umaibou108さんの「不死鬼譚きゅうこん 千年少女」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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せめて伏線くらい張ろうよ…
進行は淀みなく修辞もそこそこで比較的読みやすいが
文芸畑出身という触れ込みの割には、そこまでの情感も巧さも感じられず
一方で、一部箇所に見られる語呂の悪さや言い回しのあいまいさが気になる

序盤の掴みこそ弱くて萎えるが、きゅうこんが何なのか理解できる様になる中盤以降は熱い
例えば戸倉が自身の秘密を打ち明けるくだり、その後行動を共にするシーン等は本当に面白くて
それこそ食い入る様に読み耽ったのだが…

主人公が妙に自己中心的になって、楓を鬱陶しく感じてぞんざいに扱うくだりや
復讐鬼であったはずの戸倉が次シーンで何故か敵方に理解を示す等
首を傾げざるを得ないパートもあって手放しでは褒められない



きゅうこんが仇恨だとしてそれを"植える"とは如何なるを指すか、宿主にどんな影響があるか
その辺りに関しては具体的な言及はないが…
私はそれは運命に干渉する触媒、及び感情の増幅器と解釈した
そう考えれば先述の不満点の前者や楓のヤンデレっぷりに一定の説明はつく

人のネガティブな感情を喰らってくれる妖というのはつまり物の喩えで
世のしがらみや蓄積する鬱憤に折り合いをつけねばならない現代人に対する、何がしかの問題提起なのだと受け取れるが
楓の成長や変化から読み取れるその答えは、そんなに深いものでも、感じ入れるものでもない



クライマックスにおける、積み重ねてきた物のほとんどを台無しにして、多大な齟齬を生じさせたちゃぶ台返し

真の黒幕は取ってつけた感が否めない
「これまでの言動は油断を誘うための小芝居でした(テヘペロ」じゃとても説明がつかぬ

楓の活躍には疑問しか残らない
彼女はきゅうこんの存在を知ってたの?見えてるの?何故自在に扱えるの?

茉樹に関してだけは、彼女が立場や役割抜きで主人公を好いていたのは明々白々だったから
(目的を達するに彼女の手段は些か非合理に過ぎる。キスやセックスも不要のはず。何より、きゅうこんを宿すずっと前から甲斐甲斐しく彼の面倒を見てた)
土壇場で彼を庇う言動を見せたのは理解できる

一番肝心な箇所が、例えば手を離れた原稿が第三者に改変されたとか、実は作者には分裂症の気があるとか
そういう裏事情を勘繰ってしまう程度にちぐはぐだったのが残念でならず



追記

序~中盤の茉樹の、テキスト外に匂わせられた心の機微は気に入っている

林太郎の告白を応援しちゃう主人公に、彼女が何を思ったか
直後の楓の告白に一枚噛んだ彼女が内心どんな気持ちだったか

それが不意打ち的な二度のキスや、学校に呼びつけた後の逆レイプに繋がってる事を思えば泣けてもくる

テキスト上では一切触れられないのだけど、騎乗位の茉樹は目じりに涙を浮かべていた

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