k1ntAmaさんの「AQUA」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

65AQUA
BGM・背景・エフェクトなど演出効果は素晴らしいのに、風呂敷を広げ過ぎて収拾がつかなくなったダメゲー。とりあえず、この絵柄でこの内容はないだろ
Sorahaneというメーカーが今年の1月に発売したノベルゲーです。


「命」と「絆」の近未来学園なんとかノベル というキャッチフレーズが示す通り、
世界観は完全に「SF系不思議世界」という印象を受けます。


気になるストーリーは


7年前に起きた悲劇…

主人公は嫌な事をさっさと忘れて他の街へ引っ越してしまう。

そんな主人公は7年ぶりに悲劇の街に戻ってきた。


出会うは3人の少女達。

救えるのはたった1人・・・


ちょっと違う気もしますが、大体こんな感じです。


さて、冒頭からしてわけのわからない単語のオンパレードです。
まぁこの辺は、物語を進めていく内にその単語や本作の世界観、
そして登場人物達を取り巻く謎が少しずつ明かされていく…といったよくあるタイプですね。

ゲームの流れは、シナリオ選択形式を採用しており
初期段階では、主人公を取り巻く人々とヒロイン3人の各ルートを描いた「WIND」編のみ選択できるようになっています。
このWIND編を読み解くと、新しい項目が選択できるようになり、そしてその項目をクリアすると…といったループ・システムで
ぶっちゃけkeyの「AIR」とフルコンパチブルって感じです。


ただ、本作は重要な欠陥があるんです。
このゲーム、なんと最後までプレイしても物語の根本的な謎がまったく紐解かれないんですよ。
核心を突かないように書くと、作中であくまで解決するのはヒロインと主人公達の周りの平穏だけであり
しかもそれは一時しのぎであって、完全な解決になってないのです。
いわゆる打ち切りENDってやつですかね、個人的にこれは納得いきません。消化不良すぎです。

どうにも、風呂敷を広げ過ぎて収拾がつかなくなった、というよりも
単純にライターが後先考えないでシナリオ書きあげたらどうしようもなくなった、って印象を受けました。
だって、シナリオの整合性とか全然ありませんし。このゲーム。
また、文章力もちょっと技量不足です。盛り上がるべきシーンで盛り上がらない、
BGMや画面効果に頼り切った"感動的なシーンの描写"はちょっとどうかなって感じです。


システム面は非常に素晴らしい出来ですね。
特に「シナリオプレイヤー」と呼ばれる、いつどこでも好きなシーンから再生できるという"しおり"のような機能はグッジョブでした。
正直セーブ使わなくても、これさえあればOKって感じですし。

CGも文句など思い浮かばないクオリティです。
特に背景です。塗りもさることながら彩色のコントラストが美しい。
岬での風のエフェクトといった、アニメーション描写も緻密でグッドでしたね。
あと、個人的にグッジョブだったのは中盤以降のタイトルですね。
BGMと相俟って感動してしまいました。
正直作中では一度も心揺れるシーンがありませんでしたので、このゲーム唯一の魅せどころといってもいいかもしれません。
まぁ一つ欠点を挙げるなら、画像範囲指定ミスなのか何回か背景ズレがありましたが
まぁこれは修正ファイルで凌げる程度ですしね。問題ないでしょう。

原画自体も可愛くてよろしいです。
難点を挙げるなら、この絵柄は萌えゲーやラブコメゲー向けの絵柄であって、
本作で活用すべきじゃなかったのでは?という考えも鎌首をもたげますね。
この辺の好き嫌いはプレイヤーの度量が試されるって感じです。


統括:まぁ、要はエロゲーに深いツッコミを入れちゃ負け組ってことですね。肩肘張らないで遊ぶのがベストだと思います。


取りあえず、「ヒロインと主人公が幸せになるならなんでもいい」というような、
ストーリーは脳内補完で足りる、と切り捨てる剛の者は買っても大丈夫です。





※これより下、完全ネタバレワードの垂れ流しですので、今後play予定のある方は見ちゃいけません。









はっきりいって消化不良です。
本作がエロゲーとして全く機能してないことを差し置き、単純なノベルゲーとして見方を変えても消化不良です。

まず締め方です。
ゲーム内では一応ハッピーエンドっぽいですが、上にも書いた通り
結果的に問題の先送りをしているだけで(事実、作中で「また同じ事が起きる」という掛け合いが見られる)、
そもそも主人公と千紗達が無理やり「ハッピーエンド」扱いになってるだけで、
圭次を筆頭とする各面々は全く救われていないことに目を瞑っているあの締め方は非常に納得ができません。

