dovさんの「Ruina 廃都の物語」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

一般的なRPGにおける「移動」の概念がなく、代わりにマップ上のポイントをクリックすることでイベントが発生するタイプのRPG。プレイ時間はSFC時代の大作RPGとほぼ同等(膨大なトライアンドエラーを含めての時間)。戦闘はドラクエ方式。成長システムもドラクエに近く、ややキツメに設定された戦闘を、熟練度を稼いでスキルを覚えたり「調合」や「料理」といったアイテムクリエイトで便利なアイテムを作ったりして切り抜けてねってバランス取りになっている。ストーリーは90年代に流行った系統で「セカイ系」「ファンタジー」「SF」の融合。例えば『ゼノギアス』『スクラップド・プリンセス』を彷彿とさせる。作者はおそらくTRPGやゲームブックでファンタジーに触れ、SF小説を読みまくった世代なのだろう。長文感想は「その世代じゃない」人による感想。
一言感想の補足:ここで「セカイ系」とは、wikipediaに記載されている

>「主人公(ぼく)とヒロイン(きみ)を中心とした小さな関係性(「きみとぼく」)の問題が、具体的な中間項を挟むことなく、「世界の危機」「この世の終わり」などといった抽象的な大問題に直結する作品群のこと」
>「世界の危機」とは全世界あるいは宇宙規模の最終戦争や、異星人による地球侵攻などを指し、「具体的な中間項を挟むことなく」とは国家や国際機関、社会やそれに関わる人々がほとんど描写されることなく、主人公たちの行為や危機感がそのまま「世界の危機」にシンクロして描かれることを指す。

という意味で使った。多分一般的な認知より広義の意味で私は使っていると思う(私の認識では『ゼノギアス』も『スクラップド・プリンセス』も『ファイナルファンタジー7』さえ十分にセカイ系)。この作品の場合、ヒロインはもちろんタイタス1世(笑)。


【システムについて】
 機械式、あるいは電子式ゲームはシステム剥き出しの面白さというのがあって、余計な夾雑物をまぜずにひたすら数字を揃えていくという作業に麻薬的な力がある。例えばエロゲーだと『戦国ランス』を初めアリスソフトのゲームが代表例だろうし、コンシュマーだと旧スクウェアのゲームにそういうゲームが多かった(などと書くと例が新しすぎると指弾されそうだが、それより古いゲームを知らないんデス)。パチンコの中毒性もこの同類であろう(※)。
 この面白さを制作者はよく心得ていて、お気に入りのキャラを「育成」して手強いボスと「戦闘」するという単純作業に忘我するような引き込みの力がある。あのゲーム世界に引きずり込まれて時間を忘れる感じがタマラナイという人にとっては、きっと期待を裏切られないデキ。テキスト読み返しがなかったりアイテムや特技が多すぎて選ぶのが一苦労だったりといった問題はあるが、その完成度は往年のSFC名作にも劣らない。

※完全な余談だけど、こうしたゲームのファンと見られる人たちがMobageやGREEのソーシャルゲームを批判しているのがよく理解できない。ソーシャルゲームの面白さって、まさにこれと同類の面白さだと思うんだよね。もちろん、この麻薬的面白さをコンプガチャなどと組み合わせてパチンコと同じ人食い的金儲けに走る姿は感心できないけれど、それをさておくと、彼らの批判には「俺たちの聖域に新参者が入って来やがって!」という意識が透けて見えるような気がする。キリスト教徒がイスラム教徒をヘイトするのに近いものを感じるのだ。


