えびさんの「Vestige ―刃に残るは君の面影―」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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絵22+文12+音18+他00 「みんなで力を合わせて」という言葉で彼我の戦力差から目を背け、「やれば出来る子」という言葉で甘やかされる主人公。死神の鎌が首に当たっていることを知らない人々の、『オママゴト大戦争』。そして気づいた時には、もう……
映像面・・・
世間の評価からして、シナリオに期待ができないことは明白であり、せめて映像面で
の満足を求めたかったのだが、想像以下であった。
造形は綺麗であるし、塗りも並以上のクオリティではある。
差分抜きとしても、フルプライスで55枚とはCGの枚数不足を感じる。

SD画も、その可愛さとは裏腹にスベっている感が強い。この為、プレイヤーに妙な
気恥ずかしさや白々しさを植えつけただけという、最悪な印象を残しただけになって
しまった。


シナリオ・・・
説得力なんて難しく考える必要はない。
読み手が感じるであろう疑問や違和感に答えを示すことに気を付ければいいだけ。
そもそも、説得力などという言葉は大それた物なのだろう。

  オレの手には、妖たちを斬り付けた時の生々しい感覚が残っている。
   それは命を奪ったという事実の重みだ。

どこにその『重み』を表現しようというテキストがあったのだろうか。
彼は妖を斬ることを躊躇ったか?
彼は自分が死んでしまうかもしれない可能性に恐怖したのか?
そういった描写も無しに、このようなマンガかラノベ辺りから借りてきたよな言葉を
独白させてしまえば、主人公の存在が自己陶酔しているだけの中二病罹患者に成り下
がってしまうではないか。
そして、直後、こうまで言わせてしまう。

    オレでも本気になれば出来る。

中二病罹患者を放置するな!

自分が巻き込んだ若葉を自分の手で殺せず、静姉の手を汚させた。
その後悔で押しつぶされそうになっている最中、静姉に告白をし体を重ねる。
誠実さが主人公の魅力だとは言わないし、子供っぽい主人公であっても問題はない。
しかし、あんまりではないか。
自分が作り上げているキャラクターを殺そうというのだ。その散り際に華を持たせた
いとは思わないのだろうか。その死に意味を持たせようと思わないのだろうか。

戦闘描写のそれも酷いものだったが、世界観設定、キャラ設定、或いはそれらの転が
し方。全てにおいて酷い出来のシナリオだった。


唯一の光明は、若葉シナリオの突き抜けた『気持ち悪さ』だ。
どうせやるなら、これくらいやってしまえばいい。
この胸糞悪くなるようなシナリオは青山氏だろうか。
であるなら、まだ青山拓也の名前を追いかける光明を見いだせる。しかし、その一方
で複数ライターの中に青山拓也の名があっても、それは作品の和を乱しかねない不安
要素に成り兼ねないという証明にもなったということか。

出来ることならば、Black Cycのような、もっと気持ち悪いシナリオに寛容なブラン
ドの作品で、青山拓也に再開できることを希望したい。


音楽/声優・・・
音楽はAngel Note。しかし、Angel Noteの音楽でこれ程気持ちの盛り上がらなかった
作品はないが、それは曲の良否の問題ではないとフォローだけはしておきたい。
テーマ曲もAngel Noteである。
不知火つばさ(from Angel Note) feat. Ritaという組み合わせでロック色の強いOP
曲はなかなか魅力的だった。

さて、声優陣であるが……
 いづみお姉ちゃんじゃなかったら!
  いづみお姉ちゃんじゃなかったら!
   いづみお姉ちゃんじゃなかったら!
    いづみお姉ちゃんじゃなかったら!!
     いづみお姉ちゃんじゃなかったら!!
      いづみお姉ちゃんじゃなかったらーーーーー!!!
       そう思ってましたが、どっちみちダメですな、こりゃ。

まきいづみの声は母性的か幼女的か両極端で、今回の静姉のように凛としたキャラク
ターとのマッチングの相性は最悪だと言える。
シナリオ終盤での狂気的な演技の為のキャスティングであったのかもしれないが、そ
れにしても序盤でのミスマッチが過ぎるだろう。
もっと無難な選択をするなら、風音や青山ゆかり辺りが真っ先に思い浮かぶが、それ
でなくとももっと適当なキャスティングがあったろうかと思うのだが。
他の声優陣は特に違和感はないものの、どうにもまきいづみの悪い意味でのインパク
トの前に霞んでしまった印象が残る。

まきいづみの声が、まさに、Vestigeのようにこびり付いて離れない作品となった。

─エキサイト辞書──────────────────────────────
Vestige
〔昔存在していたものの〕痕跡(こんせき), 跡,面影,名残,形跡
──────────────────────────────────────



ああ、そういえば、日本の公園ではトレーニングと言って刃の付いた薙刀や刀を振り
回す行為は禁止されていますよ。

【ヒロインタグ】
/ #猟奇的な彼女 /
【ジャンルタグ】
/ #中二病 /
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えびさんの「Vestige ―刃に残るは君の面影―」の感想へのレス

どうもです。半人(打ち間違えた)変人です。

>『重み』
こういうのって、そこに至るまでの「過程」が全てだと思います。
『えび』さんが「描写も無しに」と感じたという事は「そういう事」なのでしょうね。

>散り際
生物の確定事項を軽く扱える「親」は、どんなつもりで「子」を「生み出している」のでしょうね?
(こういう作品、割と多い印象があります。物語の内容以前の問題の様な気がします)

>「みんなで力を合わせて」
こういう「先の見えていない者」の戯言、偶には報いを受けて欲しいとか思います。
こんな「結果オーライ思考」が罷り通ってばかりでは、影で苦労している者が不憫です。

日頃から「本気」ではない者が「本気」になったところで何が出来る、みたいな。
そんな作品にも偶には出会ってみたいものです。まあ、既に在るのかもしれませんが
この手の作品では今のところ出会った事が無いです。と言うか需要も無さそうですが
その方が、まだ「Vestige」の名に相応しいのではないかと。「怠惰の痕跡」みたいな?
2011年01月09日14時46分26秒
>black22さん
レスありがとうございます。
既に発売から半年経っており、批評空間的にも「答え」が出たかな?と思う、平凡以下のゲームに今更あれこれ言うのもどうかとは思うんですがね。

>日頃から「本気」ではない者が「本気」になったところで何が出来る、みたいな。
一応、この作品でも「本気になったところで何が出来る?」というような自問して落ち込む描写はあるのですが、そこへ行く迄と、そこから立ち直る迄と、両方の描写があったような、なかったような……
いずれにしても、印象に残るようなイベントがないゲームでした。

ブランドネームだけに爪痕を残した……とは、皮肉として痛烈すぎるかな。
2011年01月09日15時05分10秒
>印象に残るようなイベントがないゲームでした
何と言うか、この一言が作品の全てを表しているのかもしれませんね。
受け取ろうとしていても、何も受け取れるものが無いのでは仕方が無いと言うか…

お返事、どうもでした。
今後も時々覗きに来ては、こうして何か書き込むかもしれません。
もし宜しければ、また相手してやって下さい。(スルーして頂いても構いませんので)
2011年01月09日15時52分26秒

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