マルセルさんの「姫狩りダンジョンマイスター」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

一週目だけやるなら傑作、二週目もやるなら良作、三週目以降はやりこみゲーマニア以外には駄作。兎にも角にもエウの良いところとダメなところが濃厚に出てしまった作品。初回プレイ時の中毒性だけはまず間違いない。僕は最初「難しい」から始めたんだけど、何度も何度も「詰んだ」と頭を抱える場面が沢山あった。そして、その度どこかに「抜け道」が用意されていることに気づき、仲間&アイテムを変えて再プレイ……なんーてやっていると平気で徹夜をしてしまうほどの面白さ。二週目も一週目の反省を生かしてプレイすれば楽しめる。だが三週目以降は正直Bボタン連打なクリック作業ゲーと化す。敵レベルがある限界以上まで上がらないので、三週目の敵は紙クズ同然。シナリオの分岐も後半二章ぐらいに限られており、テキストとエンディングもちょい変わる程度なのでモチベーションが上がらない。SRPG好きなら楽しめるが、同時に不満を覚えるのも事実だろう。
取り敢ず「リリィルート(カオス&ロウ)」と「シルフィーヌルート」と「コレット&ブリジットルート」の四つをクリア。
まだまだ見ていないエンドやシーンはたくさん残っているけど、正直見たいと思わないし、以上のルートで作品の大部分はプレイしたと思うので、
ここでレビューを書かせて頂く。ただ、僕がまだやっていないルートをやれば、以下のレビューが覆るかもしれないのは事実である。


今年のSRPGの最大注目作品と言えば、何をトチ狂ったのか、はたまた最初から狂っていたのかどうかは永遠に謎だが、
断腸が「10周年企画」ということでスカンクのオナラ如くぶっ放す予定の「D.C.Ⅴ. ~ダ・カーポ~ヴァルキリーコンプレックス」であることは間違いない。
色々と突っ込みどころのある作品であるが、個人的に地雷オタ心をくすぐる最大のポイントはD.C「V」というところ。
ⅢもⅣも出ていないうちからⅤを出すというところが何ともB級っぽくってよいではないか。
正確に言うなら「D.C.Ⅴ」はSRPGだとまだ決まったわけではないが、元ネタの「ヴァルキリーコンプレックス」もSRPG好きなら注目している作品だろう。
皆さんは体験版をプレイしただろうか? まだの人は是非やって貰いたい。
正直、あんな出来の体験版を公開するなど、メーカーは売り上げを下げるのが目的だろうかと便通を唸らせるほど糞ゲ好きには堪らない一品だ。
まぁ義妹キャラのエリスたんがかなりツボに入ったしまったので、僕としては買わざるを得ない曲芸奴隷状態なのだが、
あんなクソなSLG部分の体験版を創ったのはどこのドイツだと問い詰めたくなってくるのは間違いない。

「エウシュリー」というのが「監修」の名目で関わっているメーカーである。
エウシュリー……たしかだいぶ前に「幻鱗の姫将軍」シリーズを纏めてやって以来、随分とご無沙汰しているメーカーである。
去年「戦女神ZERO」がここエロ助でもかなりの評価を得たと記憶しているが、個人的にはさほど興味が出なかった。

まず第一には「絵」である。悪い絵だとか下手くそとかそういう問題ではなく、ただ単に僕の性癖には合わない絵だった。
第二にSRPGでもSLGでも何でもいいが、エロゲのこの手のジャンルは「エロゲには面白いSRPGがないから」という天然記念物的な保護を受けるので、
その作品以上に高く評価される傾向にある。そのような政治的判断は別に良くも悪くもないのだが、個人的にはお情けでエロゲをやる気分にはなれない。
第三にその手の作品は、発売日周辺に「ゲームの情報交換」というコミニティ空間が生まれ、そのユーザー同士のやりとりが作品以上に面白いというのがある。
つまりゲーム本来の面白さというよりも、同じ仲間が集まって情報交換するところにその作品の持つ機能があるといえる。
だから、自分の頭で考えてプレイするよりも、BBSやらに屯って仲間同士で情報を共有しないと効率的にプレイできないような作品が結構多い。
もちろん、ゲームにその作品によっては色々な役割があるのであり、そのような「お友達ゲーム」が悪いとは言わないが、僕は余り好きではない。
最後に、この手の作品を高評価するユーザーの多くは「やり込みゲーオタ」の皆さんである。
彼らはレアアイテムゲットやキャラクターの能力上げという、ゲーム本来の目的から離れた要素に高く価値を見いだしている。
そのような遊び方があるのは事実だし、そのような作品も当然あるだろうが、僕はガキの頃からレベル上げとかアイテム探しとが面倒で仕方がない。
そういった「RPG要素」はわりと好きなんだが、どちらかというと自分の頭をフルに回せば効率よくプレイできる作品が好きなのだ。