【ストーリーについて】
 世代によって大きく評価が分かれると思うので、私の立ち位置を書いておきたい。私は幼稚園生の頃からテレビゲームをやっていたが、生まれて初めて自力で全クリしたRPGは確か『サガフロンティア2』か『ドラゴンクエスト6』(こちらは発売からかなり経っていたけど、7までの間が長かったので当時はまだドラクエ最新作だった)である。その後、ロマサガ2,3、サガフロ、ドラクエ1-9、FF4-6、ライブアライブなどをクリアしているが、これらは発売直後にプレイしたのではなくて、かなり後になって懐古趣味でプレイしたものが殆どだ。私はプレイ速度が非常に遅くて、実は自力でまともにクリアできたRPGがこれくらいしかない。つまり、RPGを知らないわけではないけれどプレイ本数は非常に少ない、古いRPGしか知らないけれどリアルタイムプレイヤーではない、そんな人の感想だと思って読んで欲しい。
 さて本論。この手のゲームにおいて、シナリオはあくまでシステムの添え物であって欲しいと私は思っている。上述した麻薬的ゲームシステムを持つゲームにおいては、過剰なシナリオはシステムの邪魔になりかねない。比喩的に言えば、システムという麻薬にフレーバーを加えて味わいを整えるのがシナリオのあるべき姿であって、フレーバーの方が過剰になれば麻薬の品質を損ねてジャンキーどもを満足させられないのだ。よくある「FF5は面白かったが6は中途半端、7はつまんねーよ」という意見はおそらくそういう感覚を吐露したもので、私もその感覚はある程度理解できる。特にTRPGが大好きな人はこの傾向が強いらしく、『フォーチュン・クエスト』で有名な深沢美潮さんなど「ドラクエ5はストーリーが前に出すぎでイマイチだった」という趣旨の発言をしている。私はドラクエ5が大好きだし、流石にあの程度で「ストーリーが前に出すぎ」とは思わなかったが、RPGジャンキーの中にはここまで純度の高い麻薬を求める人さえいるのだ。
 しかるに、本作はテキスト量がもの凄く多い。もちろんゲームブックを意識した内容だからというエクスキューズは存在するのだが、それにしても「●■歴△○×年☆$%王国の&!◇王子は~」を地でいった(誇張抜きでそのまんまこういう書き出しである)ストーリーを延々読ませるのは明らかに過剰である。そういう設定資料的なものはゲームを気に入った方へのファンストーリーとして提供すべきで、ゲーム本体に組み込むべきではないだろう(少なくとも上述した麻薬システムをウリとしたゲームですべきではないと私は考える)。なるほど、こうした長々しい話はダンジョン探索中にはできるだけ控えめにしてあり、イベントや「書物」に収めるように工夫されているとは言えるだろう。しかし、謎解きの為に「書物」を読まされるのであれば結局は同じことだ。このゲームは麻薬システムに長大なテキストを組み込むという地雷圏に踏み込んでしまった。
 その時点で、よっぽどテキストが気に入らない限りそれを鬱陶しいと感じるのは必然であるが、公平であろうと努めてテキスト自体を評価するならば、それは

