マルセルさんの「Coming×Humming!!」の感想

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**ネタバレ注意**

ゲームをクリアした人むけのレビューです。

これ以降の文章にはゲームの内容に関する重要な情報が書かれています。まだゲームをクリアしていない人がみるとゲームの面白さを損なうことがありますのでご注意下さい。

ハニカミよりもエロくて、かみぱみよりもコンパクトで、この中では一番立ち絵が微妙にショボかったりするのが、このComing×Hummingことカミハミである。複数ライター&複数ゲンガー作品ってことで、原画家によって塗りが違ったり、攻略ルートに攻略ヒロイン以外が殆どでなかったりと、表面的な統一感が全くないのが球にキズだが、個別ルートシナリオでみるべきヒロインは多い。美海シナリオはキャラクターと声優の嵌り具合が異常だ。まるで初めてエロゲボイスを聴いたときのような新鮮な気分で、のめり込むように声に聞き惚れがら一気にプレイしてまった。シナリオもエンディングへと緩やかに加速する物語の上昇が快く、安心して読める内容だ。鈴香シナリオはダメ主人公シナリオと見せ掛けた、正統派的な幼馴染シナリオ。露骨に屁タレな主人公が幼馴染を鈍感に泣かすシナリオに苛々しちゃう人は、この作品をやって是非に癒されてほしい。
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☆基本データ
(判例:「キャラ名」:「攻略順」:「クリック数」:「CG枚数(差分抜き)」:「HCG枚数」:「エロ回想数」「備考」

美海  :初回  :15998 :13:8:5:エチ五回目はオマケのひなたとの姉妹丼
ひなた :2週目 :5823 :12:6:4:美海ルートクリア後にルート開放
綾音 :3週目 :4681 :10:6:3
優月  :4週目 :6437 :17:8:4
鈴香  :5週目 ;7266 :14:10:4 

エッチ関係のクリック数もみたい。お前の駄文なんぞいらんって方は「☆エロ」で検索を推奨。
「……だれか一人忘れてませんか?」という突っ込みはスルーするのでよろ。風の噂に聞いたが、なんでもこの町で
あるメガネ教師が不審者にレイプされてしまったようだ。皆さんも暗い夜道はお気をつけください。因みに他ヒロインはそういうネタはないので大丈夫です。
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☆シナリオ 
・全体的評価 B
・美海    B+
・鈴香    B
・ひなた   C+
・優月    C
・綾音    C

この手の神様ものは「かみぱみ」然り、メインヒロインよりも、その二番目くらいのヒロインが萌えたり、
メインストーリーに関わるシナリオよりも、メインとは直接関わりあいの薄いシナリオの方が面白かったりするのだが、
この作品とてそれは例外ではない。やっぱりメインの「優月」よりも「美海」や「鈴香」の方が面白かった。

優月も決して詰まらないシナリオではないのだが、メインストーリーの吉乃姫ネタを織り交ぜたために、
優月のキャラクターの印象がぼやけてしまったように思える。吉乃姫と優月が交互に入れ替わるというネタは、
日常描写的には面白いのだが、シナリオの重要な場面でこれをやられると、吉乃姫が優月を完璧に操られるという設定があるため、
それを言っているのが「優月の本心」なのか「吉乃姫の策略」なのか白黒がつかないことがある。常時、どこかに不確定要素がある。
もちろん、その不透明性も織り込み済みでシナリオを書いているんだろうけど、それはプロットに対する好奇心を強めても、
ヒロインに対する感情移入度を妨げる要因にもなりかねない。前者の要素もあって、このシナリオは「つまらない」ものにはなっていないけど、
後者の要素もあってこのシナリオは、メインにしては「萌えにくい」ものとなっているのも事実だろう。
全てのシナリオに共通することだが、個別ルートに入ると他のヒロインが殆ど登場しなくなるのも悲しい。
特にこのシナリオだと、ずっと吉乃姫と湯月という二人の分身の相手をしているので、なにか精神病者の診察を永遠としているような気持に襲われなくもない。

メインストーリーと全然関係ない「綾音」は、告白してそこでオシマイという、昨今のエロゲーでは逆に珍しいシナリオだが、
その短ささえ納得すれば、それほどつまらなくは無いシナリオである。序盤から「宝の地図」というミステリー要素で釣って、
そこから徐々に昔の思い出を引っ張っていくやり方は結構面白い。幼馴染アイコラとか、投石ピッチャーとか日常シーンの
小ネタも笑えるものが多く、やっている間はそこそこ楽しめる。だが、これも萌えは薄い。告白して終わりなので
デレが少ないし、綾音は上手く誤魔化しきれるキャラだから、本人がいうところの「自分の弱さ」をユーザーは殆ど感じないのだ。
ラストにそれを告白されても「えーっ、そうだったんですかぁ?!」という驚きしかないのであり、やっぱり年上のお姉さんは
もっと甘える能力がないと年下にはモテナイノねと感じずにはいられないシナリオである。



