taiki_VAさんの「あの晴れわたる空より高く」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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最高のモノづくり青春ゲーだった。
 まさかこんな高得点を付けることになるとは…。サイトのキャラ紹介を見た第一印象が「絵が同人レベル」だった。特に男性陣の絵が。それでこれは駄目かなと思って体験版をせずにスルーしたわけだけど、発売後に出るわ出るわの高得点で体験版やってみたら非常に好みで即買いに走った。結果、体験版から私が想像+希望する最高の物語が展開された。ということで私の今回の評価はほとんどがシナリオ。私にとって青春+モノづくりゲーとして求めるものが全て詰まっていた感じ。


 私自身、工学系で「映画:遠い空の向こうに」「漫画:ふたつのスピカ」が大好きで、はやぶさ帰還時はリアルタイム中継を見てたり、図書館の科学雑誌で宇宙特集があれば読む程度には宇宙開発に興味がある。実際の知識はほとんどないけど、この時点で本作は私の好みに合っていたと思う。


前半はネタバレ無し、後半はネタバレ有りの感想。


・悪人がいない。
 悪人がいないのが特に嬉しかった。部活物は明確な悪意に晒されることが多いけど、本作は破壊工作などの嫌がらせが一切ない。障害になる人物も自身の信念に基づいての行動なので十分理解できる。
「悪いことする人物→主人公達が実績を作るorさとす→私が悪かった… 」
という展開に食傷気味だった部分もあるけど、どう考えても悪人を作った方が物語を作りやすい。それをせずあくまで障害は「自分達の技術力」「大会までの有限な時間」「限りある予算」「周囲の環境」に絞ったことで「モノづくり」というテーマが明確になり物語に熱中できた。仮に悪人を出せば山場は作りやすかっただろうが、本作のテーマがブレてしまう。ライバル関係にあるARCという部もあるが、主人公たちビャッコを不効率として馬鹿にはするが、ロケット作りにかける情熱までは決して馬鹿にはせず同士として尊重している。やはり青春物としては切磋琢磨する成長物語をみたい。黒い人間関係なんて現実で十分…


・テンポの良い日常会話
 上述したようにテーマが明確になったのは良いが、それにより「モノづくり」がどの√でも関わってくる。流石に全√専門用語のオンパレードではユーザーが辟易するだろう。そこでライターの手腕が光るのが日常会話。この日常会話のほとんどが下ネタか主人公弄りとなっている。後半は流石に少し飽きては来たがそのネタのレベルは相当高かった。よくこんなエロネタに繋げてくるなと思った。そんなお馬鹿な会話と専門用語のある会話のバランスが上手く作用して飽きさせない。特にほのか√は一見の価値あり。あれは今年一番笑った。それでいて締めるとこはしっかり締めるのだから言うことない。本当にバランスが良いテキストだった。


・ロケット作りについて理解させようとする努力
 ロケット作りの為に専門用語が頻出するが、しっかりと解説してくれるし図解もあるのでイメージがしやすい。主人公が馬鹿な為、簡単な喩え話にもしてくれるので知識0の人でもなんとかついていけるかと。私は知っている部分は大学の研究とかを思い出しながら読み、知らない部分は検索したりして楽しく学べた。この部分を理解することでキャラ達と一緒になって障害について悩むことができ、それにより感情移入ができる。原因が分かったと思っても次の問題が発生し上手くいかない。試行錯誤の末に乗り越えた先の満足感はまさしくモノづくりの醍醐味だろう。この部分をおざなりにして天才キャラが一晩で設計・制作ということがない為、他の作品とは一線を画す作品となっている。(まあ、一瞬で設計とか材料調達するキャラがいるけどご愛嬌。


・馬鹿だけど行動力ある主人公
 主人公は初めは本当にヤバイくらい馬鹿。同じ内容のテストを何回も間違えるくらい。でも、それがロケットについて無知なユーザー目線と一致させやすく、0からロケット作りを理解してゆくのに適している。また、ビャッコの他のメンバーが恐ろしく優秀だけど、障害のブレイクスルーとなる発見・発言を主人公がしたり、考えるより行動する勢いはお荷物ではなく重要なメンバーの一員としてしっかりと存在感を放っている。


