OYOYOさんの「魔法戦士エクストラステージ ~10th Anniversary~」の感想

十年をひとむかしというならば……。魔法戦士10周年! 思えば遠くへ来たもので。でもその長い道のりを振り返るに相応しい一本だったかというとどうでしょう。シリーズファン向けに小さくまとまったボーナスディスクという感じ。
私がTriangle作品と初めて出会ったのは1999年。ノストラダムスの大予言通り世界が滅びるその前に、もう一本くらい抜きゲーをやっておこうと手に取った『たたかえ!プリンセス』という作品がきっかけだった。不自然なくらい短いスカートでパンツをモロ見せしながら戦うプリンセス。彼女がドレス姿で三角木馬にくくりつけられているシーンを見て、私の心は撃ち抜かれた。これこそ自分の求めていたモノだったのだ。以来、私はTriangleのファンを続けている。

その3年後、内容に直接的な繋がりは無いものの、『たたかえ!プリンセス』から幾つかの設定や要素を引き継ぎ、コメディから凌辱に生まれ変わったのが『魔法戦士スイートナイツ』。これがヒットをとばし、Triangleの看板作品としてシリーズ化した。本作はそんな魔法戦士シリーズの10周年記念作品。

ちなみに一応断っておくと、魔法「少女」ではなく「戦士」。実際シリーズをやっていれば解るだろうが、少女と呼ぶには少々 薹が立ちすぎたババ……大人の女性もメインではないが登場する。彼女たちは少女らしさ、女の子としての側面より正義のヒロイン、戦士としての側面が重視されていて、たとえば処女を失うことより一般人を守れないこと、自分が汚されることより戦いに敗れることが心理的な鍵になっている。『たたかえ!プリンセス』から継承した一番の真髄は、この「戦うヒロイン」というところかもしれない。

前置きはこのくらいにして、本作の話に進もう。ストーリーは、過去作のヒロインであるスイートリップ(『スイートナイツ』)、エンシェルレナ(『エンシェル・レナ』)、レムティアシータ(『レムティアナイツ』)の3人の後日譚。悪の組織による淫らな調教から逃れて何とか平和を取り戻した世界で、過去の亡霊が再び彼女たちを苛む。最後は再調教された3人が一箇所に集められ、見せ物にされるというのがメイン。その他、本編とは全く異なる設定にキャラクターを移したスピンオフ的なシナリオも収録されている。「魔法戦士」シリーズの来歴や本作に収録されたシナリオの詳細については、本感想末のデータ欄に記載したので、気になる人はご参照あれ。

内容は過去と繋がっており、固有名詞にもほとんど説明が入らない。完全に知っているのが前提となっている。一応HP等を見ながらプレイすれば解らなくもないだろうが、それで楽しめるかというと微妙。システムのほうは過去作のように戦闘パートやミニゲームは無く、選択肢も存在しない完全に一本道の読みもの。内容・システム両面の性格を考えると、シリーズファン以外には正直お薦めしにくい。というか、購入する意味は殆ど無いだろう。

ファン以外の購入が殆ど想定されていないというのはある意味で潔いのだが、問題はファン向けのFDとして見た場合もやや中途半端感が残るところ。たとえば登場キャラは過去作品のオールスターではないどころか、『シンフォニックナイツ』や『エリクシルナイツ』、『プリンセスティア』からはメインヒロインすらお呼びがかからなかったようで、選定基準が謎。実際定価5000円のミドルプライスというところからも、こぢんまりとした規模がうかがえる。

きょうび東映の少女向けアニメのみならず、近所でやってる某バッタの改造人間でさえ劇場版では過去シリーズの主役が一堂に会する機会を得たというのに、我等が魔法戦士たちが後塵を拝すことになったのはいかにも残念。これでは日曜朝の特撮・アニメ枠との差が広がる一方だ。

Hシーンについては、大筋ではいつも通りで満足。ご存じないかたのために少し説明しておくと、魔法戦士たちが、下魔やら怪人やら「屑市民」(※)やらに散々犯されるというのがこのシリーズのお約束。また、変身ヒロインが犯されながら自分の様子を実況するというコンセプトは一貫していて、本作もズコバコやられながらエロく赤裸々に内心を語ってくれる(そのぶんワンパターンだが)。

ただし本作の場合は戦いに敗北するという要素が薄まっていて、最初から勝てない戦いへ引きずり込まれていく感じ。常時発情モードなので直接的なエロさは上がっているが、魔法戦士たちの凛々しさや気高さのような部分の描写は控え目になり、そのギャップから漂っていた色気のようなものは今ひとつだった。