これまたメインストーリーとあんまり関係が無い「鈴香」は良質幼馴染シナリオといってもいいだろう。
鈴香の家の家賃滞納、鈴香の昼食をツマミ食い感覚でパクつく、料理の感想を聞かれても禄に答えないという、
幼馴染関白っぷり(通称DQN)を初っ端から披露してくれるナイスな主人公であるが、この行動はある意味間違ってはいなかった。
一般常識的な意見は兎も角、この主人公の行動を責めるのはあまり正しくない。何故なら、主人公と鈴香は元からそういう関係であり、
「幼馴染」というのはそのような「甘え」を許しちゃうものだからだ。お互いに礼儀正しい一般常識に乗っ取った関係なんでそれこそ幼馴染じゃねえ。
彼女が出来たのに、自分の家にパンツ洗わせにこさせたり、彼女の恋文を小奈美に読ませたりするたっくんは非常に正しい。
もちろん、もしも自分がたっくんだったらそんな行動は絶対にしないだろう。しかし、そんな非常識な行動を取ってしまえるのが「幼馴染」であって、
この一方的な鈍感さと一方的な奉仕関係こそが、一般常識を超えたエロゲの真実を語ることが出来るのであーる。

さて、この鈴香シナリオはこんなバカな意見を「糞くらえ!」と思ってしまったアナタには非常にお奨めだ。
体験版から予想される主人公の鈍感っぷりは、しかし本編で完全に消滅する。別に真人間になるわけではないが、
鈍感っぷりをアピールするシナリオにはなっていない。序盤からシナリオ全体の伏線が提示される。
一つは「子犬のワンちゃんの調子が悪い」。二つは「お母さんの調子が悪い」。三つは「鈴香と将来の旅館生活」。
だいたい、これで物語の全貌は予想できそうな感じではある。どっちかと言えば鬱っぽいはなしになりそーってな雰囲気だ。
でも、これが意外に「サクサク」いく。まず、不謹慎な言い方をすると、ワンちゃんが死ぬのが意外に早く、
わりとそっこーで主人公と鈴香は思いを伝え合う。エッチはしないけど、まぁ、ちょっちはやいねーとは思うかもしれない。

ただ、こっから先の鈴香たんのデレ具合が中々いい。さっきのちょっちはやいよねーっていうのは、
主人公の行動とか言動がアレだからというのではなく、正直、ここまでのところでは「鈴香」の魅力がイマイチ伝わってこなかったらだ。
なるほど、普段は言葉少なめで大人しいくせに、主人公の前では毒を吐くのはいいし、自分の料理の感想を聞くために、
普段は絶対に見ないようなニュースを見ると称して、夜遅くまで居間に残っているいじらしさも可愛いと思う。
だけど、地味と言えば地味であって、可愛いなとは思うけど「萌え」というまではグッとこなかった。それだけで告白イベントは弱かったのである。
しかし鈴香たんの反撃はこれからだ。まず、今まで乱暴に起こしていたのが妙に優しくなったりとか、弁当をいきなり作ってくれたりとかのお約束イベント。
これはまぁ基本だし「急デレ変化」というのは萌えゲのお約束である。

鈴香たんの魅力は、しかしこのような「デレ」を本人では「デレ」と思っていないところにある。
これはあくまで鈴香たんのなかでは「今までやりたかったこと」を恋人になったから実行しているにすぎないわけで、
あくまで鈴香たんの理屈でいえば「デレ」ているわけではないらしいのである。恥ずかしいとか、照れ屋さんとか、
そういうところもあるんだろうけど、多分本当のところは、鈴香たんは自分の「デレ」の感情を良くわかっていないのだ。
だからこそ、告白したあともそれなりにクールに振舞いながらも、でも、主人公に言い寄るヒロインをみると、
「ハルはわたしのもの!」とかクラスじゅうに響き渡る大声で宣言してしまうわけで、やっぱり鈴香たんはやる気まんまんなのだ。
つまり、本人にデレの自覚もないのだけれど、それは単に今までそういう経験や憧れが無かったならがなかったらそう思っているだけで、
ふとしたキッカケが非常識なほどのデレが炸裂してしまうわけだ。

