CGTさんの「シークレットゲーム -KILLER QUEEN-DEPTH EDITION-」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

同人版はプレイ済。PS版は未プレイ。エピソードⅣのお粗末さが返す返すも残念。
 例によって設定的に駆け引きなどは期待できません。
 人を排除する手段がこれほどあふれていると下手な駆け引きするよりも、力に物を言わせたほうがはるかに堅実ですしね。

 まずはエピソードⅠ。
 咲実が容易に人を信じないという設定でその理由もあるのに、最初の解散のあたりの「人を信じてはいけませんか」あたりのくだりはちぐはぐに思えますね。なによりあそこであれだけ大言を吐きながらそのあとは足手まとい&現実逃避し続けるのは流石にどうかと。もちろん認識が甘かったというのはあるのでしょうけど、それならそれで集合した際にも凹んでいたのにあんな台詞を言うのは不自然ですね。
 伏線が色々と張られていますが最初のエピソードだけに放置されているのは致し方ないかな。ただ最後の麗佳絡みでの主人公の発言&行動は明らかにマイナスです。そもそも自分が相手を信じず口先で言いくるめようとしたので、当然相手が信じなかったらその信じないことを責める。はっきり言えば主人公は相手に騙すと言っているのと同じでしたからPDAでの台詞はそっくりそのまま主人公自身に返したい有様でしたね。あんなのはお世辞にも説得とはいえない。まずは自分が信じ、そして相手に信じてもらえるような言動や行動を行うべきでした。そういう意味では渚の最後の台詞は意味不明だったかな。主人公は渚はともかく麗佳を信じてはいなかったのですから。

 次はエピソードⅡ。
 エピソードⅠで最後の敵役であった麗佳ですけど、序盤の意味があるぐだぐだっぷりを抜けると面白くなりますね。典型的なツンデレですが、作中のヒロインの中では一番好きでした。
 ただ話としては「主人公が序盤は手錠で麗佳と手錠で繋がった直後を除き口先では色々言うけど実際には手錠や首輪を外そうとしない(首輪に関してはPDAを集めようとしない)のに、中盤で麗佳が変わってからは一転して手錠を外そうとしだす変化が不自然」とか「落とし穴に2人で落ちた後に手塚と長沢が怪我もなく別れているのはおかしい。また2人が戻ってくる(間に合わない可能性は当然あるけど)のは予想できるのだから時間切れまで長沢や手塚が階段で待ち伏せするのは当然なのに何故かしない」とか「いくら頭の回転が速いといってもあの朦朧状態の台詞ですべてを理解しきるのは無理がある」とか「倒れた主人公を連れてどうやって部屋まで行ったのか(引きずったにしては体の損傷の描写がない)」とか「葉月の首輪の作動からスマードガン攻撃システム発動まで15秒どころか1分くらいは過ぎてしまっている(スマートガンがあの戦闘禁止エリアになかったとしても別種のペナルティ設備はあるはず)」とか「エピソードⅠならともかくこちらでは渚が身を挺して庇うほどの心境に至る出来事や描写に欠ける」ということが気にかかりました。
 なによりエンディングまで見ると郷田がゲーム終了を早めて主人公を助けたようですがそれはどう考えても無理です。確かに既に勝者が決まっていて動きようがなさそうならゲームを切り上げるのもありでしょう。しかしこの介入の場合、勝者にならないはずの主人公までが勝者になってしまいます。これがただのショーならともかく賭博が絡む以上、GMの介入で一方的に勝者を決めてしまうような真似が出来るはずもありません。ここだけはどうにかして欲しかったですね。
 あと疑問点として主催者側が何を思って手錠を用意したのか、というものがあります。エクストラゲームはあの状況をみて提案してきただけに過ぎず、最初から主人公と麗佳(ではなくとも他の参加者)が手錠で繋がる事を想定できたとは思えません。それを予測するには偶然の要素が多すぎる。なら別の用途を想定したと思うのですが、主人公がジャックのPDAというならともかく他人を拘束したうえで生かしておく必要性がありません。ましてや自分と他人を繋ぐなど論外。郷田の台詞ではありませんが「何に使えというのやら」としか評しようがありません。普通に設置するなら終盤で麗佳が言ったような冗談として混ぜておくのでもいいのですが、主人公救済として出すならばちゃんとそれに相応しい筋道の通った理由を用意して欲しかったものです。
 主人公を疑い信じるまでの過程や信じるようになってから主人公を変えようとしていく過程をもっとも丁寧に書いている点や、葉月の最後の渋さとか光る部分もあるだけにそういった部分が残念でした。