有名な作品のいくつかを組み合わせたキメラという感じ。なので自分にとってはあまり驚きや感動はなかったかな。

という印象であった。
「同人臭い」という言葉がある。これを「作者が自分の好みだけを並べて、自分の作品としてのアレンジメントを怠った」ことだと私は理解しているが、そういう意味でこの作品のストーリーもまた非常に同人臭かった。作者が大好きな作品の設定やシーン、あるいはお約束展開を切り取った素材を生のまま並べただけで、まるで調理がなってないのである。
 典型的な例として挙げられるのは、ラスボスだろう。容姿はセフィロトの樹(エヴァで有名なアレ)で名前はオーバーロード(元ネタは超有名SF小説『幼年期の終わり』に出てくるカレルレンやラシャヴェラクたちの種族名でしょ?)となっているが、あまりに露骨な趣味の顕示に思わず乾いた笑いを私は浮かべてしまった。私は主人公に賢者の弟子女(もちろん画像は四番!)を選んだのだが、その固有イベントでは、やはり『幼年期の終わり』に出てくるオーバーマインドらしき存在が登場し、しかも手に入る杖の名称が<上霊>である(上霊は直訳するとオーバーマインド)。ニヤリとする方もおられるのだろうが、小ネタで使うのならともかく物語の核心部分に思いっきり他作品の設定を持って来られるのは萎えた。
 また、人々の生活感も全く伝わって来ない。例えば、我が主人公である賢者の弟子ちゃんは師匠デネロスから教えを受け日々厳しい勉強を積んでいる……という感じでもなく、さりとて師匠の薬草作りを手伝っているわけでもなく、師匠に止められても勝手に洞窟に入って数日間(長いときは半年!)帰ってこないなど、好き勝手やりまくってるが全然怒られる様子もない。ネルも雑貨屋の娘という設定ながらやっぱり店を平然と開けまくっている。彼女たちがドラクエ7の主人公達のように子供扱いされてるなら分かるが、作中での扱いを見るに、ネルやパリスはおそらく成人した若者として扱われている。いわば彼女達はリスク無き自由を満喫しているわけで、この辺もキビシー世界を描いた物語の中でお花畑すぎ、ちぐはぐである。他にも、この作品はかなりエグい表現が多く、洞窟に潜るにはかなりの(身体の欠損や死をも含めた)覚悟が必要だと思われるが、それだけのリスクを負ってまで登場人物達が洞窟に潜ろうとする動機も曖昧なことが多い。主人公はタイタスに導かれて、パリスはチュナの為だとしても、ネルやラバンなんて何の動機もないように思える(ネルは洞窟の封印を解いたことに罪悪感を覚えているような発言が一応あるものの弱いと感じる)。中盤以降は多数の人物が洞窟を潜っているのに彼らの姿が影も形も見えないというのも変だし、主人公チームだけが異様に強すぎるというのも変だ(作中ではたった4人以下で数百人の軍勢を追い払うことさえある)。総じて、このゲームは全てが主人公にとって都合良く作られているような胡散臭さが漂っている。タイタス1世も流石にそこまでは関与していまい。
 最後に、物語の有機的な繋がりの希薄さについて指摘しておきたい。上述した目的意識の希薄さに加え、妖精の塔、小人の塔、巨人の塔はそれぞれが完全に独立した物語として存在していて、「あれ、何の為に冒険しているんだろう?」と思わされることがしばしばである。もちろんRPGというのは小さなクエストの積み重ねではあるのだが、例えばドラクエ5は各イベントが非常に有機的に繋がっていたし(ゴールドオーブ探しの一連のイベントは幼年期のイベントと密接に絡んでいて、プロットの巧妙さに心底惚れ惚れした)、ドラクエ1のように「竜王を倒せ!」のような明確な目的があれば目的意識の喪失に悩まされることはない。しかしこの作品は主人公が冒険する目的がよく分からん上に(タイタス1世の陰謀だったと気付くのはあくまで終盤。まーバレバレではあったけど)、既に書いた通り物語を下支えする生活感の欠如と相まって、果てない草原で途方に暮れるような気分にさせられる。
 お前がさっき挙げたドラクエ1だって生活感皆無だったろ、と反論される方もおられるかもしれない。確かにその通りだ。だが私の主張の大本を辿ればそもそも物語なんてフレーバー程度で良いのだと書いてあることに気付かれるはずだ。ドラゴンクエスト1のテキストはフレーバーである。Ruinaはそこを踏み越えて膨大なテキストの読破をプレイヤーに強いて来た。ならばせめてそれに見合うだけ世界と物語を描き込んでくれなければ割に合わないではないか。
「昔のRPGってのは描かれない部分も想像して楽しんだものだよ。君はそういう楽しみ方を知らないんじゃないか?」という有難いご意見もあるかもしれない。そういう方とはぜひドラクエについて夜通し語りたいものだが(得意分野はDQ2~7です☆)、この作品に関しては先に述べたように他作品からネタを取ってきたものが多くて「だったらオリジナルの作品で想像したい」と思ってしまう。加えて、この作品はこれまで挙げてきたように結構辛い矛盾が多くて、間を埋めようとするとどうしても言い訳じみた考察にしかならない。例えば数百人規模の兵隊を追い払える主人公が百匹ほどの夜種相手に戦おうとしない理由を考えるのはどうも詭弁めいてしまう。まあ、気に入った作品については、かなり言い訳めいた考察も嬉々として私はやるので、つまるところ「ストーリーが気に入らなかったから想像する気にもならない」ということなのかもしれない。
 ここまで書いてきて、比較対象がドラクエ一辺倒になってしまったことに気が付いた。「ドラクエの威を借る狐かよ」と言われそうだが、私が知ってる数少ないRPGの中でこのゲームに一番近いのがドラクエだっただけで、別にそういうつもりはない。商業ゲームと同人ゲームを直接比べているのも、私は元からそういうスタンスなのでこの作品を特に貶めようとしてやっているわけではない。それに、金が掛かるムービーのデキなどを直接比較しているならばさておき、今回の場合比較しているのはあくまで「ストーリー」なので、これは商業でも同人でもほぼ対等な条件であるはずだ。
 批判ばっかり書いたので気に入ったところも書く。エンディングで食材が買えて、その値段が元に戻っていたのは上手い演出だと思う。エンディングで食材を買う意味って当然システム的には全くないわけで、あれは「騒動が終わって元に戻りました」というシナリオ的な表現なんだよね。こういう「アイディア」の部分では感心させられるところがこのゲームには多々あって、そのアイディアを繋げてきちんとした「物語」に昇華できればと強く悔やむ次第である。もちろんシステムは最高だったので、総合的な評価は高い(自分は90点満点で採点しているが、この作品には80点を付けた)。SLGとRPGでジャンルの違いがあるとはいえ、このゲームは『戦国ランス』に似ているかもしれない。あちらもシステムは最高だったがシナリオが陳腐だった。