とはいえ、他の魔法戦士のコスや水着撮影会プレイなど、普段ならあり得ないようなシチュエーションのHは見応えあり。特に、スペシャルシナリオの「再調教」話は魔法戦士を調教して見せ物小屋で働かせるというネタが秀逸で、大変素晴らしかった。魔物も「放尿好きのカエルちゃん」をはじめ、単に負けて力を失ったチョロい魔法戦士たちをなぶるのではなく、もっと強引無理矢理に屈服させようという発想に満ちている。シリーズファンにひと味違う雰囲気を楽しませようという意図はある程度成功していると言って良い。

CGは正直好みが別れるかもしれない。昔と比べるとだいぶ目が大きく、顔が丸くなり、全体的に凛々しいから可愛らしい方向へと変化を遂げているのだ。発売前の公式HPに掲載されたレナの凌辱CGが過去のレナと余りに違いすぎたせで、「某国産のパチもの」とか「レナのコスプレをした別人」などと言われていたら、そのせいかどうか公開CGが差し替えられるという騒動があったことは記憶に新しいが、全体的に過去の絵とのギャップは相当強い。件のCGも手がはいっていたものの、それでもまだだいぶ丸顔でロリっぽいまま。レナは戦闘シーンで過去作のカットインが入るのだが、その時の大人っぽい容姿と見比べると違和感が相当残る。経年で絵柄が変わるのは仕方ないし、原画自体別人かもしれない。変化を味わうのも楽しみの一つと割り切れるかどうか。

演出面が微妙なのは今更なので特に言わないが、上述したカットイン。キャラ造型や塗りがだいぶ変わっているのに過去のものをそのまま流用しているところがあり、違和感を拭えなかった。懐かしい演出を甦らせようというファンサービスだったというのは、変身シーンを変更していることから通用しないだろう。よしんばそのつもりだったとしても、それならもう少し違うところに力を入れて欲しい。たとえば3人以外の魔法戦士を出すとか、やりようはいくらでもあった。

普通のFDならば、まあこんなものかと言って済ますこともできる。だが、10周年記念作品として見るといささか寂しい出来映えであると言わざるを得ない。この作品からは、今後「魔法戦士」シリーズをどのように扱っていくかというビジョンがまるで見えないのだ。

これまでのシリーズを全て振り返って一区切りにしようという内容でもなければ、10周年を機に新たなユーザーの開拓に乗り出そうという意気込みが見える作品でも無い。かつて出ていた『コンプリートディスク』よりも小規模な、本当にただの「オマケ」。何も無いよりはあるほうが良いし、それなりに実用的な作品ではあったのだが、なんだか10周年という作る理由があったから作品をひねり出したような、無理な感じが拭えなかった。

もともとこのシリーズは、強く気高く清純なヒロイン達が奮戦空しくザコい魔物の毒牙にかかり、快感に身悶えながらも「心だけは汚されない」とか何とか言いながら必死に抵抗するのを、なぶりいたぶり快楽の虜にして支配するのが醍醐味。過去に凌辱された残り香だけで引っ張るというのは堕ちの深さが見えにくく、どうしても物足りなく感じがち。この路線でちゃんと堕とすなら、もっと丁寧で慎重なプロセス描写が欲しかったところ。

折角長い歴史を積み重ねてきた作品なのだから、いかに「エクストラステージ」とは言え、原点に忠実に舵を取っても良かったのではないだろうか。シリーズを追いかけ楽しみにしてきた身としては、少々残念だった。まだまだこれで魔法戦士の豊かな鉱脈を掘り尽くしたとは思っていないので、次回作にまた期待したい。

※「屑市民」……Triangle作品恒例の用語。本作では「日頃魔法戦士たちに守られているにも関わらず、彼女らが辱められていると喜びはしゃぎ罵詈雑言をあびせかける人々、主に男たちを指す言葉」と定義されている。ちなみに、屑じゃない市民を見たことはございません。

