yuunagiさんの「デイグラシアの羅針盤」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

正解のないノベルゲームということで、考察ゲーです。シナリオを全て読み終えてからの再プレイが大変面白く、それが終わって更に考えて、とゲームから離れてもかなりの時間楽しむことができました
今作は『選択』という行為が大きな要素となっています。
公式サイトのストーリーにある「生存者を決めるのは、あなたです」という一文はそのままの意味なのです。
誰を生かし、誰を見捨てるのか。
選ぶことができるのはその部分。
1週目で、2週目ではここで選択肢が出そうだな、と感じた部分は沢山ありました。
だからこそ、自分ともう1人の助けられる人間は選べるものだと思ったのです。
時には灯理を黎理を、あるいはときわを片割れにすることができるのだと。
ですが、その考えは浅はかでした。
既に確定した事象を変えることはシュミレーションであってもできない。
助かるのは主人公と縁の2人のみ。
自分の行動で事故を起こしてしまった自責の念に駆られる主人公にとってこの真実は残酷でしょう。
作中の彼の行動があまりに自己犠牲的なのも無理からぬこと。
思えば、主人公以外の登場人物の殆どが過去に命の選択をしなければならない状況を経験していました。
それ故に、この事故は彼らのトラウマに触れているにも等しく、保守的になり、口が重かった。
また、主人公が自らを偽っていたことも疑心に繋がってしまい結束しなければならない時にそれができなかった。
プレイヤーは、実は初めから与えられていたある選択肢に気づき、正答しなければ6人の生還EDは見ることができない。
まごうことなく、これこそ見たかった光景。
このルートにはシュミレーションのシーンもない。EXTRAの一部とも一致する。
しかし、これを正史とするならこれまでのシュミレーションはなんだった?繰り返してきた一葉の苦悩は?
彼が本名を名乗るという行為一つで全てが上手く進んでしまうのなら、姉を失ってからの一葉の人生、真実に触れ、姉に会いたいという願いはあまりにも虚しすぎる。
それなら、1週目、2週目を見てきた一葉は3週目でのことを知らない方がいい。
だからこそ、3週目にシュミレーションのシーンがないのかもしれない。
あくまで3週目はプレイヤーに対するサービスであり、1週目、2週目で不明だった要素の開示であったという解釈というのもアリでしょう。
それにしては、3週目の内容のメッセージ性が強いですが。
終盤、二人の少女たちは語ります。
黎里は、生き残ってしまった責任を果たせ、と。
ときわは、その時々で自分が善いと信じる道を選び、その結果を受け入れること、それが今を生きるものにできることなのだと言う。
まるで、シュミレーションしてきた一葉に向けた言葉のようでした。
3週目は、悲劇の上に立ってしまった一葉に与えられた物語という可能性。
生存者2人という事実に嘆くことはない。
過去はやり直せないのだから、後ろを振り返ることばかり考えずに前を見てできることをしなさい。
それこそ、物語は語り手がいなければ無かったことになってしまうものだから。
メアリー・セレスト号を発見したデイ・グラシア号のように。
プレイヤーのため、一葉のため、どちらにせよ最後のルートは救済なのだと感じます。

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい111回くらい参照されています。