せめてもう少し、動向を描いてほしかったと願うのは私だけなのでしょうか?
だってLUKAS編では主人公視点で描かれていたんですよ?圭次は。
AQUA編に入った時くらいから、いくらなんでも彼の扱いがずさんすぎます。

その上ラケルがインクルードした"未来を確定する力"(ディファイン?)への対抗策がどうにもイマイチ理解できない。
最たる例が、終盤で千夏が主人公に「あなたにならまかせられる、もう大丈夫」といって千紗を託すシーン。
プレイ中てっきり私は、AQUA編ではラケルが消滅する為、
「ラケルによってインクルードされた未来」も因果律だかなんだかと一緒に消滅するんじゃね?やったね^^という無難な考えに至ったものの、
その少し後に「まだ千紗の因果律は消えていない」的なことを仄めかす、追い打ちの如き台詞があった為考えを直すハメに。
つまり、これってラケルやアクアが消えちゃっても、まだ千紗が死ぬかもしれないってことですよね?

で、これに対して千夏は主人公に対し千紗をまかせる、という掛け合いがあったわけですが、
作中で特に活躍した試しがない、人並より口車が回ることが取り柄としか思えない主人公が
千夏が生涯を捧げてまで対抗策を研究していた運命だか因果律だかを突破する力があるとも思えず(男はマナシキ使えないって設定だし)
どうにも置いてけぼりな印象を抱きました。
愛とか絆とか、そんなんで道が拓けるというのなら、千夏は滑稽な人生を歩んだとしか思えません。

それ以上に、都合のいいように踊らされた圭次とか、本当なんだったんだろう。
LUKAS編で、なずなと圭次を中心に過去編書いたけど、どうにも盛り上がらないから死亡キャラ出すかー、という
ライターのエゴがひしひしと伝わってくる薄幸キャラ沙織の、圭次との繋がりを描いた必要性はあったのか。
ホント、傍目から見て、もっとも救われないのは間違いなく圭次と沙織の二人なんですけど。
何で圭次視点の後日談とか省かれてるんだろう。ていうか結局沙織は全く救われてないわけですけど、いくらなんでも丸投げしすぎじゃないですか?
あと、システムコンフィグでの"沙織"が誤字ったりしてて、本当に報われてないキャラだと思います。合掌。


他にも、本作は同じように"プレイヤーを置き去りにする"展開が極めて多く、
本来なら"ここで泣け、感動しろ!"というシーンも、感情移入が出来ずに終わってしまってしまっている点もポイントです。
AQUA編で一番の盛り上がりを魅せる筈だった、千夏のお別れシーンも本当に微妙に感じました。
シナリオが平坦っていうか、とにかくテキストにおける表現力が乏しいです。
伝えたいことは判るけど、うまく表現できてない感じ。テンポも含めて、とにかく弱いです。
このライター、この手のジャンルに合ってないと思います。折角キャラが活きているだけになんか残念ですね。
なんか普通に萌え萌えゲーのライターやってればいいんじゃないの?


最後に、作中で諸悪の根源として描写されている"アダム"や、"瀬川長官"といった人物は、なぜ実際に登場しなかったのでしょうか。
今までの話の運びから鑑みるに、アダムは完全に本作のキーです。
アダムを何とかしない限りは、何の解決にもなってないと思うんですが、本当に何考えてんだろう?
他にも、梢が死ぬ原因となった"光"の事象、2人目千紗事故後の一般人の記憶改竄など色々腑に落ちない点もありますね。

…まさか、ED後にEcredに戻ったという圭次視点で、完結編という名の続編が描かれるとか…そんなまさかwwwwww



まさか…ねえ?
新品/中古アダルトPCゲーム販売 通販ショップの駿河屋

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