daga_masaさんの「ファタモルガーナの館」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

この作品のどの部分を見ても傑作と言うに相応しい出来、もはや芸術とも言って良いくらい。 商業ですらこのレベルに達する作品を見かけることは少ないというのに同人でここまでやるのかと驚きがあり、同人ゲームのプレイの少ない私に同人ゲームの可能性や素晴らしさを見せてくれました。 後から振り返ると見えなかった部分が見えてきて、全てに意味があったのだと言えるシナリオ構成なのも素晴らしい。
・はじめに
ネタバレ全開で
「BGMについて」
「絵について」
「演出について」
「シナリオの構成について」
「各章のシナリオについて」
「まとめ」
と、この「はじめに」をあわせた7項目で感想を書いていこうと思います。








・BGMについて
この作品の最大の評価点はここです。
BGMの数60曲以上、その過半数がヴォーカル付きというのを見て非常に手間をかけているなというのが数字だけでもわかります。
過半数がヴォーカル曲であることから通常BGMとしてこのヴォーカル曲が使われているわけですが、ポルトガル語の歌詞を用いてることもあり、絵やテキストと合わせて作品独自の雰囲気が出ていますし、まるで映画のようです。
何より曲だけで元が取れるのではないかというクオリティー。
クリアする頃には曲を聞くだけでその曲が使われたシナリオが思い出せるくらいに物語と曲との結びつきが出来ていました。
これだけ素晴らしいBGMだと、ボイスが無い方がしっくりきますね。


・絵について
これノベルゲームですよね?と思わず聞いてしまうくらいに実写に近い感じの絵です。
海外の本の表紙にありそうな感じの。
はじめはこの手の絵のノベルゲームをプレイしたことがなく、少し抵抗がありましたが、最後までやって、やはりこの絵がしっくりくるなと思えました。
BGMと合わせて味が出る絵です。


・演出について
はじめは気にも留めなかった演出が後から考えればなるほどと言えるものになっていました。
例えば、「扉の物語」では基本的に立ち絵の人物同士の会話がなされています。
ここでの視点はあくまで物語を聞く側としての立場であり、ミシェルという主人公が確立するまでは記憶の無い館の主として扱われているのだというのがその演出から見えてくるでしょう。
そうでなければ最終章でテキストウィンドウ内に視点の人物の絵(ミシェル・ジゼル)が表示されますから、わざわざ演出を変えずにはじめからそのやり方でやればいいのです。
この「扉の物語」での会話は立ち絵が向き合ってしてるっていうのが面白いですよね。

選択肢もなかなか凝っていて、ここにノベルゲームである理由の一つがあると思います。
単にBADENDと正規ルートの分岐だけでなく、一つしか選べない選択肢や時間制限のある選択肢もシナリオに関連付けて組まれており、ノベルゲームの特徴である選択肢というのをうまく活用していますね。
これが負担になっているわけでもなく、非常に軽めで、それでいていい演出でした。

一番驚きがあったのが4章のバックログでしか読めないテキスト、あれに気付いたときはゾクゾクきました。
たまたま読み飛ばしたところがありまして、バックログを開いたのですが、通常テキストでは普通に書かれているのにバックログのテキストでは隠されている文字があったり、そもそものテキスト自体が変更されていたり。
記憶があやふやですが、あそこはモルガーナのことについて書かれたものだったような気がします。(間違っているかもしれませんが
ここについては時間があるときに再プレイしようかなと思っています。
モルガーナの過去を知った今、更なる理解につながるかもしれません。


・シナリオの構成について
これはお見事。
「女中の物語」のために「扉の物語」があったのかと思えばそうではなく、最終的には「モルガーナの物語」、そう、全ての物語が「館の物語」として集結しているというこの構成が素晴らしい。
物語を見せる順番も的確で、このゲームをはじめたプレイヤーという何も情報を持っていない状態から「館の物語」を徐々に見せられることにより知識を得ていくというシナリオ進行が最終章の完成度を上げています。
「ミシェルの物語」と「女中(ジゼル)の物語」の他に、「扉の物語」があったからこそ8章でのキャラの印象が変わり、愛着が持てたのだと思いますし、ここまでの物語が一つでもかけていればこの作品が完成することはなかったでしょう。
伏線回収が凄いというか、一見独立しているように見える物語をうまくまとめたというか。
そして無駄がない。
設定を最小限、最大に利用できていたように思えたからそう感じるのかもしれません。
この手の最後のための伏線を多めに用意するシナリオは私自身最後に行き着くまでに飽きたりすることが多く、苦手でして、今回のように最後以外でも楽しめたのは評価する点でした。


・各章のシナリオについて
上でも同じようなことを書きましたが、全ての物語は最終章に繋がるようになっているのですが、その一つ一つの物語を単体としてみても十分に面白いです。
良い意味でクリックが進みませんでした。
中でも2章は騙されたというのがプレイ中の感想であり、その衝撃あってか、「扉の物語」の中で一番好みです。
完全に騙されましたね、はじめに殺された人がポーリーンの恋人かと思っていました。
あれが無ければ獣についての疑いを持ち、途中で真実に気付くことができたかもしれないのに勝手に決め付けてましたよ。
そして真実を明かされたときは「あ、やられた」と。
私以外にどれだけの人があそこで騙されたのかはわかりませんが、案外騙されたほうが楽しめるのかもしれませんね。

また、全体として好みだったのはやはり7章でしょうか。
7章まではミシェルという人物についてほとんどわからず、女中がこの作品の中心人物なのではないかという考えでプレイをしていましたがこの章をやることでミシェルという真の主人公が見えてきました。
ミシェルが元は(と言っていいのかわからないですが)女性であったというのは衝撃の事実であり、そこから過去の話へとぐいぐい引き込まれていき、気が付けば感情が揺さぶられる思いで読んでいました。
その後の最終章で急にここまでのシリアスな展開からゆるい雰囲気も含まれ、思わず笑ってしまいましたが。
あれだけ暗い人物に見えたミシェルがここまで萌えキャラ化するとは正直想像もつきませんでしたw
これまでの話の後なので、ここでのミシェルやジゼルを見るだけで救われたような気持ちになりましたし、あれだけのシリアス展開の後でなかなか大胆にギャグ要素を混ぜてきたなと。
今までのまま、ミシェルが硬い人間に思えてたら最終章がここまで楽しめなかったんだろうなとか。
正直、少しの説明で終わるだろうと思っていたモルガーナに関する話もここまでがっつりやるとは思わなく、最後まで、ミシェルの話も含めてきっちり締めてくれたのは好印象。


・まとめ
文句無しの100点、べた褒めですが本当に減点する部分がほとんど無いです。
強いて挙げるとすれば、モルガーナの過去の話(最終章ではない方)のテキストなど、一部テキストが詰まりすぎていて読みにくかったというくらい。
これだけの作品が3000円もしない値段で買えるということで、もっといろいろな人に手にとって欲しい作品ですね。
この機会に、私が主にプレイしている商業のノベルゲーだけでなく、同人ゲーにも目を向けていきたいと思えました。
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