mokkosunさんの「真剣で私に恋しなさい!」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

まあまあ、そこそこ楽しめた
作品全体の雰囲気、テキストの面白さ、個性ある(ありすぎる?)キャラクターたち、それぞれがゲーム開始からラストまでほぼ萎えることなく楽しめました。
特に脇を固めるキャラクターたちの振舞いが面白かったですね。ゲームを進め続ける一番の原動力になっていました。

残念な点としては、豪華声優陣を売りにしているのか、それぞれの声優が担当したことのあるキャラのパロディ。いわゆる声優ネタというやつですが、声優にほとんど興味のない私には(知らないわけではありません)特にプラスポイントにはなっていません。逆にストーリー進行上、とくに意味の薄いセリフが入ると、これ面白いの?とかえって白ける原因にもなってました。
少々の遊びなら、解る人が楽しめる仕掛けなんだろうな程度の印象になったかもしれませんが、あれだけ満載されるとネタが解るだけに鼻につきました。よって私個人にとっては結果としてマイナス。

あと主人公の性格や言動について。

「軍師」という表現を使って、知識や頭脳、コネを駆使して強敵と戦うという位置づけのキャラのようですが、その「軍師」っぷりがイマイチなんですね。
汚い手を使おうが、相手を陥れようが構わないのですが、どうも説得力に欠ける。もしくは「してやったり!」という爽快感のようなものがない。(以下ネタバレ含む)


例えば有名漫画家のサインが賞品になったレースでの作戦。

・古本屋の主人から情報を聞く際の説得(騙し方)
・河を船を並べてショートカット
・目当ての賞品を得るためにわざと○○する

これら全ての描かれ方が嘘っぽい。これって主人公の日常の描かれ方が原因なのかな。普段の言動から主人公の力量がなんとなく想像できちゃって、「市長が優勝賞品は●●にするだろう」なんて読みは、「そんなん作者が描く主人公なんだから何でも言えるわな」と感じてしまう。一応は主人公が市長の心理を読み当てる根拠を挙げているけど、その材料からその結論に達するだけの頭脳というかスペックを主人公の中に見出せない。全て作者の後だしジャンケンに見える。
また古本屋の主人をその気にさせる話術も子供だましに見えてしまう。あんな脅しにも誘惑にもなっていない口車に乗せられるほうが無理があるし、ボートの件も発想そのものは在り来たりで、数ある手の中からどうやってその手を有効にしたかという部分が非常に薄い。
軍師というのはあらゆる引き出しがあって、その都度有効なものを利用、または持てる引き出しの方へ状況を誘導するなど、様々な駆け引きがあるだろうに、あれでは精一杯用意した手が偶然役に立ったくらいの印象しか受けなかった。
自分は物書きでも無いし、頭も大したことないので、どうすれば良いか解りませんが、例え仕掛けが夢みたいな話でも、描き方次第では納得もできそうな気はするんですよね。してやったりという爽快感はなく、ただ嘘っぽさと、子供じみた仕掛けだけが印象に残る。
他のエピソードにしても似たようなもので、結局主人公が「軍師」というポジションであることを、最後まで納得できないままゲーム終えました。

女性キャラが超人的な戦闘力を持っているから、その対の存在として主人公に神がかった何かを期待しちゃったせいかもしれません。普通のちょっと頭の回る背伸びした学生くらいに思っていれば、よく頑張った!って感想にはなったかも。


決して駄作とは思わないですけどね。
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