violinsさんの「ひとかた」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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フリーウェア。プレイ時間5時間56分。伝奇ものにしては描写が薄く淡白なのが痛い。過激さを加え、よりメリハリを効かせれば良作と評価し得た。「フリーにしては」という言葉から逃れられない印象の作品。

伝奇ループもの。一本道。Vista動作可(mp3版)。
立ち絵・Voiceなし、背景は実写の加工、音量調節・テキスト表示速度調節なし。BGM13曲(内2曲は主題歌instの別バージョン)+主題歌1曲。


謎の散りばめ方の甘さや、大抵の伏線が見えやすすぎ・展開が読めるといった欠点はあるものの、苦しみつつ牛鬼打倒へ近づいて行く様は良い。
ループものおなじみのトリック部分に関して強い驚きはないが、しっかり回収している点は好印象。
ただ、心情描写は甘く、伝奇というには薄く浅くぬるい。
BGMが良質で物語始めの引き込みは良いのだが、後述するように中盤からダレるのが…。




ループものは「繰り返し」による飽きがどうしても付きまとう。
だからこそ、インパクトある(特に伝奇では、過激な・残虐性のある)表現を使ったり(例えば「ひぐらしのなく頃に」(アニメしか見てないが))、
スキップ機能の徹底(「次の選択肢までスキップ」など)と無駄を削ぎ落とした文章(例えば「腐り姫」)などでもって中だるみを回避することが重要。
終盤の伏線回収さえ素晴らしければ日常がどんなにつまらなくても良い、との考えは受け入れ難いという私のような人には特にこのことが当てはまるかと。

本作にはその余地があったのにそういう手法を取らなかった為、段々とやる気が削がれていった。
前者の手法なら、町の歴史で「牛鬼の影響で狂った町人がある人物を殺す」という話があるのだが、
この狂気を"今現在の主人公"に向ければより衝撃は強く、引き込みも強くなった。
物語中に描かれる死は専ら子鬼によるもので、(牛鬼の影響から)町人は見て見ぬふりをする・重要な場に存在しない・気づかないという風に空気化してしまっている。
ここは非常に勿体ない。

また、後者の手法に関しては既読スキップがある分マシだが、冗長さが鼻に付く。
立ち絵がなく背景は実写に加工を施したものであるため、状況説明・感情・キャラの動きはひたすらテキスト頼りにならざるを得ない。
テキストに比重が置かれるだけでなく、無駄を削ぐよりも分かりやすさを優先してるためどうしても「長い」と感じてしまう。
内面の語りを半分近くに抑えられるとまた完成度が上がったのではないか。


加えて、主人公の感情の揺れ動きが合わなかったのが致命的。
若さに溢れているのは良いんだが、揺れが大きすぎてついていけない…。
ヒロイン達は結構魅力的だったりするから尚更にやり取りを堪能しきれなかった。

まあ一番気になったのは叫び声の書き方なんだけれども。ラストシーンでの日下部とかね、もう…





○総括

・BGMは良いのだが、インパクトに欠け徐々に失速する。ラストはあっさりめ。
・「年々牛鬼の力が強まる(=町人が牛鬼の精神的支配下に降り行動する)+歴史上狂った経験」→この材料があるのになぜ町人を空気化させたし…。
・日下部が町と牛鬼を憎むようになった理由もお粗末。急すぎ。
感情の隙間が大きくなった時期なので牛鬼の支配がより強く及んだのは分かる。
全体的に言えることだが、ある感情へ至る過程が短く、その感情にある状態を長く見せる。
だから陳腐な表現すれば「(いきなり)キレた」とかそういう風に感じてしまう。ついていけない。
・同人界で超有名なあの作品と同じく"意志の強さ"で解決を図ってるが、やはり浅薄。
人の想い・決断がつのって歴史の流れが出来てるは分かるんだけどね…。
絶対的な想いの強さを感じられなかったからだろうか。
・欠点の指摘が中心だったが、01年の作品であり且つフリゲにしては良くできている、との評判は頷けるものがある。
ひたすら読む作品なのでそれが苦にならず、ループものが好きな人は楽しめるか。但し、伏線回収によるカタルシスには期待しないように。

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