koikuroさんの「ロイヤルガーデン ~乙女に恋する皇子の戯曲~」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

設定が活かされてないが、グランドルートはそれなり
一応ネタバレ有りだがルート感想までは核心には触れない。

役者の主人公がとある小国の依頼を受けて南の小島にある女学園の上流階級のお嬢様だけが通う学校に小国の皇太子として潜入……という設定だが、とにかく設定が薄っぺらい上に活かされていない。

例えば、舞台となる学園は南の人口5万人程度の小島にあり、キャラクターたちは学園と島内で生活をするのだがこの舞台に対する描写がかなり少ない。
デートシーンなど島を散策する場面はそこそこあるので島内に買い物なり水族館なりに行くのだが、どれもこれも普通の街でも出来そうなことばかりで、南の島が舞台ゆえの施設や特産品など舞台の特色みたいなものがわかる文章はほぼ存在しない。
事実上舞台が小島である意味は「外部の者が容易に出入りできない」というストーリー的な都合上のモノでしかなく、折角の南の島にある学校という非日常要素がほとんど意味をなしていない。

また、学園に関する設定にも無駄が目立つ。
主人公の通う学園にはお嬢様だけが通うクラスであり主人公も通うことになる『才媛学科』と一般生徒が通う学科の二種類があるのだが、設定上2つの学科は基本的に隔絶されており、実際一般学科の生徒は1人が『ナイト様』という通称が出てくるだけでそれ以外全く話に絡まない。
そのナイト様も唯一才媛学科と一般学科が交流を持つとされる演劇において名前だけが登場するだけ。
しかも、その演劇は才媛学科生徒がヒロインを、一般学科生徒が主役を演じるというものであるのだが、主役を演じるはずだったナイト様は途中で怪我をしてしまい、かといって一般学科の中ではナイト様は人気生徒だったので気後れから代役が立たず唯一の男性である主人公に白羽の矢が立つ、という流れであり、設定上唯一の交流の機会であるはずの演劇からも一般学科の存在はなくなってしまう。
はっきり言って一般学科の設定は必要だったのか甚だ疑問である。

また、ヒロインに「お嬢様感」がほとんどないのも問題である。
日常シーンの会話テンポ自体はそれなりによく退屈はそこまでしないのだが、彼女たちから上流階級の品のようなものを見受けることはほぼできない。
原因としてはテンポの良い会話の功労者でもあるサブキャラクターのなつきが、お調子者で元気で俗っぽいという非常にお嬢様っぽくないキャラクターだったことが大きい。
また、なつきと並んで会話の盛り上げ役であるハルルコもお嬢様としては変わり者という扱いで下ネタ好きというキャラであり、この2人と一般人である主人公の会話が主体となるため、お嬢様設定であることを忘れそうになるほど俗っぽい会話がほとんどである。
フィオナ・姫桜も特にお嬢様然としたキャラクターというわけでもなく、かろうじて上流階級の格を保っているのはメイドのユエとサブキャラクターの灯花のふたりだけである。しかもこの2人は比較的日常シーンに混ざることは少ないためやはり全体として俗っぽい印象を覆すことはできていない。
この作品の日常シーンは普通の学園モノであるのならばそこまで悪くないのだが、上流階級ものとしては失格レベルである。

基本的に舞台設定が「受けそうだから付けた設定」や「ストーリーの都合存在する設定」ということを強く感じさせてしまうものであり、描写による肉付けが全くできていない。
これは設定描写だけでなくストーリー上でも言えることであり、前述の演劇イベントでも“練習”はほとんど描かれずすぐ本番のシーンへ飛んでしまうなど、作品通して過程の描写が極端に少ない。
こうした描写の薄さがこの作品の最大の問題点であり、作品自体を陳腐なものにしてしまっている原因だろう。

ストーリーに関しても、前提となる設定が陳腐に見えるためにあまり出来のいいモノには感じられなくなっている。
しかも、あまりシリアスに寄りたくなかったのか、たいていのルートでストーリー上の障害は思いの外あっさりと片付いてしまうためより陳腐になってしまった。
かといって、近年台頭してる“イチャラブゲー”と比べたらイチャラブ描写も少ないので、非常に芯のない作品になってしまっている。


ここまで悪いところばかり羅列してしまったが、勿論いいところもある。

まず、ストーリーに関しては前記したような批判点もあるものの、グランドルートに限って言えばそれなりに良かったと思う。
そもそも、この作品の設定やキャラの配置に至るまでグランドルートのためにあったといっても過言ではなく、言ってしまえば他のキャラはおまけだったのかとすら思ってしまう。

また、キャラクターに関しても主人公のキャラクター自体はそれなりに人格者であると思うし、どのルートでも決める所ではキメてくれる。恋愛が絡むと少し考えが足りなくなってしまうシーンは見受けられるものの、全体としては良主人公の部類であると思う。