とまぁ、大雑把に分類するなら以上のような理由で、なかなかエロゲのSRPG系には手を出しにくい自分であったが、
まぁ曲芸のヴァルキリーも予約してしまったし、監修元であるエウの新作も一応やっておくかとこの新作をプレイしてみた。
体験版は些かヌルゲーの雰囲気すらあったが、基本的なところは押さえているみたいだし地雷ではなかろうと考えて。


基本的なゲームシステムは体験版を参照して欲しい。要点だけ一応纏めておくと、この「姫狩りダンジョン」のSLG部分は拠点制圧タイプのSLGである。
ある区画やある地点(拠点)に敵或いは味方のキャラが止まると、その区画は敵或いは味方の支配地域となる。
支配地域となった区画は自軍のキャラを移動力の範囲内で自由に動かすことが出来る。逆に敵軍はZOCの影響を受け1マスしか進めない。
敵軍が半分以上の拠点を持っていることが多いので、基本的には敵の拠点をジワジワと攻めるパターンが主流である。
さらに、MAPの多くがダンジョンなので幅の狭い一方通行の道で戦うことが多いことも考えると、
前方に壁キャラを作り後ろのキャラが後方支援するという、一カ所に戦力が集まる局所的な戦いになることが多いわけだ。
つまり、大局的な戦略性が求められる場面はそんなに多くない。場面場面での戦術性が求められるSLG要素が強いといえるだろう。

次にその「RPG」性について述べておこう。平たく言えば、育成&成長要素と言ったほうがわかりやすいかもしれない。
此方はかなり充実している。どちらかというと、SLG部分の戦術性はオマケで「どのキャラを如何に育てるか?」という、
大局的戦略性を定めるこの部分がこの作品のメインだといってもいいくらい。まぁSRPGなんて大半はそういうモノかもしれないが。
この育成部分はかなり複雑なので、詳しく知りたい方は体験版を参照して貰ったほうがはやいわけだが、要点だけを纏めるなら、
まずはユニークユニット(固定ユニット)の復活が不可能なのと、それに対して汎用キャラは事実上無制限使用可能というキャラの補充方法。
そして、魔法やアイテムの強化や汎用キャラの補充に必要となる「精気」という概念の二つを押さえれば、システムの基本は理解出来ると思う。

ユニットが死んだら復活不可能なんざ、ファミコン時代のゲーオタには常識なのかもしれないが、ここ最近では珍しい仕様なのかもしれない。
とはいっても「流石エウは硬派な作品を作るぜ!」と言って満足しているようでは軟派なゲーオタにすぎない、と硬派ゲーオタぶってみるテスト。
まぁ軟派とか硬派はどうでもいいとしても、ユニットが復活不可能というのは、客観的にはある種のゲームシステムの操作の一環にすぎないのである。
簡単に言えば「難易度が上がる」わけだが、もっと複雑に言えば「自軍のキャラを必ず生かさないといけない」という縛りが難易度を上げるわけだ。
当然のことながら敵キャラにはそのような縛りはない。敵キャラは何回死んでもゲームの許す限り生き返ってくる
でも、こっちのキャラは死んだら復活できないので、敵キャラの撃破よりもまずは味方キャラの生存が優先的になる。
となると、戦術としては慎重な戦い方がメインになる。こちらの死ぬ確率が30%以上ある行動は慎むようになるし、
「1か8か」的な行動も取れなくなるだろう。クリティカル等の偶然で味方キャラが死んだら一発奇声を喚いた後はその場でMAPの始めからやり直し。