 次はエピソードⅢ。
 最初はかりんから。理由としてはエピソードⅡのラストを考えれば流れとしてそちらのほうがいいかなと。高山の最後はこの話が一番かっこいいとは思います。ただ、らしいかと言われると善人過ぎるとは思いますが。あと渚の最後はこのゲームで最も切ないかな。そしてこのルートでのみ主人公が死ぬ訳ですけど……そういう終わりはありというかあるべきだとは思っていました。そしてヒロインのその後を書くならばかりんがもっとも相応しいと思います。とはいえ、やはり読後感はすっきりしないですね。このルートで唯一、首をかしげたのは渚に撃たれた後の手塚の思考かな。「………いや、そんなはずはない!(以下略)」と考えるわけですが、直前まで襲撃を受け続けていたならともかく、その前の襲撃が終わってから随分と時間が経過しています。ましてや高山への襲撃からとなるといったいどれほど時間が経っているやら。それだけの時間があればツールを発見してインストールしていてまったく不思議ではありません。つまり常識的に考えて「最後の襲撃から待ち伏せまでの間にそんなツールを発見してインストールしていたのか」と思うべきです。実際にはそうではないわけですが、あの時点の情報ではそう発想しなければなりません。それを無理矢理おかしな思考にしたのはマイナスですね。
 次に渚。どこかであるとは思っていましたが、このルートでは主人公の駆け引きがあるわけですが、突っ込みどころは多いものの1つの方法としてはありですね。しかし25億を賭けて最終的なオッズがいくらになったかわかりませんが仮に100:1なら2500億。渚の身請け代や賭け用に借りたお金を返しても億万長者ですね。
 このエピソードで文香の伏線がより明確に張られるわけですが……特に渚ルートではあんな思わせぶりなシーンをやっておきながら放置というのは感心しませんね。当然、エピローグでは同じホテルで目覚めるはずなのに文香の姿はおろか、文章すら一文もないという有様ですしね。

