OYOYOさんの「触手の館 ~快楽に捕らわれる女子校生~」の感想

偶然立ち寄った土地でお昼を食べに入った店で、思ったより美味しい料理が出てきたような気分。わざわざ「また来よう」とは思わないし、何年か経って話題にすることも(たぶん)ないけれど、一時的にラッキーな気持ちになれるという。
内容をひとことで言えば、「クラスメイト(女)から理不尽ないじめを受けていた主人公が、触手の力を借りてリベンジを果たす」という話。復讐相手は、高飛車ないじめっこ・翔子(赤髪ツインテール、美乳)、翔子の腰巾着・かなみ(青髪ショート、貧乳)、傍観者の聖(黒髪ロング、巨乳)の3人。

やや強引な展開に感じられるところ、説明が足りないと思うところもあるが、全体としてはクドすぎず端折りすぎず、良いバランスを保っている。この手のロープライスゲームにありがちな、設定だけ先行してあとはライター氏の頭のなかで作られたカオスな世界を断片的に見せられている感じは無かった。

理由はおそらく、「いじめ」という具体的な内容がきちんと描かれていたからだろう。たとえばこれが、未知なる宇宙人との遭遇(『快楽恥帯』)や隣国との戦争(『性騎士アテナ』)、あるいは這いよる混沌が攻めてきた(『クトゥルフ姦話』)のような設定だと話が「浮いた」かもしれないが、幸い比較的身近な話題のこともあってか、それなりに安定して説得力のある描写で、主人公の境遇に同情や怒りを感じることができた。

要は、単に公式設定と絵柄だけの「決め打ち」にならず、プレイしながら「この女ども、ヒィヒィ言わしちゃるか、げへげへ」と思えたので、そのあたりは凌辱ゲーとして良かったと思う。また、序盤から気になっていた「なぜ翔子が主人公をいじめるのか」については最後に後出しジャンケンっぽいとはいえ、一応説明がついて、それなりにカタルシスもあった。

そういえば「凌辱ゲー」と書いたが、タイトル通り、メインは触手。プレイ内容はブランドカラー通りダーク寄り。ただし、そこまで触手をメインに押し出している感じはしなかった。もちろんほとんどのHシーンに触手が「絡む」のだが、触手のバリエーションや構図に斬新さはなく、教科書通りの型をなぞっているだけ。触手モノとしては若干物足りない。

これをファッション触手と言い、いつものsealらしい「こだわりの薄さ」(リサーチのたりなさ)を非難しても良いのだが、プレイスタイルやその過激さといった外見的な部分より、ヒロインたちに対する復讐という内面的な部分を中心とした作品であると考えればそこまで気にする必要もないように思われる。

実際、私が本作で気に入ったのは、触手よりも各キャラの「堕ち」へ向かう心理描写と、そこからもたらされる独特の読後感。単に凌辱してはいおしまいというのではなく、堕ちて/壊れていくヒロインの心理や、それを眺めている主人公の歪んだ愛情みたいなものがきちんと描かれていて好感が持てる。余韻を残しつつフェードアウトする各キャラの個別EDも面白かったし、凌辱には目に見えるエロさと同じくらい、あるいはそれ以上に、心を折るエロさがあると考えているので、普通以上にエロさが感じられて素直に嬉しかった。

と、かなり積極的に評価をしてきたが、期待しすぎてもダメ。飛び抜けた長所があるかといえばそんなことはなく、悪く言えばどれも中途半端。何か特別印象に残るシーンなどがなければ、記憶からすぐに消えてしまう作品なのは間違いない。その意味では、ありがちなロープライス作品の枠を抜けだせなかったとも言える。

2000円という価格を考えれば欠点がないだけで十分合格と考えるか、2000円だからこそ多くは期待しないので一点豪華主義のスペシャリストであってほしいと願うかは人それぞれなので、「無難」に仕上げたこと自体は1つの戦略として間違っていないと思う。ただ、もうひと押しあれば一気に話題作・注目作になれたのではないかと思うといささか勿体ない。

たとえばだが、前半の展開にもう少しサスペンス要素を加えればどうだっただろう。主人公と触手は何のわだかまりもなく打ち解けていくが、ここで触手側に何かたくらみがあるように見せて、主人公が触手側の思惑に絡め取られていくような展開にしていたら。そうするとストーリー的な推進力も増えるし、何より翔子ルートやハーレムルートの最後の展開に感じる印象が、より深みのあるものに変わったのではないだろうか。

そのような意味で、満足と物足りなさを同時に感じさせる作品だった。

ルートはハーレムを含めて4ルート。CG差分なし20枚(翔子6、かなみ5、聖6、ハーレム3)、シーン数20(内訳はCGと同じ)。各キャラ1回ずつアニメーションHが入る。

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