詳しくはエロ評価のところで語るが、エッチシーンで鈴香たんが必要以上に連発する「セックスする」という表現が、彼女のそんな性格を物語っている。
「えっちしたい」でも「抱いてほしい」でも「おまん○にぶち込んで!」でもなく「セックスする」である。実に鈴香たんらしい表現だ。
「セックス」という単語は前述の表現と比べてより直接的であり、ぶっちゃけ身も蓋もない言葉だが、そんな言い方しかできないところが、
鈴香たんの不器用さと裏腹の純粋さを表現しており、相当エロイことを言っているのに本人は全くそのことに気づいていないのが萌えなのだ。

そう、鈴香たんは思っていたよりも「幼い」ことに僕らは気づく。クールではなく実はかなり感情的な性格だし、
無口だと思っていたのも、それはたんにあんまり話す相手がいなかったからそう見えるだけという、なんだか結構現実味がありそうな性格。
最初はどっちかといえば主人公の方が(年齢相応にであるが)幼くて、鈴香たんのほうがマトモかなぁと思っていたイメージが、
鈴香たんとの中を深めていくにつれて逆転していく。これが決定的になるのは、先ほどの伏線の二番目のイベントである。

詳しくはネタバレなんでスルーするが、このイベントは正直あまり出来のいいものではない。
鈴香たんの「過去のしらがみ」に関する描写がちょっと弱いので、その行動は理解できても、その行動に納得はいかないような唐突さがある。
だけど、全体のプロットの構成から見ると結構説得力がある。ワンちゃんの幽霊を先のワンちゃん死亡イベントの後ではなく、
ここで初めて出したのは気が利いている。鈴香の思わぬ弱さを描き、そして、そんな鈴香たんを守らなくてはいけない主人公の決意を固めさせる為に、
ワンちゃんの幽霊の奇跡はなかなかイカした演出だった。ここでようやく、主人公と鈴香たんの関係が確定化する。
そう、我らが幼馴染関白の主人公は、鈴香たんの願いを叶えるために、ヒステリックな女性客に頭を下げたり、お皿をひっくり返して半泣きになっている
鈴香たんを慰めなきゃいけないわけだ。ここでの鈴香たんの泣きっぷりと主人公の活躍っぷりは、屁タレ幼馴染シナリオに食傷している方には最高のご馳走だろう。
始めから完璧な主人公が完璧に動いてもちっとも面白くないが、ちょい微妙と思われていた主人公が幼馴染を助けるだけに、意外性と喜びは大きい。
そして、最後の第三の伏線「鈴香と将来の旅館生活」が結ばれるエンディングは、鈴香たんの数年後のCGの美しさも相まって、嬉しさに満ちあふれていますた。


嬉しさでいえば、美海シナリオも負けてはいない。と、その前にひなたルートについて少々。上の基本データにも書いたように、
ひなたルートと美海ルートは姉妹の関係にある。美海ルートで明かされなかったひなたの謎ががひなたのルートで解き明かされるわけだ。
この手のシナリオが難しいのは、ユーザーがひなたの謎を半分くらい美海ルートで知っているのに、ひなたルート開始時では主人公はそれを知らず、
あまりにも長くその情報格差を放置してお話を進めると、そのじれったさに苛々してくるというところだが、このシナリオは案外すぐひなたの正体がばれるので、
そういう心配はあまり無い。正体がばれたあとでシナリオが進むので、ひなたというキャラクターもちゃんと描写できてはいる。
ただ、正体が正体であるせいなのか、始めからちょっと悲しい物語の結末が予想できるので、ちょっと良い話としては評価できでも、
それ以上は特に……といった感想しか浮かんでこない。ラストのオチも余韻があって悪くは無いのだが、やっぱり嬉しさが足りないのだ。

嬉しさの塊のであるような美海のシナリオのあとではそう思わざるをえない。このシナリオの何がうれしいかと言えば、
ウザ男を農作業パーンチで殴り倒すのが嬉しいとか、ウェイトレス姿の美海たんの金髪にチンコ絞られてぶっかけるのが嬉しいとか、
ひなたにいいようにやられる美海たんを見ているのが嬉しいとか、夕暮れの明かりしかない山奥の廃屋でカッコ悪い告白をする主人公が嬉しいとか、
まぁいろいろと言いようがあるわけだが、一番適切な言い方をすれば、美海たんの声とCGをみているだけで嬉しいということになるだろう。
「そんなの批評ないじゃん」と真っ当な反論をしてくださる方には非常に申し訳ないのだが、だって可愛いだもん♪もんかあっかゴルァ!である。

