minami06さんの「想いのかけら -Close to-」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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作中の愛の力は因果律さえ覆すという発言は、ギャルゲーのお約束を半ば茶化したかのように見えましたが、実際のゲーム自体の終え方は、そのお約束に対して忠実かつ実直なものでした。変に奇を衒ったものよりも、好感が持てます。
このゲームは愛の物語です。主人公とヒロインのお互いを想う心――愛が、奇跡を起こす。ベタベタですね。
過去のヒットメーカーであった、keyスタッフが手がけたONEの流れを汲む作品は数多くあり。本作Close toもまた、その一つなのだと思う。私見では、この会社のゲームは常に何らかの作品をモデルにしておりますが、独自の雰囲気、テーマ、キャラクターは、決して単なるパクリに終わっておらず、
KID流としての作品に消化できていると感じます。

恋人を庇い瀕死の重傷を負った穂村元樹は、幽体となってさまようことになります。生き返るための3つの条件の存在を知った彼でしたが、頼みの恋人は事故のショックで記憶喪失、
肉体を維持できる時間もわずか。それらの制約の中で、生き返るべく行動していく、というもの。


生死の関わったストーリーですが、その死の原因が各人の不注意な行動に端を発しているため、「こんなことで死んじゃうの?」と拍子抜けすることがしばしばあります。ある意味現実的かもしれませんが、回避不能な出来事として描かれたほうが、話に没頭できた気がします。
設定や構成に難ありと個人的には感じていて、出だしで頻繁に挿入される回想シーンが明らかに話の進行を妨げています。一瞬ギブアップしようかと本気で思ったぞ。
また、ゲーム開始から、日常を楽しむ間もなく緊急事態に陥るため、人によってはキャラに愛着を持ちづらい。これが致命的で、特に遊那は、こちらが見えない+記憶喪失という具合で状況に対して一人蚊帳の外なので(この設定のどちらか片方切れば、遊那をもっと話に絡ませることができたはず)、終盤までまともに接することができず、回想と件のルームパートでしか、彼女の人となりを知る術がない。ボケボケな日常が足らんくて寂しすぎた。翔子編以外はあっさりフェードアウトするし。あれだけ綺麗にすっきりエンディングを迎えた遊那編がネット評で芳しくないのは、そのあたりが影響しているのか、も? まあ、コシコシコシで可愛いとか、泣かせちゃってゴメン…とか思っちゃったんで、たとえ世界中の人間がボロッ糞に叩こうとも遊那推しです。
目的もなくダラダラと日常が垂れ流される作品なんかに比べたら、目的を持ってキャラが動くので飽きないし良いんですけど、日常と非日常を、もう少し緩急つけて描いてほしくはあった。

「またこのネタか…」と思うシナリオが一つ。「いつの間に好きになったの?」と思うシナリオが一つ。
前者は明かされる真実がシナリオの山場になると思うけれど、この取り違えネタは正直見飽きた。エンド自体は綺麗で許せる。
後者は個別シナリオに入った途端ヒロインの態度が柔らかくなるのがすごく不自然。行間読めよと言われるかもしれませんが、きちんと段階を踏んだ感情の変遷(ex興味→同情→好意とか)が描かれていないため納得いきません。
(嫌な言い方ですけど)大衆受けしそうなキャラ・シナリオだなと思ったらやっぱり評価高かった。上で述べたとおり生死が関わってくるストーリーなので、当然こういったエンドは必要だと思うしアリですが、肝心の恋愛描写がスカッてるし(何か毎回愚痴ってる気が)、死生観とか興味薄いしであんまし好みじゃないシナリオであった。少数派なのは認める。

遊那編は、3つの条件の際に元樹が聞き逃していたこと、これを憶えていないと、無理矢理ハッピーエンドに~と捉えかねないので注意。むしろ定められている奇跡は(少なくとも遊那編は)厳格に履行されております。
ルールを提示しないまま起きる奇跡なんてものは非論理的であり価値などありませんが、本作のそれはきちんとルールに則ったいわば論理的奇跡であり、ご都合主義で終わっておりません。
エンド付近のニクい演出も素晴らしく、泣きこそしないものの巧く纏め上げたなと感心しきりです。まさに純愛。

確かに嘘や勘違いから始まった関係かもしれない。
それでも、今ここにある気持ちは本物である。いつか真実を知る時がきたとしても揺らがない、かけがえのない気持ち。過去に好きあっていたという事実よりも、ずっと価値あるもののように感じる。間違っても代理じゃない。
オフィシャルでのトゥルーが麻衣だとかぼくには関係ないですね。

シナリオ構成とかシステム周りとか(エンディングの文字自動送り強制とか勘弁)にちょこちょこ不満はあれど、やって良かった。音楽良し、シナリオ良し、若干外見が幼く感じるけれど絵も悪くない。そして点数にこそ反映させませんでしたが、何より「懐かしい」という気分に浸れたこと、これが幸せでした。
プレイ中は10歳位若返った気分でした。
そんなカンジで、KID初期のゲームプレイ済み、かつ本作未プレイの人には楽しめる作品であると思います。

そうでない人には基本お勧めしません。やって期待外れとか思われてもね。

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