bitter_snow_fragmentさんの「箱庭ロジック」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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推理ゲーというより、面白いプロットに多少の肉付けした雰囲気ゲー、キャラゲーとして見るべきかと
自分は、ライターである御厨みくりさんについては、細かい設定を詰めるというより、雰囲気を重視する方かなと思っています。今回の作品について言えば、街そのものが箱庭と称される造り物の都市を始め、箱庭療法、絵本の話、などなど全体的な雰囲気は出ていたと思います。登場人物の多くが、裏の顔を持っている(=普段のキャラは、造り物・本音を隠すための仮面といった風に)というのもコンセプトとして、そうしているのでしょう。
他のレビューで指摘されている通り、両親やお金に関する問題を抱えている人物が多いのも、コンセプトとして一貫していると思います。
このため物語全体として破綻しているといったことは感じませんでした。しかし、その一方基本的に街の謎、黒幕、事件の謎といった点が概ね主人公の周りや関係者に修練していき、そこで解決してしまうというのは、本来は「そういうもの」なのかもしれませんけれども、この作品の場合、悪い意味での予定調和感があり、驚きが少なく、淡々と真実が明らかになっていく印象です。真犯人が霧架の兄であること、主人公の母が関与していること、等は見え透いています。なのでそれらが明らかになっても、こちらは既知の情報かのように思えてしまったため、その情報で驚く登場人物との間に距離感を感じてしまいました。
併せて全体的に淡々としているせいで、割と展開や登場人物の思考等がライト又はドライに感じられます。「あ、そこそんなに追求しないのか」とか「あ、この話もう流すのか」と思ったことも何度か。
決して物語として破綻しているとか、矛盾があるというわけではなく、むしろプロットを少し肉付けしたものを読んだ感じですね。

以下、個別のキャラやルート分岐等について
・主人公の悪友の厨二病は、結局なにかあると思っていたけどありませんでした。なにかあるように見せて、プレイヤーに肩透かしをさせるという少々ズレたミスリード? 

・本筋が一本道で、個別ルートで分岐し、それらを見なくては先へ進めないという仕様のため、プレイヤーはある程度の真相を知った上で、他のルートを見ることになります。既に述べたように、これにより登場人物は当然知らないけどプレイヤーは知っていることで……という、説明するまでもないアレな瞬間が幾度も生じます。フレーバーとは言え、ライトなミステリーもので、この仕様は良くなかったと思います。ただ、おまけコーナー的な箱庭の裏庭とかは面白かったです。でもここで、キャラクターたちが語りかけているのは、主人公くんなのかプレイヤーなのか。
ぶっちゃけてしまえば、本筋の霧架ルートはそれなりに読めるのに、合間にサブヒロインルートへ行かせられるのが良くないです。分岐の仕様などは、もう少し練り込むべきだったのではないでしょうか。

・「車椅子探偵END」などなかなかエグい展開、本性表したときの萌美や真奈は高く評価できる点です。ただ、萌美や真奈ルートの内容自体については、まぁ予定調和というか、消化不良というか。もう少し踏み込んだ描写、各ヒロインの行為に対する是非を問うことを望むのは、欲張りすぎでしょうか。特に真奈については有耶無耶に終わった感じです。ヒロインに惚れる=真相追求を諦めることを意味するというのは分かりますが、真相を求めるプレイヤー的にはBadEndだけど、主人公とヒロイン的にはHappyEndという。いわゆるメリーバッドエンドの逆、というのは間違った言葉の使い方でしょうか。無論これをどう思うかは読み手次第であり、単に私が真実の追求万歳なだけという。

・上と似た点ですが、普段おバカで明るい糊子の家庭環境を始めとした、ヒロインたちの二面性等、キャラクターのギャップを創る点はこのライターさんの長所と思います。それだけに個別ルートがあっさり終わるように思えるのが毎度毎度残念すぎる。

・霧架ルートクリア後、各ヒロインルートで細かい分岐を見れるが、これは別に要らなかったのでは……? 全クリしたならば、プレイヤーにとっては既知の情報ですし、内容についても改めて知らされるよりは最初から入れてもいいような。でも、霧架ルート終わった後に、りるルートをENDまで見直すとなんとも複雑な気持ちになりました。
ところで話は変わりますが、ライターの御厨みくりさんは毎度無垢又は何も知らない(?)幼女にエグいことさせるの大好きですよね。今回のりるは、まさしく無邪気で無垢な幼女に人間の体を切り刻ませる、というエグい行為をさせられております。成長したりるのメンタルが心配になるレベル。

・霧架というキャラの可愛さ、探偵という割にそれに徹しきれない人間味のある優しさも評価できるポイントです(特に後者は、個人的に刺さった点です。ただそれだけに敵意を向けてきた真奈に対して明確に反論することはしませんでした。それが霧架というキャラクターの長所であり短所なのですが、欲を言えばここで真奈に対してしっかりと反論するキャラや別の立場や物の見方を明確に示せるキャラがいればなぁ、と思いました。バディものや相棒ものとしてこの作品をみるならば、相棒たる霧架が何も言わないときこそ主人公が担うべきことのように思えます。まぁこれも私が真実の追求万歳なだけなのかもしれませんが)。あとシスター服好きなので、それは高く評価します。でも翠の海でもそうだったけど、教会でヤるのはそれでいいのか。

他にも細かいことを言えば、色々とあるのですが。私のこの作品に対する感想を要約すれば次の3つです。
・設定、雰囲気、キャラクターのつくりこみ等は非常に評価できる。
・それだけに描写が薄い、あっさりしている点が残念。
・つまるところライトなミステリーものの皮を被ったキャラゲー、雰囲気ゲーとして見るべきです。

やや厳し目な感じになってしまいましたが、ライターの御厨みくりさんの作品はなんだかんだで好きなので、これからも期待します。次回作待ってます。
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