いや、だって、このCGにこのボイスにこのキャラクターは反則じゃないか。
CGは立ち絵がちょっとショボイのは玉に瑕だけど、この原画家さんこんなエロイ絵描いてなんと現役女子大生なんだって?
ったく、日本の教育制度は何を教えようとしているのであろうか。我輩は原画家さんの通っている大学に、
美海たんの足コキCGとその下に「いいぞ。もっとやれ」というコメントを載せたメールを送りたい気分になってくる。
それに声優さんだ。春野伊吹さんって人らしいが、どっからこんな精子殺戮者を掘り出してきたのか。メーカーは日本のオタクを全員腎虚にするつもりか。
他の作品はやってないので断言はできないが、この人の声にはそれこそ美海たんのような「素のアイドル性」がある。
地声が云々という話ではなしに「可愛い声を出そうとしなくても、素のままの声で人を魅了をできるような」そういう声が出せる人だ。。
だから、例えばベタベタの妹キャラとか幼馴染とかツンデレキャラはあまりあわないかもしれなけいけど、綺麗で性格もいいクラスのアイドル的存在とか、
純正ファンタジーゲームにでてくるお姫様キャラとか、世間知らずでも天然ボケでもない深窓の令嬢とか、造らない演技が求められるキャラでは
抜群の適正を示す声優さんだろう。この手の声優さんは(僕が知る限り)あまりいないので、もしかしたから今作が彼女の出世作になるかもしれぬ。

そして、これら全てを統合しているのが、美海たんのパーソナリティだ。彼女は別にツンデレではない。
確かに、主人公以外の人間には八方美人ツラ(デレ)して、主人公には素の自分を見せる(ツン)から、ツンデレともいえなくはないし、
この両者の(ツン)と(デレ)の意味を逆転させるのがシナリオの大まかな流れなので、まぁツンデレシナリオといってもいいかもしれない。
だけど、八方美人ヅラする美海たんが「ニセモノ」で、主人公に表面上キツク当たる美海たんが「ホンモノ」だという、典型的なツンデレ理解は間違いである。
美海たんのテキストをよくみて、そしてボイスも聞いてみよう。
声優さんはこの二つの「ツン」と「デレ」の演技を分けるうえで、過剰に声音を変えていない。
ちょっとは変えてはいるが、それと解かるほどは変えていない。テキスト上では語調や語尾は変化しているが、
あくまでボイスのトーンは、「ツン」と「デレ」は同じといっていいトーンで一貫している。

日常会話の所謂「ドツキ漫才」も、確かにまぁ美海たんが主人公をよくドついているわけだが、
これは基本的には美海たんがけしかけているわけではない。どっちが悪いというわけではないのだが、主人公が軽口を叩いたり、
わざとふざけたりするから美海たんはツンしてしまうのである。美海たんのほうからは積極的にツンしているわけではないのだ。
以上の一般的な描写と演技のパターンからして、僕らはあくまで「感覚的」に言えば、美海たんの「ツン」と「デレ」のあいだに、
それほど大きな落差をあまり感じない。もちろん、美海たんが八方美人を演じているのは、設定的に既に理解している。
だけど、重要なのは、その八方美人的な美海たんの可愛いさと、普通の美海たんの可愛いさに、さほどズレを感じないばかりか、
両者に共通する魅力をも感じてしまうことである。これが他の凡庸なツンデレヒロインとは違うところだ。優れたツンデレヒロインは皆そうであるが、
彼女たちのツンのなかにはデレが隠されていて、デレの中にもどこかツンめいたところがある。その両義性に僕らは萌えるのだ。

シナリオのほうも充分彼女の魅力を引き立たせている。特に良かったのは、中盤から後半にかけての展開の上手さ。
基本は主人公とヒロインが喧嘩して仲直りってな話だが、この処理が実にスマートだ。
ひなたとのイベントで、飛行機の製作を強制的に造らざるをえなくなった主人公。だけど、とうの主人公と美海にはその理由がわからない。
そして、主人公は美海が飛行機を嫌う理由がわからない。さて、悪循環モードの開始だが、
基本的に美海たんが主人公にかまってかまってと甘えるだけなので、それはそれで萌え萌えでいい感じだ。
だけどまぁ、そんな美味い事は長く続かない。「私と仕事どっちが大事なの?」の究極呪文炸裂。「俺の仕事をバカにするな」で交渉決裂。
なんでひなたたんは、二人の喧嘩の原因となるようなことを主人公に頼んだのかな?と思いつつ、黄昏主人公を見守る僕ら。
そこへ先ほどのウザ男が再度登場し、その上主人公の父親が中国へ行方不明。中国へと旅立つ主人公、不審な動きをするウザ男。
えーっ、この二つに何が関係あるの?と思いつつ先をすすめると……繋がらなかった線がようやっと繋がってくる。
ひなたたんが主人公に飛行機作りを頼んだのは、飛行機に乗って何をするためではなくて、飛行機を美海と一緒に造らせるためだったのだ。
中盤あたりでデレデレ描写を続けて、いったん二人の関係を下のほうまで落とし、そしてエンディングにむけて物語を空の上まで飛ばしてゆく。
ベタといえばベタだが、全体の構築としっかりしているだけに、この最後のフライトは爽快な読後感をユーザーに与えてくれるハズだ。