ヒロイン達も、お嬢様感は薄いものの可愛いことは可愛い。特にハルルコとユエはかなり魅力的。
ただし、グランドルートヒロインを除いてシナリオがキャラクターのポテンシャルを引き出していたかと言われるとかなり怪しい。
あととりあえず灯花は攻略したかったです。

またシステム面ではフローチャートがかなり便利で、このシステムはエロゲーの標準装備にして欲しいと思うほどだった。

絵も癖は強いがムチムチ感が強く、実用度はそれなりにあったと思う。


粗の多い作品のため批判点ばかりが多くなってしまったが実際はそれなりに楽しめた。
体験版時点で期待していた主人公・ユエ・ハルルコが期待通り良いキャラだった、ということが大きい。
ただ、10月のダークホースとなるのではと密かに期待していたのだがそれほどではなかった。
好きな要素も多かったので個人的には並程度には楽しめたが客観的にみれば凡作に至ってるかすら怪しいだろう。


以下各ルート感想(本格的なネタバレあり、プレイ順)








フィオナ√
天才で本物のお姫様で『皇太子』の許嫁
お姫様という立場なので一番きちんと「主人公が皇太子と偽っていること」が問題となるルート。
とはいえ、フィオナ自身は恋のきっかけがそういったものと無関係な所にあっただけに皇太子でないことを事を気にする素振りも見せない。
問題は周囲についてなのだが、フィオナ付きのメイドであるアルセスカが全く敵に回らず、止めなければならない立場のユエもこのルートでは他のルート以上に協力的なため、絶望感みたいなものはない。
フィオナの両親である国王夫妻を説得するシーンもあるが、フィオナの両親も『いい人』であるためあっさりと認められてしまって拍子抜けではある。ただ、説得シーン自体は悪く無い。
出会ったきっかけであり、フィオナが主人公に惚れるきっかけとなった“頭突き”がラストで再びフィオナの成長のキーになるというのは良かった。
説得シーン中の「世界を背負って立つスーパースターになる男です」はクサいセリフではあったけど今作で一番好きなセリフ。
フィオナ自体も謎アザラシさえなければとてもかわいかったし、ルート分岐の証である演劇イベントも一番力が入っていたように思う。
また、ルート途中の「結婚式」のシーンなど可愛いシーンに恵まれたヒロインだった。


ハルルコ√
“皇太子・陽”ではなく役者“月宮神狗郎”のファンだったハルルコが主人公を落としにかかる話。
このルートに関しては、ハルルコが共通部分で主人公の正体を見破っているため、正体をバラすバラさないもない。かわりにハルルコが主人公に抱えてる気持ちがキーになり進んでいく。
正直こういう「昔からの想いを抱いている」系のキャラクターが大好きなのでハルルコにもガッツリやられた。
このルートに関してはもうハルルコかわいいしか言えない。
特に二度目の演劇のシーンは灯花とハルルコの言い合いも良かったし、ハルルコのが昔主人公に出したファンレターと劇のラストを重ねる演出もよかった。
あと攻略ヒロイン中最巨乳だけあってハルルコのシーンは全体的エロかった。


姫桜√
今作一番微妙なルートだった。
お嬢様ではあってもフィオナのようにお姫様というわけでもないので恋愛の大きな障害があるわけでもなく、かといってハルルコのように秘めた想いがあったわけでもない。かといって偽の皇太子であることを気にするわけでもない、とこのキャラで何がしたいのか一番わからなかった。
結果としては彼女のツンデレからくるすれ違いや誤解によるすれ違いなどを繰り返し、結ばれたあとは役者という目標を持つ主人公に劣等感を感じて消沈、それを知った主人公が自信を付けさせようと一計を案じる、といったシナリオ。
……この話をこの作品でやる必要があったんだろうか。
自分の気持ちを認めようとしなかったり劣等感で消沈する姫桜に発破をかけまくるハルルコはいい女だった。


ユエ√
この作品を締めるグランドルートでありメイドに扮した本物の皇太子でもあるユエルート。
他のルートとは段違いに面白かった。
理由としては、唯一きちんとした「障害」が存在する、シリアス要素を多分に含んだルートであることが挙げられる。
ユエの母国であるエルガンディアは刺客を差し向けてくる程度には剣呑な反応を取ってくるし、他のルートのようにあっさり解決というわけにもいかない。
この作品の個人ルートは最終的に主人公が一計を案じてそれによって問題が解決するパターンがお決まりだが、ユエルートはグランドルートだけあってその作戦も一際大掛かりであり面白かった。
もう一つの理由としてはやはりユエのかわいさだろう。
皇太子、つまり男として育てられ、ずっと普通の女の子に憧れていたユエが「皇太子」でも「メイド」でもなく「女の子」となった時の破壊力は相当のものだった。
個人的にはメカクレ属性のキャラクターが髪を切るなど言語道断だと思っているが、ユエの場合は「女の子」となった証であるという意味があったため許せてしまった。
個人的にはこの作品はグランドルートのためにあるしユエのためにあると思っている。
個人的には全ルートがユエ√くらいの出来だったら80点くらいにはなったと思う。
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