一方、汎用キャラのほうは能力が低い割には、事実上無制限に利用できる。敵キャラの雑魚キャラが無制限に湧くように
こちらも味方の雑魚キャラを無制限に利用することが出来る。制限としては、一回につき出撃キャラは9キャラまでという出現制限と、
出撃キャラのストック数の限界。これらのキャラを使うための「精気」ポイントというものがある。
この精気ポイントはゲームの色々な場面で使う「通貨」みたいなものだと考えればわかりやすい。
基本的にはアイテムの強化、SLG部分を有利に進める魔法、味方キャラを召還するさいに使われる。
詳しくは後述するが、この精気には当然限界値があるので、これらの三つの使用方法をよく考えたうえで効率的にゲームを進めないといけないわけだ。


さて、だいたいの基本システムは押さえたと思うので、そろそろ本題に入りたいと思うが、
まず「SLG」部分については「慣れるまでは」相当難しい作品である。別にAIが賢いわけではないのだが、
いろいろとプレイヤーに不利な要素が多すぎる。先にも説明したように、基本的に相手の拠点を攻め落とす戦術が求められることが多い。
ゲーム的に言えば、敵のZOCに1マス1マス侵入していくわけだが、当然のことながら敵は自由に移動できるわけで大量に自由に攻撃してくる。
MAPにもよるが、大抵3キャラぐらいの遠距離攻撃兵と、4キャラぐらいの直接攻撃兵がいるから、場合によっては
味方の1キャラに7キャラから総攻撃を食らう可能性もあるわけだ。この敵キャラの攻撃を分散させるだけでもそれなりの苦労ガイル。

前述したようにこのゲームはユニークキャラの復活が不可能なので、もしソイツが死んだらその時点でやり直しは必須。
別にそのまま進めたっていいのだが、ユニークキャラの戦闘能力は雑魚キャラの二倍近いことがあるので、死んだまま続けたらあとで「詰む」可能性もある。
さらに、言い忘れたが、このゲームは敵キャラがいるマスは、ユニットがその区画を散策するまで「不可視」であることが多い。
故に場面によっては、不可視のマスから突然敵キャラがなだれ込んできたり、ある部屋に入ったら遠距離攻撃兵がずらりと並んでいたり……
とまぁ、客観的に言えばユーザーサイドにかなりのハンデを負わせるシステムになっているわけだ。そりゃ何回もやり直しするしかないって。

このハンデを覆すのが先に言った「精気」システムである。まずはアイテムの強化。敵キャラの属性に合わせたアイテムを強化し装備すれば、
場合によっては殆どノーダメージで敵キャラの攻撃に堪えることが出来る。例えば炎攻撃には炎の盾を装備すれば大丈夫みたいな。
次に魔法。これは味方ユニットが使う魔法とはちょっと違う。プレイヤーつまり魔王自身が味方のユニットに使うことが出来る魔法なのである。
この魔法は味方のターンのあいだ「いつでも」精気の許す限り「何度でも」使える魔法で、主にユニットの回復や移動を行なうことが出来る。
まぁアメリカ軍の空爆と飛行機による物資の輸送みたいなズル技を想像すればいいだろう。こっちの攻撃ターンで味方が死にそうになっても、
味方のターンならいつでも魔王様の魔法で回復可能というわけだ。
最後に味方キャラの召還。拠点ポイントさえ押さえれば、その地点から最大9体までのユニットがいつでも可能である。
味方の拠点ポイントで戦えば、自由にユニットを出し入れして、こちらに有利な状態で戦うことが出来る。

ユーザーにとって圧倒的に不利な戦術的状況を、こちらは「精気」ポイントを使った戦略的状況を上手く利用して、
活路を見いだしていくのがこの作品の面白さといえようか。正面からガチにぶつかったら戦力的に絶対に不利だけど、
アイテムやら魔法やら召還やらを上手く使えば、つまりユーザーの「頭」を使えば、なんとかなるというSLGの王道をいくわけだ。
基本的には、まずユーザー側、一回死亡もしくは圧倒的な敗北を迎えることになる。
そこで敵キャラの能力やら属性を考慮して、アイテムを作ったり、使えそうな汎用キャラを揃えたりして再チャレンジする。
事実、実際にMAP上で戦う時間よりも、アイテムを作るための材料を探したり、汎用キャラを捕獲する時間のほうが長いくらいである。
そのクソ長い準備期間をかけて絶対不可能と思えたMAPをクリアする快感といったら……女の子を口説き落としてHするよりも気持ちいいかもしんない。