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☆エロ 総合評価 B

・各キャラのHシーンのクリック数

優月   1:386 2:248、3;338 4:312
綾音   1;253 2:617 3:221
美海   1:235 2:459 3:654 4:328 5:229
ひなた  1:435 2:198 3:254
鈴香   1:421 2:554、3;486 4:441


「複数ライターの弊害」という言葉はよく聞きますけど「複数ゲンガーの弊害」って言葉があまり聞けないのは何故でしょうか?
ライターの世界では例えば、煩悩と低能の塊「木之本みけ」たんとサトラレ爽やか三組「サイトウケンジ」クンの
キチガイじみたコラボレーション作品がたまに炸裂したりするのに、ゲンガーの世界では「聖少女feat樋上いたる」作品とか、
ゲロっぽい企画はなかなか生まれてくれないんですよね。どっかやってみたら面白いとは思うんですが。あ、いや、僕は絶対買いませんけどね。
一つはやっぱり「塗り」の統一という問題があるのでしょうか。一時期F&Cは複数ゲンガーで結構やっていましたけど、
違和感が無い変わりにどのゲンガーの絵でも全部似たようになってしまった記憶があります。最近の例だと「リリカル♪りりっく」がそうで、
みけおう氏とちこたむ氏の塗りにはよく統御されていましたが、フミオ氏のそれは単に淡白な絵になってしまっていた。ほしうたと比較すれば一目瞭然です。

ただ、この作品みたいに、塗りはぞれぞれ完璧に独自流にやるというのも、CGによってはかなり悲惨に目に合う事があるようです。
エチシーンには幸いそういうものはありませんけど、違う絵師のキャラクターが集合するCGに、何枚かカオスめいたものがありました。
それに有末氏のCGだけ明らかに塗りの傾向が濃すぎるのもなんだかよくわかりませんね。今まではもっと薄かったような気がするし、
モノによっては他の原画の塗りの傾向をとっていたりと、なんだか不安定な印象を与えます。まぁ、さほど量は多くないので、問題はないとは思いますが。

さて、シナリオとともに、エロのほうも首位を争うのは美海たんと鈴香たんです。それ以外は悪くはないのですが、特によくもない。
湯月は吉乃姫との3P含めて四回と優遇されているし、描写の方も悪くは有りませんけど、如何せんシナリオ的にキャラの萌えが弱い。
綾音はエロキャラ的に結構面白いと思うし、本編終了後の三回目のエチは意外な一面が見られたのですが、これもシナリオ的に萌えが弱い。
ひなたは萌え的にはOKだけど、生憎処女を破ってはいけないという、俺脳内祖父リン憲章に引っ掛かる規制がある。まぁ、最後は破れますけどね。
もちろん、俺はじゅんにゃん大好きだぜ!とか、ロリ素また最高!ってな人には使えるかもしれませんけど、僕としてはあまりお奨めできません。

やっぱり僕としては、美海と鈴香をお奨めしますね。この二人は、萌えゲーのシナリオの流れをエロにちゃんと生かしています。
まずは、美海。一回目脚コキ>二回目処女喪失>三回目ウェイトレスエチ>四回目束縛プレイ>五回目姉妹丼
と、この若さにしては多彩な経験を積んでいますが、やはり若いということはいいですね。脳みそがとあそこが柔らかいのであたらしい事をすぐ覚えてくれます。
最初の脚コキはおっかなびっくりで、二回目の処女喪失経験は怖がっていて、僕らの下半身も申し訳ない気持でしょんぼりしていたのですが、
三回目からの急激な進化にはダーウィンもびっくりも急成長えす。まさか、お客様がいる前でカウンターの下に入り込み主人公のアレをツンイテで蝶結びとは……
自分の顔に主人公のせーえきをぶっかけた挙句、続きを求める主人公に一時間のお預けをくらわせるというのもなかなか悪女ですな。
そして、主人公が一時間後彼女の部屋に上がってみると……
ああ、処女喪失のあとの美海たんの身に何が起こったのでしょうか? 一体なにが彼女をそうさせたのか? ってか精液はあんなに簡単に乾くものなのでしょうか?
間違いなく言えることは、四回目と五回目の美海たんは我々の弱点を知り尽くしているということでしょう。
ロープに引っ掛かって絡まったなんーてぜってーウソですよ。始めからネコミミの尻尾も用意して主人公ににゃーにゃ甘えようと伺っていたに違いありません。
CGといい、ボイスといい、常に前回を上回る破壊力で我々の下半身を攻撃するこのシナリオの恐ろしさは、
フル化してエロ回想だけ見ればいいやっていう賢明な人々には決して理解できないでしょう。

