Predawnvagabondさんの「箱庭ロジック」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

もう少し、ヒロイン毎のルートのボリュームが欲しかった。
シナリオは作られた箱庭の街で、行方不明となった女子生徒を捜索するというもので、シナリオは大きく分けて2つのチャートに分かれており、そこから他のヒロインのルートへ分岐する仕様となっている。
ミステリーものなので、どちらか先にクリアしてしまうと、もう片方は消化試合になってしまうと危惧するかもしれないが、本作は両メインルート+サブヒロインルートを並行して進めていかないといけないので、そういうことは無かった。
また、捜査ノートに状況が逐一メモされていくし、追いかける謎はもちろん共通なので、平行してルートを進めても、特に混乱することはなった。
ただ、行方不明の女生徒は、名前と顔写真でしか登場しないので、最後まできちんと覚えられず、捜査ノートを何度も見ることになったので、捜査ノートがあるとはいえ、その辺りはもう少し工夫が欲しかった。

本作の謎は意外な人物が事件に深く関わっていたりと、それなりの意外性はあったものの、メインルートをクリアする前にプレイする必要のあるサブヒロインのルートをクリアした時点で、ある程度予測可能なものだった。
それ自体は構わないし、むしろ変な叙述トリックを入れるよりは良かったとは思うのだが、謎に関する部分でも、それ以外の部分以外でも構わないので、もう一押し欲しかったというのが、本作をプレイしての感想だった。
Cabitの処女作である「翠の海」もサスペンスもので、謎の方はそこそこという部分は本作と似ていたのだが、あちらは一つの館を舞台とした話だけに、キャラクター同士の繋がりが深かった上に、一人のキャラクターに対して、(バッドは別として)複数のエンディングが用意されていたりした。
翻って、本作では捜査の依頼主である雫会長は流石にどちらのルートでもしっかりと登場するのだが、残りのヒロインである、萌美は瑚子ルート、真奈とりるの二人は霧架ルートでしか、ほとんど登場せず、攻略可能ヒロイン同士の繋がりは非常に薄かった。
また、エンディング数も基本的に各ヒロイン1つとなっており、キャラクター描写は全体的に薄いと感じた。
更に、サブヒロインはルート分岐直前に登場して、サブヒロインルートに分岐しないとなると、メインルートではあっさりフェードアウトしてしまうのも、描写が薄いと感じた原因だと思う。
ミステリー部分がメインの本作とはいえ、作品全体のボリュームはやや少なめだったので、もう少し事件に関係の無い部分で構わないので、キャラクターの登場数や繋がりを増やして欲しかった。

シナリオのメインの部分であるミステリー部分だが、謎やそれの解明過程は置いておくとして、舞台なんかは非常に良かったと思う。
作られた箱庭の街という、特殊な環境も興味を惹かれるし、捜査の過程で街の色々な面が明らかになるのも面白かった。
また、事件に対して、学生でしかない故の登場人物の無力さや、事件の根本にお金が深く関わってくるというのも生々しくて良かったと思う。
主人公が事件を解決して大団円みたいな話ではなく、主人公が出来るのは見届けるだけで、大した見せ場も無く、また行方不明者たちの末路や、それに関わった人物達の思惑が胸糞悪いものなのも、非常に現実的だった。
ただ、無力な主人公達だが、主人公や霧架が、舞台である箱庭の街の設立の遠因になっていたりするのは面白かったと思う。
惜しむらくは、謎が明かされる過程だろうか。
サスペンス番組のように、主人公達が自力で犯人を追い詰めたり、見つけたりするのではなく、事件の真相を把握している人物が唐突に現れて、教えてくれるという展開は少々拍子抜けだった。
この展開は、結局のところ、捜査はあんまり役に立ってないじゃないかという結末だったので、その辺りはもう少し、先に述べた生々しさが消えない範囲で、主人公が自力で辿りつくなりして欲しかった。

余談だが、本作では霧架ルートをクリア後の鍵を所持していると(?)、萌美、りるのルート中で少しだけ、追加シナリオを見ることが出来る。
細かい部分での整合性を損なわないためのバランス取りみたいなものかもしれないが、そういう部分にもしっかり配慮されているのは素晴らしい。

キャラクターの方も、陰のあるヒロインが多く、現在進行形、あるいは過去に家庭に関する事情等で、酷い目に会ったヒロインが多い。
行方不明になった生徒たちもだが、本作は家庭内での問題というのが一つのテーマになっているらしく、問題が問題ゆえに一筋縄では解決できず、また学生に過ぎない主人公達に出来ることも少ないため、歯痒く感じる場面が多く、この辺りも本作が生々しく感じる一因だと思う。