【何だかんだで楽しめた】 
 ちなみにキャラクターのお気に入りは狙いまくりだったキレハとフラン。いやー、このゲームのキャラはお約束通りのキャラしかいないけど彼女達はお約束通り可愛かった。「急所狙い」からの暗属性攻撃や射撃攻撃は惚れ惚れする破壊力で、後半は二回攻撃&魔法仕様可武器のおかげで反則的な強さ。更に「分身」「混沌の血脈」と組み合わせることで2人だけで1ターンにつき1500ダメージほどをボスに喰らわせる様は実に壮観でした。ただ、この二人だと「腕力」が足りないので必要になったらネルかエンダに代わってもらい、4人パーティの時はもう一人のお気に入りキャラであるラバンを入れてクリアしましたさー。エンダは男の子か女の子か微妙だったけど、ダッタを一応誘惑しようとしてたことやエンディングの絵を見る限り女の子なのかな。
 フランは地味に「忍び足」が超優秀。これ、実は重ね掛けできるので敵の出現率を合計100%下げてしまえば廃墟の図書館もノーリスクで調べ放題、墓所の攻略もらっくらく。
 キレハは「ツンデレデレデレデレデレ遊牧民」だと思う。口先で他人と距離を置こうとするだけの、素直で照れ屋さんな良い子じゃないですかー。容姿はそうじゃないけど「ちょっと世間知らずなお人好しお嬢様」というテンプレに近いキャラだと思う。「嵐をやり過ごすだけよ」とか冷静ぶっておきながら、誰かがいじめられてるのを見ると絶対放っておけないところに燃え。チュナを助けようとするパリスを「えらい」とニコニコ褒める様は実に萌え。tクビ見えちゃってる。
 おっと。ツンデレと言えば「……べ、別に、あいつのことが気になってるわけじゃないんだからな!? 勘違いするなよ!?」でおなじみのガリオー親方は外せませんな!

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