えびさんの「ノスフェラトゥのオモチャ☆彡」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

絵19+文14+音18+他03 設定自体は面白いんだけど、それを活かしきれていない。ここ何年か、ポツポツと萌え抜きゲーのヒット作が出ているだけに、それにあやかって同系統の作品を作ってみました的な、安易さも感じられたりもする。なんにしても、『終わり良ければ全て良し』とならない、シナリオの締めの緩さが最大の弱点にも思える、傑出したところが全くない萌え抜きゲーの凡作。
*映像面・・・
原画は真木八尋、水月悠の両名。
真木八尋と言えば、2003年の作品『海からくるもの』以来のプレイとなる為、かなり
絵柄が変わっており、私的に初プレイみたいなもの。
とは言え、流石に「ここまで変わってしまったのか」と、少々、残念に思う部分はあ
って、かなりベタベタな萌え絵路線になっている。
この画風になると、もっと上手い絵師は沢山いる為、逆にアラ探しに目が向いてしま
う。

水月悠は、Fizzというブランドを象徴する絵師と言える。
ただ、以前の荒削りながらも、ツンツンと尖った独自の路線を明確に持っていた頃と
は違って、こちらもかなりベタな萌え絵路線にシフトしており、おそらく同人活動や
イラストなら良くとも、エロゲ原画としては、際立ったものを感じられない画風に、
落ち着いてしまったなぁというのが、素直な印象。

塗りの方も標準的ではあるものの、先進的、意欲的と思えるような部分がないように
感じられた。
本作は、昨今、一部の作品がプチヒットを飛ばしている萌え抜きゲージャンルの作品
と言える。
しかし、そういったヒットした抜きゲーには、必ずといっていいほど、独自性のある
塗りが、過剰に成らない程度に施されている印象がある。
作品の雰囲気作りの一環として、塗りに一定のルールを持たせているといった感じだ
ろうか。

吸血鬼と近いニュアンスで扱われた吸魂鬼モチーフの作品であればこそ、もう少々、
闇夜や月光を意識した、彩色があると良かったのではないかと思える。
(ミーシャのパイズリシーンとか、結構、味があったかと思うのだが……)


*シナリオ・・・
スピリチュアル・テイカー(吸魂鬼の事、以下テイカー)に、魂を吸われた人間は死
を迎えた後、テイカーとして生まれ変わる。
テイカー化は、人間だけでなくウィルスにも作用し、テイカー化したウィルスの拡散
によるパンデミックによって、世界はテイカーで溢れかえった。
人類の絶滅は、もはや疑うまでもない、そのような状況の中、一人、孤独にテイカー
から逃れる為に野山に身を潜めていた人間・白亜響樹。
ついにテイカーに追い詰められ、絶体絶命の響樹だったが、彼を助けたのは、ノスフ
ェラトゥ・ファミリーと呼ばれる、テイカーの神祖・ノエルとその家族達だった。
ノスフェラトゥ・ファミリーは、アニマという人間の魂に似た魂を持つ植物を、世界
中に広め、人間への吸魂行為を禁じた。
かくして、人類の99.9%はテイカーとなってしまった故に、残された人類も、生き残
るためには、テイカーたちと仮初の共存関係を続けていくしか無い。

主人公・響樹は、かつて自分を助けてくれたノスフェラトゥ・ファミリーへ感謝の気
持を伝えるため、彼女らが通う学園へ見学という名目で赴いたはずだったのだが……
なんの手違いか、テイカーばかりの『女学園』へ入学してしまった。
テイカーばかりで、女の子ばかりな学園に、たった一人の人間の男の子。

はてさて、どうなることやら。


みたいな感じで始まる、端的に言えば、ご都合的なハーレムモノ。
しかし、モチーフ的に深みを感じる部分のある設定でもあり、特にメインヒロイン格
のノエル、ミーシャ、淡雪は、長く生き続けてきた中で、何らかの感情を失っている
といった描写がされる。
また、それ故に、『恋愛』を知らない彼女らは、主人公・響樹に、
「私達に、レンアイというものを教えて欲しい」
などと、思わせぶりな事を言ってくる。

まあ、そうなれば、無くした感情を取り戻し、恋愛によってハッピーエンドを迎える
というのが大筋の構成となって来て、そこにサブヒロインも交えた、エッチと嫉妬が
マシマシなハーレムが展開されるということは、たやすく想像できる。

そして、確かにその予想通りで、可もなく不可もない、ベタベタな内容のシナリオだ
ったのだが、どうにも解せない部分がある。

ノエルが失っていたのは、『悲しみ』だったらしい。
まあ、この部分は、『悲しみ』を取り戻した部分も含めて、それなりに表現されてい
た。

しかし、淡雪が失っていたっぽい『喜び』に関しては、どうもかなり曖昧にお茶が濁
されている。
少なくとも、『喜び』を知らないヒロインと迎えるハッピーエンドであれば、ラスト
シーンのワンカットは、『笑顔』以外の選択肢は無いように思うのだが、それすら曖
昧だった。

ミーシャに関しては、結局、なんの感情が欠落していたのか、よく判らない。


正直なところ、途中から流し読みしてしまったので、私が読み飛ばしてしまっていた
とすれば、前言を撤回して謝りたいが、それを確かめる為に、シナリオをもう一度、
読みなおそうと思うような気力が湧いてこない時点で、作品への評価としては、これ
以上は変わり様がない。

一部、妹キャラのこだまのエピソードは、この作品のモチーフを旨く料理していたと
も思えるが、それでも強引に力技でエンディングまで導いてしまっている感はあり、
その辺りがもっと丁寧に描けていれば、と、残念に感じる部分もあった。


*音楽/声優・・・
音楽は、7GEAR Sound Teamによるもの。
現在デビュー作『ALIVE』を鋭意制作中の、PCゲームメーカー『7GEAR』のサウンドチ
ームという、よく判らなさが印象的。
とは言え、きっと、中の人は、それなりにアチコチで活躍されている面子なのだろう
と思われる。
楽曲自体は、ソツなく作品に合っているが、そもそもこの作品、シナリオやシーン毎
の演出にインパクトが弱い為、音楽的な演出もあまり目立たなかったというのが、正
直な印象。
天乙准花の歌唱によるテーマ曲も、無難な印象を受け、際立った個性が感じられなか
った。

声優陣は、安心できる顔ぶれ。
かわしまりのは、お姉さん系だけでなく、こういった天然おっとりキャラでも、味を
出していると思える部分はある。
ただ、全ヒロインに共通して、シナリオ的な山場が少ない為、演技にて魅せるような
シーンもあまり無く、結果的に平凡なキャスト、平凡な演技となってしまっている印
象しか残らなかった。

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