美海たんがクレッシェンドでユーザーの下半身を徐々に煽り上げるとしたら、鈴香たんはアクセントの強弱で我々を誘惑してきます。
一回目処女喪失>二回目裸エプロン>三回目温泉エッチ>四回目夜這い、
と、先ほどの美海たんに比べると、家庭の主婦らしい常識的な経歴ですが、この一見普通なところが怖ろしい。
これらのエッチシーンに関しては、声優さん(井村屋ほのかさん)の貢献度が半分以上を占めているといっていいでしょう。
鈴香たんのエチシーンのエロテキストは、彼女の性格がそうであるように、ガンガン行こうぜで下半身を突きまくって、
テンポ重視で淫語を叫びまくるかぐやタイプではなく、ゆっくり突き上げながら、小さな弱い声で快感の溜息をゆっくり吐き出すタイプです。
だから、ここでは怒涛の如きエロボイスの勢いよりも、一音一音のトーンの変化の微妙なエロさが重要になってくる。
ほのかさんのここでの演技は実に素晴らしいですね。なんでもない、普通だったら適当に聞き流してもいいような「あえぎ声」の部分でさえ、
前後のエチシーンの文脈の変化に応じて声音を変化させる。あえぎ声の部分だけでも充分エロイですよこれは。
二回目の裸エプロンえっちはその典型例でしょう。最初はエッチにあまり乗り気ではない鈴香たんが、
しかし主人公の愛撫によって徐々に溶かされてなし崩しにされる堕落さ、挿入するだんになっての「がつがつって……して」という最弱音のおねだり、
最後、主人公にいっぱい中田氏された絶頂のあとの、まるでヤクでも打ったかのような
「すごい……すごいよぉ……こ、こんなの……毎日されたら……ぜったいバカになるよ……」という惚けた声を聴いて、バカになれない人は天才でしょう。
そして、バカになってしまった鈴香たんは、四回目の温泉で井村屋ほのかさんさん繋がりにより、シリアーナ・ド・レイと変身するのでした。めでたしめでたし。
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マルセルさんの「Coming×Humming!!」の感想へのレス

はじめまして。
マルセルさんの感想、興味深く拝見させて頂きました。
一点だけ質問させて下さい。

> 吉乃姫が優月を完璧に操られるという設定があるため、それを言っているのが「優月の本心」なのか「吉乃姫の策略」なのか白黒がつかないことがある。

とのことですが、吉乃姫が操っている時は立ち絵の目の色が変わるので判別可能ではありませんか?
2012年01月21日15時49分28秒
はじめまして。お返事が遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした。自分はネット引き篭もりな人間でして、いやネットに引き籠もるんじゃなくって、
この御時世なのにテレホーダイの時代かよっ!っていうくらいに、仕事関係以外でネットを見るのは一週間に三時間ぐらいの有様でして、
どうにもネットの世界のレスポンスが遅れがちになってしまいがちです。いや、べつにリア充とかそー言う話じゃなくって、よからぬ本を読んだり、よからぬ音楽を聴いたり、
よからぬ文章を垂れ流したり、よからぬちんち○を弄ったりしているうちにネットをやる暇がなくなるという……うーん、妄充?な体たらくを送っている始末であります。
ここエロ助で、活発にコミュニケーションをされているネト充(もちろん、寝取られ充実生活の略ですけどねっ。ああっ、オレのX氏がimota氏の汚い上履きをくんくか以下自粛削除)の皆さまと、
まともな付き合いができるかどうかはわかりませんけど、まぁ原始時代のサルと付き合っているんだなと言う感覚でお戯れになって下されば幸いです。

さて、質問の件ですが、本来ならばカミハミを再プレイし、当該の部分について再考した上でお答えすべきかと思いますが、
時間のというか他の嫁との関係上それができません。なので「確か、レビューを書いたときはこういう意図で書いたような……」
といった、当時の自分の意図を思い出すようなかたちの返答になってしまいますが、お許し下さいませ。
もちろん、そういった説明に対して、dovさんが再反論なさるのは自由ですし、僕も時間と他の嫁が許す限りにおいて、
まぁ一ヶ月ぐらいのスパンはありそうですが、対応したいと思います。


>吉乃姫が優月を完璧に操られるという設定があるため、それを言っているのが「優月の本心」なのか「吉乃姫の策略」なのか白黒がつかないことがある。

>>とのことですが、吉乃姫が操っている時は立ち絵の目の色が変わるので判別可能ではありませんか?