以上のようなほうほうのなかで、個人的にかなり面白かったのは「汎用キャララッシュ」というプレイ方法だ。
アイテムを強化したり、魔王の魔法で毎時回復させるやり方も効率的ではあるけれど、
ユニークユニットが死ぬ可能性はゼロには出来ない。そこで汎用キャラの使い捨て大作戦となる。
まずは死んでも良い汎用キャラに、盾役となるユニットには盾を持たせて、反撃ユニットには武器を持たせる。
準備が整ったら敵のZOCに全員で突撃。すると敵軍が総攻撃を仕掛けてくるが、別に死んでも良いキャラたちなのでひるまず突撃させる。
そうすれば敵キャラに余裕で攻撃が仕掛けられる程度の陣地は確保できる。上手くいけば敵の体力も削ることが出来る。
そこで我らがユニークキャラを召還し突撃させる。ZOCはある程度押さえてあるので1マス1マス進むこともないし、
ヤヴァイ敵キャラは汎用キャララッシュで真っ先に殺し置けば、ユニークキャラに損害が加わることはない。
こうして汎用キャラを見殺しにしながら、ユニークキャラの損耗率を最低まで下げることが出来るのである。

アリス作品でも以上のような「汎用キャララッシュ」は出来るのだが、一つだけちがう点がある。これがこの作品の実にユニークかつ効果的なところだ。
アリス作品では、いくら汎用キャラといっても、その例えば「男子生徒A]キャラはあくまで「男子生徒A」とする個別のキャラだ。
そいつのレベルが50まで上がっても、それは男子生徒Aという個別のキャラのレベルが50に上がっただけで、
他の男子生徒BやらCは22や28といったレベルのままだ。男子生徒Aが死ねばレベル50のキャラは永遠に失われる。
つまり、汎用キャラは手に入りやすいかもしれないけど、レベルを上げるのは大変なので、それはそれなりに貴重なキャラとして扱われることになる。
だけど、この作品の場合、個別の汎用キャラのレベルや能力は「個」ではなく「類」として認識される。
つまり、男子生徒Aがレベル50なら、男子生徒BもCもレベル50になるというわけ。むろん、能力のほうもまったく同じだ。
よって、男子生徒Aが死んでも、男子生徒BやCはレベル50のままで、BとCが死んでDを新しく捕まえても、男子生徒Dはレベル50のまま使用できる
だから、ユニットのレベルなんて気にしないで、それこそスナック感覚で汎用キャラを使い捨てることができる。アリス作品ではこうはいかないだろう。

僕はこのようなプレイ方法を「スターリン懲罰大隊大作戦」と勝ってにネーミングして、一人同志スターリン気分で楽しんでいたものだ。
このネーミングは、意味的にはそんなに間違っていないと思う。懲罰大隊とは、捕虜やら犯罪者やらを半ば強制的に兵隊にしたもので、
基本的には危ない敵軍地やら危ない地雷原に特攻させていく使い捨て部隊のことである。
詳しくは「捕虜大隊 シュトラフバット」という映画をごらんになって欲しいが、流石「味方に渇を入れるため」という理由で、
仲間の軍隊に列車砲をブチ込むクレイジーな国民ならではの軍隊と言えようか。我らが同志スターリンには以下のような名言もある。

「一人の人間の死は悲劇だが、数百万の人間の死は統計にすぎない」

なんという偉大な洞察力だろうか! みんな一人のヒロインの死には悲しむけど、アフリカとかイスラエルで人が数万人程度死んでもどーでもいいもんね♪
この同志スターリンの言葉をちょっくと改変すれば、この作品のゲームシステムというのは

