meroronさんの「佐倉ユウナの上京」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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佐倉ユウナの上京というタイトルだが、実際は咲間鷹司という大学生の日常と浪人生であるユウナとのピュアなラブストーリーを描いた作品。 リアリティが凄まじく個人的に「あるある」と「わかるわかる」の頻度が物凄い。 もはやこれリアルなんじゃないのっていうぐらいに現実味のあるストーリーだった。
前もって言っておきますが、自分はちょっと前まで大学生で主人公の咲間鷹司くんと似たような環境にいました。
(設定の大学とは別だけど……)


それ故に、作品内で描かれていることの殆どが聞いたことのあるような豆知識であったり、自分も似たような体験をしたようなことばかりでした。
また登場するキャラクターも主人公の咲間くん含め、友人の緒方や後輩の小山、ユウナのようなキャラクターは「あー、こういう人いたいた……」と思うような造形ばかりです。

プレイしたほとんどの人は察しているかもしれませんが、ここの舞台はおそらく早○田大学でしょうね。
銀杏が巻き散らかって臭うとか、新宿から繁華街を通って行くとか、設定があからさま過ぎて逆に隠す気ないですね……w
二創も、人間○学部のことを言っているのでしょう。 キャンパスが違うとか、文理融合だとか、「21世紀~」だとか、そのまんますぎて笑いましたw
他の学部から見下されていたり幅広いせいで深く学べないとかいう部分もまさしくそうですね……。

緒方くんのような仮面浪人したあとの再入学生もあのようなマンモス大学には普通に存在するし、彼のような動機で仮面浪人した人も実際に見てきました。
本作に登場する経営会計会のようなサークルに所属する人とも知り合ったことが有りますが、その中に咲間くんのような人も実際にいたりして、また後藤田さんのような人も存在します。
ああいう傷害事件って稀ですが、アレ以上に酷い一件とかも小耳に挟んだりもします。

製作陣は現役の大学生とのことですが、おそらくは実体験や周囲の人間を見た経験から本作が生まれているのだと思います。
そうじゃなかったらここまでリアルなの書けないよ……。
けれども、そういう人はごまんといると思うのですが、この作品のリアルさは他とは別格だと思いました。
そもそも二次元のキャラクターで物語を紡ぐノベルゲームにおいてリアルさはそこまで求められていないし、やるのだとしたら小説でやるからこそ、本作がとても珍しく感じるのでしょうね。
他の方が昔の大学生活を思い出すと書いていますが、ここまでリアルだと確かにそうなるだろうな………思いました。
大学生活をふと思い出すには絶好の作品でしょう。

しかし、自分にとってはあまりにも覚えのある人物造形だったり心情描写だったりで食傷気味になってしまいました。
もしかしたら年を経てばまた見方が変わってくるかもしれませんが、なにより本作の経営会計会のような集団に対してあまりいい印象を持っていないからかもしれません……(完全に私情と偏見です)。
ちょっと前まで身近すぎる存在だったがゆえに、自分にとって登場するキャラクターに対する好感度はそのまま「この人と仲良くしたいかどうか」に繋がっており、現実的に見過ぎた結果かもしれません。
そういった見方では、サブさんが最も好きなキャラクターでした。 彼とは仲良くしたいです。


さて、話はちょっと変わりますが気になる点を。
主人公の咲間くんは1Kで8万5千円のところに住んでいると言っていました。
東京ならそれくらいする……っていうことですがそれでも 「高くないか!?」 と。
一応検索して確かめてみる……うん。 高田馬場駅のあたりだったらそれくらいしますね。
逆に彼の通っている二創の周辺だと……安いところだと3万円前後。
(おそらく場所は所沢)

「大学に近いところに住むのが自分と父親の意向だった」とのことですが、自分が通うキャンパスでないところにわざわざ住むのってすごく効率悪いような気がするのは自分だけでしょうか……。
大学に近い、とはいえこの場合だと別のキャンパスに近いところに住んでいることになり咲間くんは結構無茶で考えなしなんじゃないかな……と思ってしまいました。

「入りたいサークルが本キャンパスにあるから」「都会にいたいから」などの理由なら分かるのですが、「大学に近いところに住む」という理由だけではその場所に住むだけの動機になり得ないんじゃないかな……と。
咲間くん本人が自分の深層心理での願望を隠してそう言っていたのなら良いのですが、あの描写だと何を求めてあそこに住んでいたのかがよくわからないような気がしました。
自分が通うキャンパスからは遠いし、家賃も跳ね上がるしであまり良いことがないような……。