えーっと、ここらへんは実際に再プレイしてみないと繊細なところはわかりにくい問題だと思いますし、たぶん、実際に最近プレイしたであろうdovさんのほうが、そこらへんの記憶は信用できるかと思いますが、
まず、曖昧なところからいくと、確か僕がやったときの記憶では、吉乃姫が優月を目の色も変化させないレベルで、完全に操っていたと見られるシーンやそうした展開があったような気がするんですよね。
目の色の変化は誰でもわかるじゃないですか。で、それを頼りにシナリオを読んでいたら、どう考えてもこれ吉乃姫が完全に操っているじゃん、みたいなシーンがあったから、完全に操れる云々を書いたんだと思います。
たぶん、立ち絵表示で吉乃姫=優月が出てるシーンじゃなくって、シナリオの展開上のシーンでそういうところがあったように記憶しています。

それでわりと確定的なことをかいておくと、まぁ自分のミスや思い違いを糊塗するような弁解になってしまうかもしれませんけど、たぶん、目の色での人格の判別が完璧に出来るような設定だったとしても、
僕の優月シナリオの評価は大して変わらなかったと思います。まず二分法で問題をざっくり整理すれば「人格の主導権」と「優月と吉乃姫の本心」というのは基本的に別の問題です。
人格の主導権、つまりその場その場における人格を「誰が握っているのか」は、確かにヒロインの目で理解できたように思えます。ただ、その場その場の人格の移りかわりは、二人の本心までは判別できないですよね。
たとえば、吉乃姫が優月を操って主人公に好きだと言った場合には、たしかに、その場のシーンでは吉乃姫が優月を操っていることは「判別可能」ではありますが、優月が主人公を好きかどうか、
或いは吉乃姫が主人公のことを好きかどうかは、少なくとも「目の色」つまり、人格の主導権がどこにあるか?と言った点では判別が不可能でしょう。
その目の色は確かに「二人の本心を知る上で」のシナリオ上のある手かがりではありますけど、それだけで「判別可能」な点ではないし、優月シナリオも目の色だけを読解の重要なキーにはしていなかったように記憶しています。
と、なると「目の色で人格の主導権は完璧に理解できるか?」は、シナリオの理解においてそれほど重要な問題ではないように思えるんですよね。主導が完璧に理解できたのであれ、理解できないのであれ、
どちらであっても優月と吉乃姫の本心は「目の色」以外のテキストをも読まなくちゃいけないんですから。そして、いちばん重要なのはそこらへんのテキストがあんま面白くなかったと言うことでしょうか。

そこらへんはレビューでも書きましたけど、ここでも繰り返すならば、そうした主題をプロットの中心に置いているのはよくわかるんですけど、そういうプロットだけが先に進行しているようなところが否めずに、
吉乃姫や優月自身にあんまし魅力を感じることがないまま、なんか伝説がどーこーといったお話を盛り上げるために、二人の人格と本心をクルクル回しているだけって感じだったんですよね。
仮に「目の色による人格の完璧な判別」によって「ヒロインの人格と本心を巡るプロット」が、何らかの意味で奥深く感じられたとしても、基本テキストの面白さは、それで大して変わるものではないでしょうから、
僕の評価はあまり変わりそうじゃないなーというのが僕の本心です。どうも、ここらへんが進んで再プレイして検証するモチベーションを得られないところではあります。
2012年02月01日21時52分52秒
何かクシャミが止まらないが明日も仕事で風邪引いてる場合じゃないから「誰か噂してるに違いねぇ」と思うことにしたら瓢箪から駒。
しかも私の汚い上履きをX氏がくんくか、とか言われちゃ変態紳士として黙っている訳にはいかねぇ!