 最後にエピソードⅣ。
 正直言って一番出来の悪いエピソードでした。突っ込みどころがありすぎる&内容が好みでないこともありますが、詰め込みすぎて個々の要素が薄くなっているところが痛いですね。生き延びる人間が多い&裏側などの動きの描写もあって各キャラの話の割合が少なくなっているので心情の変化が唐突に思えることが多いです。そのために途中で麗佳と葉月を事実上退場させているのでしょうけどそれでも消化し切れてない。多数の視点で話を展開してそれを一点に集約するのはうまく書けば確かに面白い話になるのですが、エピソードⅣの場合ただ並べて書いているだけでまとまっていないのですよね。もちろんそれぞれの視点がまったくの無関係ではないけれどどちらかというとただのネタ明かし程度でしかなく、見せ方も下手なので各視点がぶつ切り感にあふれていますし。話の構成の失敗は明らかです。
 また内容にしてもハッピーエンドを好む私としては死亡キャラが少ない話は望んでいたわけですが、流石にここまで出来が悪い話だと評価できませんね。問題点を挙げるなら「組織があまりに馬鹿すぎる。いくら想定外のことがあったとしても対応が悪すぎるし、エースの動きがある程度しか掴めない等、よく今まで存続できたと不思議に思えるほど」「文香への協力はすべきじゃない。やり口云々の問題以前に文香に協力する=優希の父親を殺す協力をするということは明白なのだから、もし協力するならば優希に説明した上でやるべきだし、条件として父親の助命(例え一生牢屋から出られないとしても)はすべき」「咲実の説得が酷すぎる。言葉と行動が支離滅裂。何を望んでいるのかさっぱりわからない。それに主人公が動かされるので白けてしまう。挙句あとから咲実が謝るのは言語道断だし、自殺というか心中に皆を誘導するのは問題あり」「手塚&高山がおいしいところを持っていくが、それ自体は不思議ではないとしてもそのあと主人公達を殺さないのは不自然。お金に興味がなかったとしてもあそこで殺そうとしない理由がまったくない」「エンディングでろくに会話や接点のなかった麗佳が主人公にやたらと好意を寄せている」「エンディングで優希に真実を伝えようとしていないが、正しい正しくないという以前に今のうちに伝えなければ父親と話す機会が失われるのに傷つけたくないとか相手を思いやるふりをして責任逃れをしてしまっている」などでしょうか。
 特に問題なのは2つ。まず組織に工作員が潜入して工作するのはいいけれどそれは逆もまた然り。つまり組織側もエースに工作員を潜入させていて当然というより必然。となれば内容の細部はともかくエースの工作員がゲームに工作を行っているという事実は既につかんでいるでしょう。そして小規模な作戦ならまだしもあのような大規模な作戦行動をとるとなればどう贔屓目で見たところで確実にその情報は組織に伝わるわけです。この時点でシナリオが破綻してしまっていますね。今まで組織によってエースが何度も危機に陥ったというにはあまりにも組織とエースの能力に差がありすぎてお話になりません。もう1つは咲実の説得?がおかしいということが挙げられます。主人公が咲実達を自殺の道具にしていたのは確かですが、あの状況で戦うことを選ぶというのも自殺行為であるのは誰の目にも明確です。あの面子でプロと戦うなど奇跡でも起きない限り全滅必至。つまりあの選択は「万が一の可能性に賭けて戦う」か「数時間は稼げるけどその間にエースが主催者をどうにかできなければ億が一の可能性に賭けて戦わなければならなくなる」というものであるわけです。絶対に戦わなければならないなら絶望的ではあっても少しでも可能性の高い前者を選ぶのもありでしょう。しかし既にエースが動き出しているわけですから奇跡が起こることをあてにするより後者を選んで数時間に賭けたほうが遥かにマシなのは言うまでもありません。そちらでも主人公は助かるわけですしね。実際には前者を選んでなおかつ奇跡が起きて助かるわけですが、皆で生き残るというお題目で自殺(心中?)しようとする人間が自殺しようとする主人公をなじってどうするというのか。選択が逆ならまだしも説得力があったのですけど。また主人公に投票させずにPDAを破壊するわけですが、それは「主人公とは共に戦わない」という意思表示に他なりません。なのに掌を返すどころか自分のやったことを棚にあげて一緒に戦うのは呆れるのを通り越して嫌悪せざるを得ないです。おかげで以降が全部台無しになりましたね。奇跡が起こるのも構わないし、ゲームを終わらせるのに外部の力を借りるのもいい。けれど奇跡を前提とした話を当たり前のようにキャラクターが語ったり、外部の力が明らかにおかしいのではシナリオの根幹を否定しているようなものです。また一応このルートの事実上のヒロインは咲実であるのにわざわざそのヒロインを貶めるというか魅力を損なわせてルートの評価が高くなるわけもなく。まったく何を考えているのか理解に苦しみますね。
 折角これ以降ゲームが行われない&参加者の大半が生き残るという点だけみれば評価できるのに肝心の内容があんまりな出来でしたね。あと個人的に咲実はルートがあるわけだし、このルートでもくっつけるのは勘弁して欲しかったかな。別に優希とくっつけろとは言わないけど、これでは本当に優希はマスコットに終始してしまっていますし、他のエピソードと比較すると咲実がいない場合のみ他のヒロインとくっつく=他のヒロインは咲実の代わりということになっています。それこそ誰ともくっついてないけどお墓の前で「私(私達)が奪ってみせる」くらいの宣言をするほうがよかったかな。

 最終ルートが並以上の出来なら名作とまでは言わないまでもその手前くらいの評価はできたのに、これでは最終ルートを除外して鑑みてかろうじて良作といったところでしょうか。
 どのライターさんの担当か知りませんけどまともに解決させるだけのシナリオを書く技量がないなら無理をせず身の丈にあったシナリオでも書けばよかったのに。
 あとは他の方も書かれていますけどエロが無理やり挿入された感は否めません。エピソードⅠ以外はそんなときにやるなと言いたいくらいですし、エピソードⅠにしても見られているだろうにやるのはどうかと。おまけなどで入れるべきだったと思います。

 さて、この作品では信じるということが大きなテーマになっているわけですけど。無条件に信じる=正しいというのは共感できませんね。
 エピソードⅠ~Ⅲまでで主人公が信じてくれないことに文句を言う(思う)シーンが結構ありますが、そもそも人に信じて欲しいならまず信じてもらえるようにすべきです。基本的に口先で信じろというだけで行動を伴わないので当然信じてもらえない。言葉の前に信じてもらえるよう行動で示すべきですね。確か行動で信じてもらえるように示すのはエピソードⅠの咲実にPDAを差し出したときくらいかな。そういう信じさせない主人公に苛立ちを感じたかな。