・魅力的なサブキャラ
 本当に無駄なキャラが1人もいない。特に大人キャラが全員魅力的。やはり青春物では大人は魅力的でなくては。若者を時に見守り、時に障害として立ちふさがる存在として。大人に小物の悪人なんて入れた日にはテンション下がる。というかサブキャラは全員主人公として描けるくらいバックボーンがある。今回はビャッコという部活がメインであったが、サブキャラ達の物語も読んでみたい。


・攻略できない妹
 エロゲで妹がいるとどうしても攻略したくなるが、たまには普通の兄妹も良い。兄のいない場面でフォローをしている様も描いており家族愛的な部分もあったので満足。



ぶっちゃけ自分にとって理想の物語だったので欠点はほとんど無かったけど、人によっては欠点になりそうな部分をつらつらと。


・絵が上手くない
 イベントシーンでは結構好みの絵とかあったけど、やはり崩れている部分も多いし上手いとは言えない。仮に青春ものに適している上手い原画家だったら更に高得点を付けたと思う。


・現実的ではない
 「学生がロケットを作れる訳がない。予算もどれだけかかるのか。あの短い期間では制作できない。」とか考えちゃう人は向いてないかも。流石に設計をすぐやり直したり、高価な機器を購入したりしている部分は無理だろと思うけど、これを許容できないと一気に冷める。


・会話が下ネタばっか
 他にライターの引き出しがないのかと思うくらい下ネタばっかり。これを抑えてセンスの良いギャグが多ければ更に良かったな~


・主人公が若干DQN
 私はあんま気にならなかったけど、先輩に敬語は使わないし、一部行動に傍から見たらうわーっていう部分もあるので。


・エロシーンに重要要素
 エロシーン中に新しいアイデア思い浮かぶの止めろよ…読み飛ばすだろ…


・攻略できない妹
 そのままの意味


 体験版のノリがずっと進むので体験版で合うと思った人はほとんど高評価になると思う。ここまで体験版詐欺とは真逆の作品も珍しい。ぜひ体験版プレイして購入を検討して頂きたい。


以下ネタバレあり感想
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私のプレイ順は「ほのか→黎明→那津奈→有佐→グランドEND」


ほのか√
 まさか馬鹿ゲーでしかやらないようなノリをやるとは…。セフレ勘違いとか最高だわw。しかもそれが一過性でなくずーっと誤解したままとか笑うしかない。そして周辺を巻き込んで更に笑いの渦に。今年一番エロゲで笑わせてもらった。かと思えば√自体は職人の真面目な話が中心であり、町工場の技術が超精密機械を上回るという王道物。実際のロケット開発でも町工場の職人技術が採用されているのはよく聞く話であり、ロケットを語る上で避けては通れない。そしてそれを実際に習得してゆく主人公とヒロイン。エピローグではお涙頂戴物かと思いつつも涙ぐんでいたのにうっちゃりかわされたw。これにより更に好きな√に。本当に完成度の高い√だった。池井戸 潤の小説「下町ロケット」も大好きだし、展開的に一番好み。


黎明√
 RLGという機器の原理が大変興味深かった。この√ではひたすら光の反射率を向上させる為に鏡を制作する訳だけど、ヒロインの目が悪いことにより触覚が繊細になる設定が活かされている。どの√でも黎明の目が悪いという描写はされており(優勝時にハイタッチが合わないなど)、他ルートでも症状は進行していると実感できる。こうゆう細かな部分の小さな伏線も嬉しい。大会では主人公の能力が一番発揮される√だろう。風を読むというロケットだけを作り続けてきた人達にはできない芸当。


那津奈√
 火遊び大好き先輩。このキャラは電波すぎて攻略対象としては向かないと思う。キャラとしては面白いが共感できる部分が少なすぎる。液体ロケットエンジンの製作でも他√に比べて印象が薄い。それでも大会で優勝し、その後2000秒に挑戦する流れは大変熱い。達成した後にARC部長が賞賛する部分も感動するし、締めが良ければ一気に物語が上質なものに昇華される。他√に比べて1ランク落ちるが、決して無駄ではなくグランドENDに至るにはこの物語も必要という構成が好き。


