oku_bswaさんの「お嬢様はご機嫌ナナメ」の感想

ネタバレ感想を見たくない場合、文字を背景色に設定することが可能です。 → 設定変更

**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

なんちゃって経済物としてのシナリオ、少々クセがあるヒロインを許容出来るかどうか、人によって合う合わないがはっきりと出る作品だと思う。そのため前情報として体験版はプレイしておくべきだと思うし、体験版を面白いと感じた人なら楽しめる…はず。ストーリー展開の進みに引っ張られがちで、肝心のヒロインと好き同士になるまでの過程の描写が不足気味だったり、個別ルートの話の盛り上がりが今ひとつだったりと物足りなく感じた点は幾つかある。それでも、あるヒロインの本性は正に予想のナナメ上であり、その衝撃は本作を記憶に残る作品として留めておくのに十分なものであった。
透夏→音羽→詩綾→七波→花の順で攻略。

本作は大きく分けて二つのルートがある。一つは透夏、音羽が攻略できる「アイドル育成ルート」。もう一つは詩綾、七波、花が攻略できる「七枷財閥ルート」。後者は二部構成でボリュームもあるし物語の核心が明らかになるので、先に前者から終わらせることをお勧めする。
また、シナリオを担当した籐太氏が「あくまで私的な攻略順としては七波→花の順で」とTwitterで仰っていたのでそれに従ったが、話の内容的にこの順にして正解だった。そのため推奨攻略順としては先に述べた透夏→音羽→詩綾→七波→花ではないかと思う。


◆二つのルートについて
恐らく「アイドル育成ルート」と「七枷財閥ルート」(+共通ルート)では担当しているライターが違う。展開に広がりに持たせることが出来るのは複数ライター制の強みだが、本作の場合は悪い面の方が少し強く出てしまったかなという感じがした。

共通ルートの流れからアイドル育成ルートに入ると、手にした裏金である10億円の行末も不明のまま終わるし、桜咲は財閥の問題を放り出してマネージャー業に勤しんでいるという印象が強い。共通ルートではあれだけ七波お嬢様や花との日常を守るために裏で画策していたというのに…。
逆に七枷財閥ルートではアイドル育成ルートで問題になる音羽、透羽の事情は明らかにされない。この辺りは複数ライター制故の弊害と割りきってしまえれば一番良いのだが…、人によっては突っ込みたくなるかもしれない。

本作のように複数ライターで展開に幅を出す作品の代表例と言えば『遥かに仰ぎし、麗しの』があるが、あちらはかなり早い段階で分岐に入る。(『かにしの』を栖香ルート途中で途中放棄している自分が言うのもなんですが。)
同じように物語冒頭から分岐するべきだとは言わないが、せめて七枷財閥破綻の話題が出る前に分岐するべきだった。あの展開からいきなり財閥問題を放り出してアイドルのマネージャー業に勤しむのはやはり違和感が拭えない。

どちらのルートにも共通して思ったのが、随分とあっさり付き合うようになったなということ。選択肢の数は多いのに選んでいってもあまり特定のヒロインを攻略しているという感じにはならなかった。財閥問題などの物語展開の進みとヒロインとの恋の発展は別であるのに、そこが流れで同時に進んでしまったような気がした。付き合う前段階でのヒロインと距離を詰める描写がもっとあればこう思うことはなかったかもしれない。


◆アイドル育成ルートについて
アイドルユニット「ときめき純情乙女」として、音羽と透香が夢を掴むまでの物語。このルートでは音羽をウザいと感じた人が多かったと思うが、自分もそう感じた。体験版部分では一番優遇されているヒロインだし可愛かったのだが…。
自分勝手で傍若無人な振る舞いばかりが目に付いてしまい、桜咲のように音羽が持つ夢に向かって突き進む輝きに魅了されなかった。そこの主人公との温度差がいまいち乗りきれなかった原因かなと思う。それでも付き合いだしてからの言動は可愛かった。(唐突なデレに付いていけない人もいそうだが。)


◆七枷財閥ルートについて
第一部までは財閥問題をシリアス寄りに、第二部以降は庶民としての生活をコミカルに描きながら最後は鶴美との決着を描く。第一部終盤の盛り上がりに比べると個別ルートはややトーンダウンした気もするが、それでも全体を見れば良く出来ていたと思う。

七波は可愛いけど完璧超人っぷりが強調されすぎていたような気がしていまいち乗りきれなかった。もっと単純にイチャイチャする場面が欲しかったがそこは後に配布されるアフターに期待。
花ルートは一番纏まりが取れていたと思う。元々主人公への好意が一番明確なヒロインなので過程の描写不足は感じなかったし、絵画の謎から鶴美との和解へと繋がる流れも良かった。兄さんボディソープも良かったです。

詩綾ルート本当に予想外で桜咲同様自分も最初は若干引いてしまったが…、それでも面白かった。ああいう清楚系お嬢様ヒロインの裏に何かあるのはある意味定番だがそれにしてもガチ過ぎる…。これまでの真面目な経済物シナリオの流れを完全にぶった切る展開は良い意味で狂っていた。共通ルートの段階で詩綾が一番好きだったのもあって、あの変貌は物凄く衝撃を覚えたし暫く忘れないと思う。「間違いなら、すでに起こっていた」の所は本作屈指の名シーン。


◆総評
プレイしていて楽しめたのにいざ感想を書くと否定的な物言いが多くなってしまいましたが、それだけ惜しいと感じた点が多かったということです。アイドル育成ルートにしても七枷財閥ルートにしても、主人公とヒロインの間に達成すべき明確な目標(解決すべき事柄)があり、それに引っ張られる形でヒロインとの恋も発展するので、付き合う前の距離を詰める描写、付き合ってからの日常・イチャラブが不足気味と感じてしまいました。(詩綾ルートはこれまでの流れをぶった切って二人の世界に没頭するので見ていて非常に痛快でした。)
できれば七波だけでなく、FDなりで全ヒロインにアフターを設けて日常のイチャラブを補充して欲しいところ。とは言えこのブランドのFDはユーザーが望んでいる方向とずれる場合が多いので不安はありますが…。

【その他雑記】
シナリオの中心になる経済関連の話題ですが、あくまで雰囲気を楽しむものであるので細かい突っ込みはしませんでした。ただ一つ思ったのが問題になっているのはマクロ経済レベルの話なのに解決策がミクロ経済(個人資産家視点)の次元になっていること。大財閥の行末を学生の経済ゲームの結果で決めるとか冷静に見るとやっぱり色々おかしい。外資系ヘッジファンドの協力を得ているのに10億円すら工面出来ない鶴美さんも…。
まあそんな事を言ってしまえば一介の執事に過ぎない主人公が立ち向かうのがそもそもおかしいって話になるのでやっぱりこの突っ込みは無粋ですね。

oku_bswaさんの「お嬢様はご機嫌ナナメ」の感想へのレス

ありがとうございます。あなたのコメントが自分ではうまく整理できなかった七波シナリオへの感想を的確に表現してくれていると感じました。

また、「他のヒロインのルートはやるきがしねえなあ」と思っていたけど、あなたのこのコメントを読んだおかげでやる気が出て来ました。

一方的に感謝いたします。いきなり失礼いたしました。
2013年05月27日23時44分27秒

長文感想へのレスを書くには
 ・ユーザーIDを有している
 ・COOKIEが有効である
 ・COOKIEを有効にした状態でログインしたことがある
 ・5つ以上一言コメントを書いている
 ・長文感想を書いたユーザーが長文感想へのレスを許可している
の5つの条件を満たしている必要があります。

コメントデータ

このコメントはだいたい2796回くらい参照されています。