まぁ、ユウナと会いやすくするというシナリオの都合なのかもしれませんし、本当はちゃんとした理由があったのかもしれませんし、自分がどこか見落としてるのかもしれませんし、そもそも自分が早○田という条件に縛られているだけで作中の二創キャンパスは都会にあったり……?
ただ、ちょっと気になったので書き留めました。


しかし、このような細かい設定についてばかりを書いてもあれなんで話の内容の方も触れておきましょう……w

春は地の文が非常に多くテンポが悪かったような気がしてあまり楽しめませんでした。 あまりにもリアルすぎる大学生の日常と心情描写に特に面白みを感じなかったのです。 その生活の中に新たな変化というのが乏しかったように思います。
またBGMがあまり流れないのも退屈の原因だったかもしれません。

けれどもそれはサブさんというキャラクターのお陰で一変。 彼との出会いは作品をかなり面白くしてくれたような気がします。
やっぱり出会いっていいですね。(男だけど)
出会いが人を変えるって言いますが、サブさんは佐久間くんを良い方向に導いてくれたと思います。(男だけど)
2人でプラネタリウム見に行ったりやっぱりヒロインはサブさんなんじゃないですかね。(男だけど)

全体的には、とてもおもしろかったと思います。
特にユウナの合格は、あえて聡桜ではなく東帝というところが大学受験の良いイレギュラーと悪いイレギュラーを両方表しており素直に感心しました。
あとはサブさんとのやりとりが微笑ましい。 そして緒方くんの真実は驚いた反面、決して他人ごとではないので彼の言葉がとても沁みました。

咲間くんも、最後の理学部への転向を決意したのは立派だと思います。 自分には真似できなくて、とても眩しく感じました。
しかし、それ以外の咲間くんは正直苦手な部類の人間であり、好きにはなれません。
特にユウナに対して「お前のために経済学部に転部するんだ」というような思い上がり甚だしい発言や、模擬プレゼンの準備での後輩への態度。
実際にユウナは咲間くんを追って目指した部分も当然あるんでしょうが、けれどもそれを本人に思っても言うべきじゃない。
そんなの 「ユウナもそう思ってるはずだ」 という問題ではなく、単にデリカリーが無さすぎる。 
サブさんが言ってくれなかったらほんとどうしようもないじゃん……。

後輩への態度も、問題ありすぎる。 単に描写がないだけだろうが、終わった後に謝罪すること無く辞めてしまうのは誠意無さすぎなのでは……。 秋と冬がちょっと駆け足だったから仕方ないかもしれませんが。

けれども、それはそれで主人公が成長するために必要な挫折であり性格設定だ……となればそうなのですが、問題は成長してからのその後があまり描かれていないことだと思います。
それはお互いに1年生となってこれから……なのでしょうが、それまでの咲間くんを考えると今後は不安です。

ユウナは東帝という超一流大学に行くこととなり、ハッキリ言って咲間くんよりいい男はいくらでもいると思います。
そのような状態で2人の恋路はこれからも末永く続くのであろうか……。
またユウナが純朴な少女であるからこそ、余計にその不安が募る。
無垢な少女ほど、毒を知った時にどう変化するか分かりません。
お互いにハッピーエンドなはずなのですが、個人的にはハッピー……とは思えないような幕引きでした。
(同じ大学ならまだしも別のところだから余計に不安が……)

普通に見ればハッピーです! 単に自分が人間不信に毒されすぎているだけなのはわかっているんですがね!
この物語があまりにもリアルすぎて、大学生活はピュアなだけじゃやっていけないと感じるからこその邪推なんですけどね!
このピュアな物語に泥水をぶっかけるような感想で非常に申し訳ない気持ちもありながら、書かせてもらいました……。



あと、これは好みの問題ですがやはり自分は真っ白な背景に文章が出てくるだけよりなにかしらのビジュアルも含めて読みたかったなぁ。
そもそもの公式ジャンルが「デンシノベル」であり「ビジュアルノベル」でないのは分かっているのですがね……。
感覚としては小説のほうが近いです。
自分のような「小説ではなくビジュアルノベルが好き」という人間にとっては没頭しきれない可能性があります。
秋以降の音楽の使い方は良いんですけどね……。 それ以外はやはり小説……もしくは挿絵があるからライトノベルだったと思います。

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