行方不明生徒の捜査を依頼される主人公だが、はっきり言って、捜査に関しては全く役に立たない。
メインヒロインの瑚子は友達も多く、コミュ力が非常に高く、聞き込みのスキルに長け、霧架の方は、コミュ力こそ低いものの、推理力に長けているため、それぞれ捜査に非常に役立つ。
反面、主人公はいわゆる非コミュで、瑚子と違い友達も少なく、また霧架のようにミステリオタクでも無いため、見せ場はほとんど無いと言っても過言では無い。
とはいえ、そんな不甲斐ない主人公にイラつくかと思いきや、実はそうでもなかった。
サブヒロインの雫会長も、主人公が捜査能力が低そうだから選んだんじゃないかと思える節もあるし、捜査に自ら立候補したわけでもない一般人なので、役に立たないのも当然だと感じた。
また、大口を叩くわけでもなく、人格というか言動は基本的に物語を通してぶれないのも大きかった。これはシナリオライターが単独であることの大きな強みだと思う。
ただ、役に立たないのは別に構わないのだが、主人公にも何か無自覚な心の闇みたいな設定はあった方が面白かったと思う。
クラスメイトの名前さえ曖昧なレベルの非コミュっぷりなので、実は主人公視点で物語が進むから気づかないだけで、主人公も何か抱えてるに違いないと思っていたら、本当にただのぼっちだったので、ちょっと肩透かしだった。
シナリオ的にも、箱庭の物語と組み合わせることで、割りと簡単に主人公の存在感を出すことが出来たと思うので、ちょっと残念。
恋愛に関しても、割りと待つスタンス(?)で、ヒロインが隠し事や、闇を抱えているのを察しつつも、ズカズカと踏み込んで行って強引に聞き出したりせず、言い出すまで寄り添いつつも待つのは好感度が高かった。この辺りはCabit、あるいは本作のシナリオライターの基本スタンスで、同メーカーの他作品の主人公と似ている。
余談だが、物語の一番最初の独白と瑚子ルートの一番最後で、何故か主人公に声がつくのだが、何がしたいのか謎だった。
全体を通して、声が付く部分はほんの少しだけだし、霧架ルートでは一切声が付かないままだったし、中途半端なことをするならいらなかったと思う。

ヒロインは皆、普通に可愛かったのだが、本作の個別ルートは非常に短く、メインヒロインの二人にしても、捜査と関係の無い恋愛部分に関してはボリュームは少なかったのが非常に惜しかった。
萌美と雫が知り合いなのに、二人が会話するシーンも全く無かったし、キャラクター同士の繋がりが無いのも残念だった。
ただ単に可愛いだけの、萌ゲーヒロインとは一味違う部分を持っているキャラクターも多いのに、その辺りも含めて軽めに流してしまったのは勿体無かった。
ただ、サブヒロインも、失踪事件や、箱庭の街の謎に断片的ながら関わっているので、サブヒロインルートをクリアするたびに、徐々に謎が明らかになっていく展開は好きだった。
個人的には、唯一ストレートなヒロインっぽさを持ちながら、実は失踪事件とは関係の無い部分で意外な二面性のある萌美が一番好きだった。


本作のCG枚数は80枚+SD4枚となっており、フルプライスとしては標準レベルのボリュームとなっている。
原画は両原画家共に、頭身低めの可愛い系で、複数のキャラクターが並ぶ場面でも違和感は無かった。
塗りも良く出来ていたし、総じてグラフィックのレベルは高めだったと思う。
それと萌美のドヤ顔も可愛かったし良かった。
ただし、学園の制服デザインが、特に男子、イマイチというか笑いを誘うものとなっており、青地に白の縦じまという、やや佐○急便を彷彿とさせるデザインとなっており、別に笑えるシーンでも無いのに、主人公の姿が写るイベントグラフィックで笑ってしまうという事態になってしまった。
肝心要の女子の制服の方は、男子同様に青地に白の縦じまとなっているが、少なくとも正面から見る限りは縞が見える部分が少なめで、そこまで違和感が無いので大丈夫だった。

Hシーンは全部で21回と、ジャンルの割りに多めとなっている。
内約も、各ヒロイン4回ずつ+オマケシナリオでの霧架と瑚子との3Pとなっており、シナリオとは違ってHシーンの方は各ヒロインの扱いがイーブンとなっている。
ただ、オカズに使えるかと言うと、可愛い系のグラフィックなことや、尺が短めなことが相まってイマイチだと思う。

BGMは作風に非常にマッチしており、前作のキミへ贈るソラの花ほどでは無いかもしれないが良かった。
OP,EDの歌も作品に合わせて作詞されており、非常に印象に残る出来だった。


システムは、使い勝手はややクセが強いものの、必要な項目は一通り設定可能なので、少なくとも不便に感じることは無いと思う。
ウィンドウモード時にウィンドウサイズが可変なのも良かった。
捜査状況が書き込まれる捜査ノートも用意されているので、平行でルートを勧めているときに捜査の進捗を忘れてしまったり、行方不明者の名前や失踪時の状況を忘れてしまっても問題ないようになっている。
またフローチャートも用意されており、必要に応じて、好きな場面に飛ぶことが出来る。
本作は、フローチャート各所にある扉を開ける鍵を入手するために、複数のルートを平行して進める必要があるので、フローチャートの存在は必須と言えるだろう。


・まとめ
舞台設定や世界観は良かったし、失踪理由やそれに関わる人物の思惑なんかも生々しくて良かった。
反面ボリュームは不足気味で、キャラクターも魅力的だが、個別ルートは短く、キャラクター同士の繋がりも弱かったのが惜しかった。
新品/中古アダルトPCゲーム販売 通販ショップの駿河屋

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい892回くらい参照されています。