「一人のユニークユニットの死は悲劇だが、数百万の雑魚キャラの死は戦術にすぎない」

とでもいえるだろう。普通のSRPGでは、アリス作品でも先に言ったような事情があるので、なかなかスターリン気分にはなれないものなんだが、
この作品はそういった鬼畜なプレイを用いて、実に効率的にゲームを進められるのが面白かった。流石「魔王様」が主人公な作品ではある。


ただ、些か不満がないわけではない。いや、不満点を上げれば、わりと致命的なといえる問題がいくつも残っている。
先の「精気」システムについて、僕はその「精気」をどのように溜めるのかを言っていなかった。
これには色々な方法があるが、一番手っ取り早いのは敵キャラを捕獲して、生け贄に捧げることだろう。
捕獲自体はそれほど難しくないし、生け贄も簡単にできるので、これは割合簡単に溜めることが出来るポイントだ。
ではデメリットはないのか? 単純にデメリットというわけではないが「生け贄を捧げる」を実行すると、
魔王の性格が「カオス」に近づいていく。最初に書いた「カオス」ルートと「ロウ」ルートというのはコレで、
基本的に「生け贄」を実行しまくると魔王の性格が「カオス」になってしまい、カオスルートに突入してしまう。
んで、これを余りに実行しないと「ロウ」ルートにはいるわけだ。

「精気をたくさん使うプレイ方法」だとカオスルートに入って、「精気をなるべく使わない方法」だとロウルートに入る。
ということは、だ。このままでは、カオスルートが「より簡単」でロウルートが「より難しい」ということになる。
先にも言ったように、アイテムを強化するにも、懲罰大隊作戦を実行するにもたくさんの精気が必要になるからね。
でも、明確に難易度が記述されているなら兎も角、ロウとかカオスとか、まぁ「善」と「悪」と言い換えても良いと思うけど、
そのどっちかが単純に「難しく」て「簡単」だ、というのはなんだか変な気がしない? 普通はどちらにもデメリットとメリットの両面があるはずじゃん。
例えば「悪」ルートだと善人の敵キャラが仲間に入らないとか。
んで、善ルートだと、アイテム強化とか懲罰大隊作戦みたいなズル技は使いにくいけど、すげぇ強い善人キャラが味方に入るとか。

だが、この作品は違うんだな。悪徳は常に栄える一方で、美徳はその善の力をこれっきりも発揮できないのだ。
正直言って「ロウルート」におけるゲーム内での実質的なメリットは、殆ど言って良いほど存在しない。
ロウルートだけで手に入るアイテムや仲間キャラというのは、少なくとも僕のやった限りでは存在しなかった。
僕は最初カオスルートに入ったから、例えばあるユニークユニットを捕獲して洗脳して仲間にするという、如何にも「悪」的な展開が
ロウルートでは「説得して仲間にする」ものに変化すると思っていた。それで本来の力を発揮するみたいなベタな展開を期待していた。
でも、流石に魔王様が主人公な作品ではある。そんな甘ちょっろい展開は殆どといっていいほど存在しない。
だって、いくらロウルートに入ったところで、魔王様によるヒロインレイプは変化なしですぜ旦那。
いやぁ僕も流石にこのゲームで純愛は期待していなかったけど、「善」ルートで「悪」と同じ林間学校が開催されるとは半ズボン坊主もビックリである。

「でも、シナリオの内容とか攻略MAPには違いがあるんでしょ?」と思ったそこのアナタ。甘い甘い。君は断腸の小便よりも甘すぎるぞ。
確かにセリフの一部分は変化する。ロウルートでしか攻略出来ないヒロインもいるから、そのルートに入れば後半の二章ぐらいシナリオ内容は多少変化する。
でも、基本的なシナリオの内容は所謂「一本道」だし、攻略MAPの内容も殆ど変化しないのだ。男なら黙って一本道を突き進め、ということなのだろう。
普通に考えたら、ロウルートは「精気を使いにくい」というデメリットがあり、カオスルートは「精気を使いやすい」というメリットがあるのだから、
それらのデメリットとメリットに合わせて、仲間になるキャラやMAPの内容を変えるべきなのだけれども、エウはそんな小賢しいことを考えない。
僕は一週目にカオスを選んだからいいものの、一週目にロウルートを選んだ人は地獄だろうなぁ。
精気を溜める方法もないわけじゃないけど、単純に言って生け贄の4倍ぐらい時間がかかるってしまう。それでメリットなしじゃ正直やってらんないじゃないか。

