなく、ほどよく雰囲気を作り出しており文句の出ようもありません。
声優さんの演技は最高の一言で。主人公にボイスが付いているのはOperettaさんでは恒常化していますが今回も素晴らしかった。薫ちゃんの声すっっっごく可愛くて、プレイしている私がめろめろに。
そして、至央役の立花さんっ。見事としか言いようがないです。立花さんじゃない至央なんで考えられない。もし、立花さんじゃなかったら至央のことこんなに好きになってなかったかもしれないです。それくらいハマッてました。ステラワースで予約すればよかったと心から思います。
そして、スチル!天津凪先生の絵、美しすぎます……。ただでさえ見惚れてしまうものなのに、その上炎の揺らめきや、花びらなどのエフェクトが違和感なく融合しているものだからかなり衝撃的でした。スチルを動かすということはできるのは分かっていましたが、今時ここまで綺麗にできるものなんですね。

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