asteryukariさんの「凍京NECRO」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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容赦ない展開やキャラの扱いなど話自体も引き込まれる要素を豊富に持ち合わせているが、一番目立った魅力というのは演出面だろう。エンタメ性があり実に楽しかった。記録と読み込みの演出に関しては正直どうかとも思ったが、あれも雰囲気作りに必要なものだったのだろう。
まるで映画を見ているかのようだった。そう感じたのとはやはりアクションシーンの臨場感にあると思う。恐らくここまでアクションシーンに力を入れた作品と言うのはそう多くはないだろうし、私も今まで出会ったことがない。とにかく動く動く。始めだけのなんちゃってアクションではなく、最初から最後まで3Dモデルを駆使した丁寧な演出が続いた。正直、この面だけでも高評価に値するのではないかとすら思ってしまう。

そしてそんな演出面はアクションだけでなく、一枚絵、「音」にも力が入れられており、特に音に関しては度肝を抜かれた。まさかこんなギミックがあったとは…。

そしてそういったエンタメ性だけでなく、話もストレートで分かりやすく読んでいて内容がスラスラ入ってきた。あまりに複雑にしなかったのは演出面を生かす為なのだろう。敵と漠然とした心持ちで戦っているようで、終盤は皆、己の執念に身を任せ戦う。戦闘自体の熱さだけでなく、そういった気持ちの熱さも感じ取れる良い話の数々だった。ただ、そこはそのままの方が良かったのではと思う点がいくつかあったのも事実。全体的に良かったのは間違いないのだが。


以下√ごとの感想

○蜜魅√
正統派武士娘。口調といい、ちょろいのといいまったく可愛い奴だ。普段は気丈に振る舞っているのに本当は弱い…と思いきやこの娘は本当に強いという。サポート役かと思いきやしっかりと活躍の機会が与えられているし、ミルグラムを倒すのだって彼女だった。

流石に拷問の場面では投薬され一度は堕ちかけてしまうが自力で拘束具を解いていた、流石だ。(なんで最後までやらないのか、この時は不満だった)この√はしっかりとメインヒロインとしてキャラが立っていたと思う。というのも攻略できるヒロインの中で戦闘面に長けているのは彼女だけなので当然と言えば当然なのだが…。

またこの√だけでないのだがエチカが良いキャラしている。

「蓮の台の半座を分かつ」

単にレズという言葉で済ませるのは失礼だなと、彼女に敬意を示した瞬間である。

○コン・スー√
コン・スーというよりはイリアとサブコンの関係、役割に目を当てた話だったように感じる。まあ天知がマッドサイエンティストとして適役に相応しい行動、思想をしていたと思う。とにかく気持ち悪いし、しつこい。無論、これは褒め言葉であり、彼がいたからこそ、未知の技術への話がこれほどまでに深くなっていったのだと思う。

話が話なだけあって人の心について言及したり、改めて考えたりするのは地味だがとても良かった。この作品だけに言えることではないがこういった話題を目にする度に、ふと私も考えてしまう。

○霧里√
これも霧里の話と言っていいのか疑問なのだが、それはさておき非常に面白かった。個人的に一番好きだ。何といっても主人公闇堕ち展開。これがたまらなく私に効いた。しかも闇堕ちというか敵になった後も度々、彼の視点で物語が進んでいく。

だからこそかつての仲間を葬っていく光景を彼視点で見たりするわけだが、これがまた仲間側の気持ちなど伝わってきて良い。時堯もそうだが、蜜魅なんかは早雲に好意を寄せていただけありしんどい。あんな台詞をあのタイミングで言うなんて彼女を想うと辛すぎる。

エチカも戸惑いはしたものの、しっかりと早雲の意志を受け取り、ケリをつけるのも良かった。あの時の一枚絵から漂う悲壮感といったら、それはもう凄まじい。背中を預けると誰よりも心強い、とても他人とは思えない、そんな戦友を殺さなくてはならないという行き場のないエチカの思いが、あの絵からは滲み出ていた。

サラッと触れられたが男×男で目が点になってしまった。彼女の同性愛もそこから来てると思うとなんだか複雑な気分になる。

○イリア√
自身の√でありながらも命を落とすというのは衝撃だった。それもまるで早雲への興奮材料のような、あんな命を命と思っていない殺され方をするなんて…ミルグラム許すまじ。

話は恐らく√の中で一番王道だったかなと。それでいてあまりスッキリしないのはイリアの扱いとミルグラムの生き方にあるだろう。早雲に激闘の末、殺されたい。結局は彼の思惑通りに事が進んでしまったのだと、なんだかなあという感じだ。

またこの√では蜜魅は散々な目にあっていた。しっかりとレイプされた後、幻覚の効果により殺さかける。レイプは正直ものすごく嬉しかったが、間違えて殺されるというのは心が痛んだ。まあ実は生きていたというオチだったが、あれはあれで冷めてしまった。死んだ仲間が敵の武器に入れたヒビが後になって役立つ、これを求めていた。

○TRUE
あのままイリア√が終わってたまるかというようなお話。話としてはやや強引な部分もあったが、早雲&エチカの二丁拳銃コンビネーションにかなりぐっときたのでわりと気にならなかった。

まあなによりもED曲だ。サブコン同士が繋がり、話もまとまったところで曲までもが明瞭になるという。あんなに壊れたような曲だったのに…こんなの鳥肌が立ってしまう。しかも歌詞もこれまでの物語に関わるようなものが多く、全ての物語を読み終えたからこそ響くものがあった。

そして最後にタイトル画面の「ありがとう」で達成感に満ち溢れた。いや、そんなものぶち込まれたら、良い作品だったなと感じる他なくなる。


演出に長けている一方でシステム(特にセーブ)には不満を感じたりもしたが、それを含めて様々な仕掛けが施された面白い作品だったと思う。

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