 作中の台詞で一番心に残ったものを挙げるとするならば賛同者は皆無でしょうけど
 「好きなら……未練を残してしまうような相手なら、貴方は自分で何とかしなゃいけなかったのよ」
 だったりします。内容だけ見ればとりたてるほどのものではないでしょうけど、主人公がよく頑張った事を理解しながらもそう言わずにはいられなかった心情まで汲むと切ないですね。
 他にも麗佳の台詞にはいいものが多いかな。「………私と死ぬのは嫌?私は構わないわよ(以下略)」や「でも大事って事と、必要ってことは別なのよ(以下略)」あたりは気に入りました。

 同人版と比較するとキャラによって設定が大きく変わっているわけですが、優希はともかく文香の設定変更は減点ですね。同人版だと一番いい女だったのに……こちらだとおかげでブレることもあって魅力が下がっていますし。
 同人版だと文香ルートが欲しかったですが、こちらの設定だといらないです。というよりこの設定のせいでルートが作りにくくなったのは間違いないですしね。入れるとしたらⅢとⅣの間に入れることになりますが、どうしてもⅣのネタバレがかなり入ることになるでしょうし。そういう意味では事実上自分のルートを咲実に奪われた優希といい文香といい、設定の変わった女性キャラは不遇といえるかもしれません。

 あとは最後まで主人公が人を殺さないようにしていることを疎ましく思った方もおられるようですね。それにはある程度同意できるのですが、このシナリオだとそれは必然だった気がします。エピソードⅠ&Ⅱの麗佳&かりんがそれを示していますので。
 要は「途中で変節するならば最初からそうしたほうがいい」ということでしょう。麗佳&かりんも既に手を汚していればこそ他人と一緒に歩むということを許容できなかったのですから。結局人を殺そうとするのなら最初から殺さないことにこだわる必要はないわけです。
 このある意味で頑固、ある意味で潔い考え方が一概にいいとは言えません。どうしても守りたいものがあるから変節するというのもそれはそれでかっこいいとは思いますしね。
 ただ個人的には「後悔するならやるな、やったからには後悔するな」という考えには共感できるクチなので最後まで信念を貫き通すのは好きですね。

 それからこれがショーであるということに手塚しか気付かないのは不自然かな。
 大前提として「参加者が常時見られている(でなければAや3の解除条件の判定が不可能)」ということと「このゲームには莫大な費用がかかっている」ということは誰にだってわかるはずです。
 この2つを満たしている時点で観客の人数や見てどうするかはともかくとして見世物であることは疑う余地もありません。そうでないなら行う意味がないのですから。
 こんな誰でも思いつくようなことに思い至らないのは明らかにおかしいかと。

 それとちょっと気になった点として仲間との自分自身についての情報交換が行われない、ということが挙げられます。
 エピソードⅣでかりんを説得するのに、仲間になればかりんが死んでも妹を助けるということを言うわけですが、他のエピソードでもいえることですけど自分自身の名前やせいぜいが職業程度しか周りに伝えないのですよね。
 それがただの情報交換ならともかく、信頼する仲間にならもっと自分について教えるのが自然でしょう。自分が死んだら家族に伝えて欲しい、くらいは考えて当然かと思います。敵役やGMである渚と家庭環境が特殊な咲実はともかく、葉月&かりん&主人公&麗佳あたりは主人公と同行するルートではそういう話をしそうなものなのに、一切そういうこと(住所などを伝える)がなかったのが気にかかったかな。
 エピソードⅠでかりんの学生証が携帯ストラップに取り替えられたりしますし、メモなんかはとっておいても取り上げられるとしても、記憶まではいじれるわけもないでしょうしね。

 エピローグ後が気になったのはエピソードⅡとエピソードⅢの渚ルートかな。前者はやはりあの病院がかれんの入院している病院だと思うので主人公達に見つけることが出来ると思います。その場合、かれんからしてみれば最愛の姉が行方不明になるのと時を同じくして現れた善意?で何億もの援助をしてくれる第3者……未だ幼いとはいえこの2つを結びつけるのは自然だと思います。かれんが姉に関して聞いたときに主人公達がどう答えるのか見てみたい気がしますね。後者はあのあとの日常が一番気になるかな。お妾ネタでかりん&かれんと渚に挟まれてからかわれ続けるのも面白そうですしね。

 同人版と比較するとシナリオボリュームや音楽&グラフィックでは勝っているものの最終ルートが足を引っ張って完成度では大きく劣っているために総合評価としては少し上くらいに留まります。値段も考慮するとせいぜい同等といったところでしょうか。
新品/中古アダルトPCゲーム販売 通販ショップの駿河屋

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