Ichijo@Landscapeさんの「死神の接吻は別離の味」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

セカイ系のにおいが残るあの頃の、心の中でループを続ける男の物語。Distant Promiseが好きでシナリオに期待しましたが、キャラゲーの域は出ていないかと
Alcot系列のゲームは以下をプレイ済。
・春季限定ポコ・ア・ポコ!

本作ライターの作品は未プレイです。

本作は、イメージソングである「Distant Promise」から興味を持ち、
プレイに至りました。(作中では使われていないようですが)
https://www.youtube.com/watch?v=6lzEIHBXa6k
歌はRitaさん、作編曲MintJamで、のちにMintJamによってセルフカバーされています。


本作はDMMで買いましたが、Windows10でも動作しました。
吉里吉里優秀。


プレイ順は、ほのか→雫→琥珀です。


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Distant Promiseで期待を高め過ぎたのか、
感想としては、普通のキャラゲーという印象です。
キャラゲーを語れるほどプレイしていないのでアレですが……。

ただ、後で触れますが、琥珀のエンディングのムービーは美しい演出でしたね。



◆シナリオ
「命を賭して誰かを救ったとしても、その人が、周りの人が幸せになるとは限らない。
 むしろ自分の死に囚われてしまうかもしれない」
「日常がずっと続いていく保証はない。今やるべきことがあるんじゃないか」
そういった気付きを与えてくれる作品としては、綺麗な作品かなと感じました。

ただ、エロゲなので仕方にとはいえ、いちゃらぶ等々の描写が
そういったテーマを薄めてしまっているかなと。
いちゃらぶが主でテーマが従かもしれませんが……。

個人的にいちゃらぶは興味ないジャンルなので、辛かったです。
エロゲやっておいて言う文句じゃないでしょうけど。


<日和への想い>
主人公はひとつの問題を抱えています。
幼馴染の日和の死を吹っ切れず、自分が代わりに死ぬべきだったと考え、
「いつ死んでもいい」「生きていることが辛い」という思いに囚われています。

ところが、個別√に入ると、割とあっさり日和の存在感が薄まっていきます。
ふと日和のことを思い出しても、それまでのように重苦しい感じはなく、
主人公はヒロインとの恋愛を楽しく謳歌するようになります。

このあたりの描写の切り替えは上手くなかったように思います。

「序盤できつい描写をして、その世界の厳しさを読者に伝える」という演出はよくあり、
本作も同等の手法で主人公の置かれた状況を伝えている、とも言えますが、
ちょっと厳しい書き方をしますが、
「主人公の抱えていた問題って実はたいしたことなかったんじゃね?」
「自分は悩んでいるんだと問題を肥大化させて、自己憐憫にふけってるだけじゃね?」
とすら思えてしまう描写になっており、残念でした。

見方を変えれば、「今、抱えている悩みに殉じることが大切に思えても、
他に楽しいことを見つければ、意外と楽しく生きられるかもよ?」
と悩みを抱えたプレイヤーに寄り添った物語、とも読めますが、
そう読めてしまうことは、作品テーマ的には良くない気がしますね。

ただ、(ちょっと話はずれますが)
ちょいちょいサブカルネタが差し込まれたりロリコンをやたらネタにしたりで、
これらの描写がかえってこれらを肯定(受容)しようという狙いに見えたので、
プレイヤーに寄り添う書き方自体、このライターさんの持ち味なのかもしれませんね。


<エンディングについて>
エンディングムービーの演出は良かったですね。

ふたつの光が寄り添うように夜空を飛んでいく。
派手さはありませんが、綺麗な終わり方だったと思います。

ただ、その後の幼い主人公と日和の描写は、
一瞬夢オチっぽく見えてしまうので、
もうちょっと上手くやれなかったのかなぁと。
エンディングが上手くきまっていたように見えたので、もったいなく感じました。



◆絵
頭大きいな―とかは思いましたが、全体的に安定していたと思います。
デザイン的には十六夜が一番好きです。
基本的に、かっこいいものが好き。



◆音楽
作中で「Distant Promise」が聴きたかった!
はともかくとして、いかにもエロゲっぽいプレーンな感じのBGMですね。
「深淵」が好き、かな。ちょっと異色な気がしますが。



◆総評
ゼロ年代の作品なんですね。
一言コメントでも触れましたが、世界に直結した物語ではないにしろ、
セカイ系のにおいがする作品で、ちょっとイライラしつつも和めました。

自らの抱えた問題で思考がループして、それをブレイクスルー出来ない、
そんな男の子が女の子と出会うことで、
抱えていた問題が解決、もしくは矮小化されて乗り越えられる。
エロゲの王道パターンのひとつですよね。

ブレイクスルー出来ない現状(凛から告白されって、フる)を
ブレイクスルーする方法と同じテーマで書いてしまったのが
多分良くなかったんじゃないかって気がしますが。



ちょっと批判的な視点で感想を書いてしまいましたが、
特別悪感情はないです。

エンディングで安易に大団円系のハッピーエンドにせず
やるべきことはやったのかなという印象です。

欲を言えば、さらにそこを超えてほしかった気持ちもありますが。
雫と両親が可哀そうですしw
(ほのかはまぁ、誠が代替可能な存在であるように思える)

ほのか√と雫√で誠が生き残ってしまったので、
(どういうからくりで生き残ったかはともかくとして)
恋愛という誰かに依存する方法以外で問題を乗り越えて生き続ける、
琥珀√では、そういう姿も見たかったです。



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◆余談
タイトルは、ちょっと格好つけすぎたんじゃないでしょうか……。



◆余談2
強いてセカイ系の「世界に直結した」感を挙げるとすると、
十六夜が最後の誠の顔を「これほど綺麗な死に顔を見たことがない」
と評するところですかね。

そんなわけないでしょうと。
誠は結局幼馴染を亡くした哀れな普通の少年でしかなく、
十六夜の言葉が心からのものであるとすれば、
それは単に十六夜がそれまで人間に興味なさ過ぎただけだろうと。

「個人と世界をつなぎ中間層を感じさせない」という意味で、
この大言壮語にセカイ系っぽさがあったかなと思いました。



 

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