僕だって二週目まではよかったものの、三週目以降は正直やってらんなかった。
二週目までは前回の反省を生かすという面白さもあったし、また「シナリオがもしかして劇的に変化するかも?」という分岐の期待もあった。
それに、二週目以降にキャラ引き継いでも、敵キャラも此方に合わせてレベルが上がるので、難易度的にもちょうど良かった。
でも、三週目に入る頃には、だいたいこのゲームが一本道だということが解ってきたら、分岐の期待も減ったし、
何よりにも、敵キャラのレベルが何故か二週目とまったく同じなので、難易度的にも簡単すぎて全然面白くない。
確かにまだアイテムは全部手に入っていないし、見ていないイベントやエンディングも多いんだろうけど、そこまでやる気力が全く起きないのだ。

「二週まで楽しめれば充分」という意見もあるだろうし、僕はそれにはそこそこ同意したいと思う。ここまで楽しめれば充分だと。
だけど、このゲームの本来の設計が「三週目以降」も楽しめるものであったのは、まだクリアしていないキャラクターのルートや、
エンディングのかずかすといったものを見る限り明らかである。それらに到着させるモチベーションをユーザーに失わせた時点で、
このゲームがある意味「失敗作」だという意見があっても、僕はコレに賛成するつもりはないが、反対する根拠を何一つ持ち合わせていない。

何よりも致命的なのは、最初にカオスルートをやってしまうと、魔法スキルが異常に上がり「邪神招聘」というズル技を覚えてしまう可能性があること。
これはMAP上の全てのキャラのHPをBOSS以外「1」にするというズル魔法で、相当の精気を消耗するもののカオスルートなら問題ない。
ゲーム開始直後にこれを唱えて敵キャラのHPを全部1にしてから、味方キャラを召還すれば、此方の損害をゼロのままほぼ全てのMAPをクリアできる。
これは所謂「バグ技」に相当すると思うんだけど、これ以外でもレベルアップ時の能力上昇を二倍に出来るアイテムがわりと簡単な方法で手に入ったりと、
ゲームバランス全体を崩しかねない「ズル技」がゲームのあちらこちらで見受けられる。
どれもこれも、通常の一週目や二週目のプレイでは気がつかないと思うが、三週目以降のプレイのやる気を無くすに充分な「ズル技」である。
むろん「やり込みゲースキー」の皆さまはそれでも楽しめるとは思うんだが、他のメーカーを引き合いに出させて頂くのなら、
例えばアリス作品は一部を除いて、以上のような「ズル技」は殆ど存在しないとはいっておく。

それにねぇ。どうも前述したような「キツメな難易度」を用意しておいて、戦闘MAP上でセーブ&ロードが可能というのもなんだか変な気がする。
僕は一応、戦闘MAP上ではセーブ&ロードはしない(ただ味方キャラが死んだら戦闘MAPの前にはロードする)方法を貫き通したけど、
普通の人はせっかくセーブとロードがあるんだから使ってしまうんではないか。それが悪いとかヌルイとかそういうことはないけれど、
先に言ったキツキツ難易度と逆行するようなシステムなのは確かである。戦術は完璧だったのに偶然でクリを二発喰らってしまい、
神におのれを不運を嘆きながら、今まで順調にいっていた時間を惜しみつつ、無く無く始めからMAPをやり直すのがSLGの醍醐味じゃないか。
どうもこの作品を長くやっていると、ヌルくしたかったのか、それともキツくしたかったのか、良く解らない部分が沢山でてくる。
まぁ、アイテムとかキャラのエンディングやらイベントは沢山あるので、「やり込みゲーオタ」向けに作られているのは事実なんだろうけど……