有佐√
 フォーセクションズの中で一番異端。他√では制作・開発を行うが、発表を主にするにはビャッコの実績がないからどう描くかと思ったら、上手く主人公の家庭問題と絡めてきた。ここらへんの親子の関係は「遠い空の向こうに」に影響受けているだろうな~。やはり良い物だ。そして有佐のプレゼンでこの作品は青春物でないといけないと実感した。ビャッコという先輩から受け継いだ部活、信念を諦めたくないという想いがよく伝わる。この√までは大企業の弱小ロケット開発部の設定でも結構成り立つなとか思ってたが、ビャッコという部活動に拘る我儘は学生の方が明らかに適している。青臭いけど実直な訴えが胸を打つ。


グランド√
 この√では主人公が全部手伝ったと言ってて吹いたw。有能すぎるだろ!ロケットをついに宇宙に飛ばすということで否が応でも期待が高まった。普通に飛ばして終わりかと思ったら、先輩達の遺産は発見されるわ、絆が発射場に潜り込むわで予想外の展開がいっぱいあった。まあ絆が潜り込むのは他√でも発射を見たいとか言ってたので行動は理解できるが、実際の警備とかザルすぎるし、あんな小さい子が1人でゴムボートで来れるのかという疑問もあるが、勢いとノリで楽しんだ。むしろ見学に来ていた絆が迷子になって発射場にいたという流れの方が良かったかも。後は結構展開を読みやすいけど、その王道のストーリーが最高に楽しい。学生だけで打ち上げるという流れに、やっぱりこれは青春物だと再認識。主人公が病院で実際は大人達が自分達を成長させる為に常に悩んでいたことを理解するシーンも最高。


「奇跡なんて起こせない人口の星に、それでも、かけがえのない願いを込めた」

 大会前に実際に全員で流れ星を見ており、そのちょっとしたシーンがビャッコの成長と夢というものを上手く表現している。初めは本物の流れ星に「ロケットを飛ばしたい」という願いを込めるしかできなかったけど、最後には自分達でロケットを作り夢を実現する。そしてビャッコ全員の願いをのせた人口のながれぼしは有佐を目覚めさせるという奇跡を起こす。こうゆう展開に弱い。私的に文句なし。完璧すぎる。



 主題歌の「ロケット☆ライド」もこれでもか!というくらいロケット(衛星)名をぶち込んでいて大変良い。こうゆう小ネタを仕込んでくる作品は大好き。キャラ名もロケットから全員名付けられており、まさしくこの主題歌は「あの晴れわたる空より高く」という作品でこそもっとも映える

以下、Full.verより気付いたロケット(衛星)名

【歌詞】    【ロケット名】   【キャラ名】   
暁     →  あかつき   →  暁  
黎明    →  れいめい   →  黎明 
導き    →  みちびき   →  導木
息吹    →  いぶき    →  伊吹
曙     →  あけぼの   →  曙
Oh 澄み →  おおすみ   →  大澄
明かり   →  あかり    →  明里
絆     →  きずな    →  絆

他のロケット名
【歌詞】   【ロケット名】
桜     → さくら
日の出   → ひので
飛鳥    → あすか
明星    → みょうじょう
銀河    → ぎんが
希望    → きぼう
雫     → しずく
きらり   → きらり
翼     → つばさ
ひまわり  → ひまわり
望み    → のぞみ
輝き    → かがやき
はるか   → はるか
架け橋   → かけはし
瞳     → ひとみ
未来    → みらい  


 まだあるかもだけど探したらこれだけあった。ロケット名自体が希望を多く含む名前だから歌詞としても成り立ったと思うけど、よくこれだけ入れたものだ。流石に「こうのとり」と「はやぶさ」は使い所がなかったようだけどw。


 通常EDの「Over the Skyblue」も大好き。エロゲ曲っぽくないけどまさに本作のEDとして相応しい。むしろグランドED曲より好き。逆でも良かった。
「思い出す一途な季節を
 砕かれた煌きだけど
 あなたが集めてくれたこと
 忘れない さあ飛んで」
とか
「このまま次へ 想いつなぐ」
の部分でこれも本作を良く表しているな~と思う。


 恐らく青春物というカテゴリーではこれ以上の好みの作品が出るとは思えないくらい気に入った。基本的に、叙述トリックやどんでん返し、SF、オカルト、鬱系に高得点をつける傾向にあるが、本作は王道のド真ん中ながらそれがむしろ心地よく楽しめた。お見事Chuablesoft!
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