▼データ
【シナリオ】
本作のシナリオは以下。
[1] スイートリップ 「遺された淫約の罠」
メッツァーとの戦いの後、復学した凛々子(スイートリップ)。だが、倒したはずのメッツァーが遺した罠にかかり、変身を解くことができなくなってしまった。変身を解除するために、「七つの淫約」という淫らな行為を履行する。
[2] エンシェル・レナ 「もう一つの調教計画」
アザハイト帝国との戦いの最中、孤立してしまったレナ。実はそれは、倒したはずのディネロのAIが仕掛けた罠だった。レナはAIディネロによって再び淫らな調教へと誘われる。
[3] レムティアシータ 「羞恥願望の果てに」
地上で魔力犯罪を取り締まる任務についたくるみ(レムティアシータ)。しかし、シータに変身して悪人を取り締まるたびに身体が疼き、自慰に耽ってしまう。ある日その映像がネットに流出し、シータの秘密が暴露されてしまう。

以上3シナリオをクリアすると、「スペシャルシナリオ」4本が解放される。

[1] 「再調教された戦士たちのその後」
 ダイダロアに捕縛された魔法戦士たち。
 彼は旧メガリンク本社に「劇場」を作り、そこで魔法戦士たちのショーを企画する。
 入場チケットは、魔法戦士フィギュアを買うとついてくる「犯し券」。
 キャッチコピーは、『今、犯しに行ける魔法戦士』。
 「犯し券」を手にした屑市民たちが魔物に変身し、弱った戦士たちに襲いかかる。

[2] 「上魔ヘルメの妄想劇場」
 しみじみと静かに、ヘルメの考えたエロ小説を読む。登場人物はもちろん魔法戦士。
 レナ : 某国に捕まって実験台にされる
 シータ: フタナリ化したくるみが電車の中で自慰
 リップ: AVのアイドルになった凛々子がファンの前でオナニーライブ

[3] 「魔法戦士にせまられるっ」
 失敗続きの新人サポーターをスイートリップが足コキで教育
 エンシェル・レナが盗撮男を捕まえてHなオシオキ
 レムティアシータが下魔とHして元の世界へ送り返す

[4] 「いもまほっ! ~もしも俺の妹がある日突然魔法戦士になったら~」
 主人公の妹である玲奈、くるみ、凛々子の三人は、実は魔法戦士だった!
 魔法戦士に変身した彼女たちが、大好きなお兄ちゃんを取り合って性的なバトルを展開する話。

【CG・シーン】
CGは差分なし49枚、差分込み777枚。シーン数46。

リップ: 14枚/14シーン
レ ナ: 15枚/14シーン
シータ: 14枚/14シーン
複 数:  6枚/4シーン

【おまけ】
「魔法戦士」シリーズ
1) 魔法戦士スイートナイツ 2002年
2) 魔法戦士プリンセスティア 2003年
3) 魔法戦士スイートナイツ2 2004年
4) 光臨天使エンシェル・レナ 2005年
5) 魔法戦士スイートナイツ コンプリート DISC 2005年
6) 魔法戦士シンフォニックナイツ 2007年
7) 魔法戦士エリクシルナイツ 2007年
8) セイクリッドグラウンド 2008年
9) 魔法戦士レムティアナイツ 2008年
10) 来てね!魔法戦士の学園祭 2009年
11) 魔法戦士 Complete Disc2 2010年
12) 魔法戦士フェアリーメイズ 2011年
13) 魔法戦士エクストラステージ 2012年

※『スイートナイツ』から『レムティアナイツ』までは共通の世界観。全体としては異世界ロアの統治権をかけ、ティアナ率いる魔法戦士たちと闇の勢力のボス・メッツァーとの戦いが中心。単純な敵対関係に終わらず、敵対する間柄での恋愛関係などもちょくちょく差し挟まれる。一応扱いとしては完結しており、今回の『エクストラステージ』はその完結後の世界が描かれているという位置づけ。なお、『フェアリーメイズ』はこれまでのシリーズとは世界観が異なっている。

その他似たような設定の変身ヒロインもの
・たたかえ!プリンセス 1999年 (「正義の味方」を目指す変身ヒロイン)
・AXIA 2006年 (設定が魔法戦士ではなく魔法使い)
・魔動装兵クラインハーゼ 2009年 (魔動装機という兵器を装着して戦うSF)
・エグゼクタースクリプト 2010年 (魔法でなく「アビリティ」。魔法戦士でなく「エグゼクター」)
・妄想ぷろとこる! 2011年 (ヒロインの一人が姫魔法少女)
・ヴァンパイアクルセイダーズ 2012年 (変身ヒロインがヴァンパイア)

※『エグゼクター』を「魔法戦士」シリーズに入れる場合もあるようですが、プレイした印象では別物。公式などできちんと位置づけがされているかは寡聞にして存じませんので、もしご存知の方がいればご教示ください。

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