最後にエロについて少々述べておこう。基本的にはリリィによる性魔術の育成エッチと、他キャラクターへの捕獲&陵辱エッチの二つがある。
両者ともテキストはそこそこ長いので、所謂「ランス様5クリックで昇天」といった事態にはならないわけだが、
基本的にはランスシリーズと似たような「抜きにくさ」は存在すると言える。まずは捕獲&陵辱からいくと、
まぁ僕にその手の性癖が比較的薄いということもあるのだろうが、ただ単に毎回毎回違う女の子を犯すだけなので正直退屈である。
例えば、調教ゲームみたいにして、捕まえた女の子キャラを長時間調教して落としたらそのキャラが洗脳状態になるみたいにすれば、
ゲーム性との兼ね合いもあってエロいと思うんだが、エウはそういうネチネチしたやりかたよりも、うっせぇゴチャゴチャ言うと犯すぞゴルぁの方がお好みらしい。
リリィの性魔術の方は、このゲーム唯一キャラが立っていて、ずっとユーザーが操るリリィと唯一の和姦ができるというだけあって、特別なエロさがある。
しちゅもロウとカオスでちゃんと分かれているし、リリィとのエッチ目的で購入するなら、わりと元は取れるんじゃないか。

マルセルさんの「姫狩りダンジョンマイスター」の感想へのレス

>でも、明確に難易度が記述されているなら兎も角、ロウとかカオスとか、まぁ「善」と「悪」と言い換えても良いと思うけど、
>そのどっちかが単純に「難しく」て「簡単」だ、というのはなんだか変な気がしない? 普通はどちらにもデメリットとメリットの両面があるはずじゃん。
ゲームとして見て、バランスって意味だとそうかもしれませんが
魔王なんだし善で行こうとするなら大変なのは普通じゃないですかね

実際の戦争で、生贄があると考えて(人身売買、身代金などに置き換えても可)
戦って殺すのと生贄にして殺すのにどんな違いがありますか?
生贄にしないメリットってありますか?
同じ殺すなら、結局は殺す側の物質的な豊かさや気持ちの違いしかありません

つまり主観の問題であって「気持ち」それがこのゲームのロウ・カオスにあたります
ロウはメリットがないというけど
物質(精気)的には大変だけど気持ち(ロウ)によって
ロウルートのエンドに行ける(人生が変わる)というのがメリットです



「ズル技」に関して
所詮エロゲと言ってしまったら元も子もないが、コンシューマ並の絶妙な戦闘バランスを求めるのは違うと思います
それに自分で抜け道的なものを見つけるのも面白いし、自由度が高いってことじゃないでしょうか
つまり、あなたの言う三週目以降のやり込みのための措置とも言えます

>そのクソ長い準備期間をかけて絶対不可能と思えたMAPをクリアする快感といったら……女の子を口説き落としてHするよりも気持ちいいかもしんない。
この苦労が無駄になったようで許せない気分になったんじゃないでしょうか

>神におのれを不運を嘆きながら、今まで順調にいっていた時間を惜しみつつ、無く無く始めからMAPをやり直すのがSLGの醍醐味じゃないか。
このゲームにおいては自ら縛りを入れた楽しみ方ですね
(個人的にはシステム的にやれることはなんでもやる性質です 訳:MAP中もセーブする)
マルセルさんはきっとファイアーエムブレムシリーズなんかが好みだと思います(自分も好きですが)


反論したけど点数的にも長文感想の文量的にも楽しんだことは間違いないようなのでよかったと思います
あなたの一言感想の通りで、自分は三週目以降も楽しむ、やり込みゲーマニアですね
ソフトハウスキャラのシリーズなんかも周回プレイでやり込むのを楽しみます
姫狩りに関してはCGも全部埋めたし、アイテム・スキル情報も全部揃えたし
ほとんどのキャラをLvリセットして1から99までマルウェンで吟味上げしました

しかし個別ルートで終盤分岐するとは言っても
大まかには一本道で、シナリオ面での面白さは違うルートを辿っても周回する度に薄れるので
その面白さを持続させるための努力があったらもっと良かったとも思うし、
それでもやり込み派、シナリオなんか飾りだ派にはさっさと次のステージやらせろってのもあるだろうし
作り手のやる気・資金・時間・↑のようなユーザーなどとの兼ね合いもあると考えると
結論:これでいいんじゃないかと思います
2009年11月09日13時38分31秒

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