amaginoboruさんの「超時空爆恋物語 ~door☆pi☆chu~」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

電波気味なOPにメタネタ乱舞の共通パート。バカゲーの類かと思いきや、個別は歴史ネタに泣き要素とレパートリー豊富な内容。物語の着地は丁寧でヒロインも総じて可愛らしく、埋もれた良作級の内容です。これで日常会話も同レベルで作られていれば文句なしだったのですが。
時を超えて空間を繋げられる主人公が、過去の偉人有名人を次々と現代に呼び寄せ
ちゃうお話です。静御前や小野小町など、全員女性なのはエロゲのお約束ですね。
そこへ幼馴染姉妹を加えて、1つ屋根の下で暮らすお話です。

腰がくねる異様なOPからバカゲー特化と思われがちですが、個別ルートはシリアス
中心。とはいえ読んでいて辛くなるような代物ではありませんし、お話としても上手く
整えられた良個別が多かった印象です。歴史上の人物がヒロインなだけに、彼女らの
エピソードを上手いこと取り扱っています。

コメディ系らしく探せばいくらでも粗の出る展開ではありますが、落着点がいずれも
丁寧ですし、シナリオギミックも「おお、なるほど!」と得心の行く代物ばかり。
ガチの歴史小説ほどではありませんし、タイムパラドックスなどツッコミどころも
ないわけではありませんが、その辺差し引いても楽しく読み進めることができました。

加えて面白かったのがメタネタの数々。メタ以外の笑いはテンプレートでお世辞にも
上質ではないのですが、メタネタだけは際どいところを突いて笑えました。中でも
アドリブシーンが面白い、というか酷かったw 放送事故レベルのぐだぐだっぷりは
一見の価値ありです。

他の要素を見てもヒロインのキャラはいい娘ばかりだし、伏線も意外なところに敷かれて
いて後とで気付いたりと、おおよそバカゲーらしからぬクオリティです。浅く広くな
作りで深みこそありませんが、良作と呼ぶに十分ではないでしょうか。埋もれてますね。

ただし、その面白さ同士を繋ぐ日常会話や共通シーンが、総じて味気ないのは欠点です。
コメディ系のテンポで見せるオーソドックスな会話ですが、尺を伸ばしているだけ
のように見えるほどには面白くありません。パロやオマージュ、メタネタの時だけ
面白くなるので、日常会話に問題があるのでしょうね。

ということで、盛り上がる一瞬での楽しさを求める方にオススメな作品です。作品
全体の空間を楽しみたい、コメディ系らしい弾む会話を楽しみたいといったプレイヤーは
逆に要回避です。キャラゲーで会話がおもんないのは致命傷ですが、ドアピッチュの
場合は個別や瞬間風速でその辺をカバーできている感じですね。



以下ネタバレあり感想。










ヒロインを歴史上の人物としたのが、ただのインパクトで終わっていなかったのは
お見事でした。卑弥呼ルートでは邪馬台国の位置や壱与・台与のギミックが。
パトル玉環ルートでは三大美女を選択肢にするエロゲらしい演出が。乙姫ルートは
歴史こそ絡みませんが、他ルートの伏線を回収することで話を立てていて、いずれも
楽しむことができました。

中でも静ルートは落としどころがお見事でしたね。静御前の消息にうまいこと繋げ
たなと。特に旅立つエンドのオチが私的には好み。あの流れなら普通は義経が
モンゴルに渡ってチンギスハーン説へ繋げるところですよね。そこをあえて頼朝の落馬
死亡へ繋げる程度にとどめたことが、結果として読み手の意表を突けているなと。

ガチモノの歴史IF小説などに比べたなら秀逸とはいいがたいのかもしれませんが、
エロゲですからね。ヒロインを楽しむキャラゲーでここまでお話を作れているわけで、
十分すぎるほどの個別ルートだと思います。

乙姫ルートにしても、お話自体は十把の泣き系個別と大差はありません。が、個別の
終盤で主人公&ヒロインを輝夜へとシフトさせることで、話に新鮮味を持たせています。
乙姫ルートといいつつ、彼女がヒロインのお話は結ばれた時点で終わっているのですよね。
以降は輝夜を中心に物語を回していたのが上手い視点変更だなぁ、と。


とまぁ個別ルートの終盤はいずれも楽しめたのですが、前述のとおりそこにたどり着く
までが辛かった。破綻していないだけでぶっちゃけ面白くなかったです。作中でも
「尺稼ぎのため会話を伸ばし伸ばしにして~」的なメタ皮肉がありましたけど、製作陣も
自覚はされていたのかもですね。

原因はシンプルで、ボケ役がいないんですよね、このエロゲ。イケメン主人公と美人所を
集めたヒロインばかりで、笑いを取りにいくキャラが存在しない。なのにボケツッコミで
会話を回そうとするものだから盛り上がらず、小町暴力や主人公弄り、パトタマの喧嘩
あたりで強引に落とす悪循環でした。

静や織姫が時にボケますし、主人公もキャラを壊してボケ担当に走るケースもあります。
ですがそれらは美男美女のイメージを壊さない程度でしかなく、会話で楽しませる
レベルにはまったく届いていません。キャラを崩すなり、ボケ担当を用意するなりして
日常を盛り上げて欲しかったところです。

例えばメイビーソフトの『モノごころ、モノむすめ。』。話の導入からオチまで本作と
近しい部分の多いエロゲ(暴力ヒロイン担当声優まで一緒)ですが、あちらですと
巻子というトンデモキャラがいるんですよね。もう登場するだけで笑いが取れるぐらいの
ぶっといヒロインが。

ドアピッチュだって何人も登場人物増やせるわけですから、場を繋ぐことに特化した
古代娘ヒロインがいても何ら違和感はなかったと思います。あるいは玉環やパトル
あたりにその役割をあてても良かったかと。せっかく山場は面白いのですから、その
過程にももう少し配慮して貰いたかったです。ほら、作中でも結果と過程の重要性を
説いていましたし。

やはりメイビーソフトのエロゲを例にするなら、バカエロで笑いを掻っ攫う手もあった
と思います。バカゲー風味なんですから何やっても許されますし、中の人を用いた
バカエロシチュとかはいけたんじゃないかなと。そうすれば小町もいちいち入浴シーンを
差し込まれることなかったでしょうしw

バカゲーらしい見た目どおりのバカ要素、裏をかいた歴史要素に泣き要素、ヒロインの
キャラ個性などなど、個々のパーツはとても良くできているのですけどね。それらを
繋げる導線が長く弛んでいたことが、本作の人気がもう1つ上がらなかった理由かも
しれません。私的にはとても楽しめたエロゲなだけに、それだけが残念でした。

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