正しくは「imotaの汚い上履きを何故か借りることになったX氏の残り香を求めてくんかくんかするimota」だと思います。
ああでも謙虚なサリエリたる俺様が「俺の尻をなめろ」とモーツァルトなX氏に下克上するのは倒錯的で興奮しますねごめんなさい。

それ以前にKYな乱入してごめんなさいな訳ですが、しかしネト充で寝取られ充実な生活を送る『人妻交姦日記』の主人公ですら
「寝取り男から送られるDVDには愛する妻のニオイがない…!」と渇望し、ついにはベッドの下に忍び込んで浮気現場を覗いてしまう。

つまり、マルセル氏も萌えゲの桃源郷に浸りつつ、ディスプレイという絶望的な距離によってヒロインの桃の香りが遮断された現実を知り、
しかし総合エロ芸術たるエロゲの限界を超えようと悩み、マーラーやプロコフィエフというよからぬ音楽に手を染めてしまったのだ。

とまあ無理筋でクラシックな話題にして、スナイパーでの吉田秀和特集はマルセルさん的にどうだったのかなぁと聞いてみるテスト。
私的には、吉田秀和氏があそこまで敬して遠ざけられる立ち位置とは思っておらず、肩透かしながら腑に落ちたというか。
まあ私は素朴なんで、「マイナーだけど傑作じゃね?」という曲を落ち穂拾いしてくれた氏に対して勝手に同士扱いしちゃう的なー。
だってネット環境のない当時、ほんの二言三言の同意を得るために図書館を徘徊とか当たり前でしたもの。

お茶濁しに本作について触れると、温泉でシリアーナ・ド・レイと化した鈴香たんが気になって仕方ないです。
萌えゲでアナルは、バッハに回帰した新古典派の如く、いつかアブノーマル尽くしに食傷した時のご馳走としてとっておきます。
貴重な情報ありがとうございました。
2012年02月07日23時09分19秒
>>imotaさん

どうも、ご無沙汰しております。お返事が遅れてしまい大変申し訳ありません。個人的には18世紀半ばぐらいの活版印刷が発達した時代ぐらいのコミュニケーション速度がいちばん丁度良いんじゃなねぇの?と日々クレンペラーの如くローテンポな生活
に送っている身としては、ツイッターやらで何分単位で情報のやりとりをしている皆さまを見ていると、人類はどこまでCPUの周波数を上げれば気が済むのかと溜息が漏れるばかりであります。まぁ、こんな遅漏れエロゲオタクですが(なんせエロゲで
セックスするときには二時間ぐらい掛かりますかねぇ)末永く付き合って頂けると幸いです。

>>正しくは「imotaの汚い上履きを何故か借りることになったX氏の残り香を求めてくんかくんかするimota」だと思います。
>>ああでも謙虚なサリエリたる俺様が「俺の尻をなめろ」とモーツァルトなX氏に下克上するのは倒錯的で興奮しますねごめんなさい。

サリエリってなにか名前からしてNTRキャラっぽいですよね。モーツアルトほどの才能はないけど、同時代の人間の中ではモーツアルトの真の才能を見抜いていて、モーツアルトに嫉妬できるぐらいの能力は持ってしまっているぐらいの惨めさがNTRキャラっぽくっていいと思いまする。しかし、imota氏とX氏が同じ学園に通っているという設定は、マジでエロゲ化出来そうな感じがしますね。ここエロ助の有名レビュアーを、それぞれのレビュアーのファンの人に彼らをヒロイン化した原画を描いて貰って、エロ助チャリティーエロゲみたいなものを作れば結構逝けるかもしれません。彼の高潔たるX氏には七尾氏あたりに書いて貰えば雰囲気ピッタリでしょう。imotaさんは……うーん、朝青龍とか?

>>つまり、マルセル氏も萌えゲの桃源郷に浸りつつ、ディスプレイという絶望的な距離によってヒロインの桃の香りが遮断された現実を知り、しかし総合エロ芸術たるエロゲの限界を超えようと悩み、

しかし僕はNTRゲは詳しくないんですけど、そのDVDが送られてくるっていう設定はなにが良いんでしょうかねぇ。わざわざ律儀にハメハメしているところの映像を送りつける相手も相手だし、わざわざそれを見るほうも見るほうじゃないのかなぁと。
いや別にNTRゲを馬鹿にしているわけじゃないんですけど、あんまし興味のないエロシチュは冷静に見ちゃいますからシュールに感じちゃいますね(抜きゲのタイトルとかもそうですよ。「不良にハメられて受精する巨乳お母さん」とか、どこら辺がそんなにクルクルなのかようわかりません。これが「ナマズに舐められて出家する貧乳女教師」ならどうなるんでしょうか?)。って余談は兎も角、本題に入りますと、僕はエロゲをやるときにはPCに特殊プロジェクターを接続し、そんでそれをお風呂の水面に投射しますので、お湯に潜ればらくらくと画面の中に入ることが出来ますので問題ありません。水中から映像の裏面を見れば貧ぼっちゃまよろしく、ヒロインたちのハイレグパンツ状態のアナルを視姦することも出来ますし、みなもにゆらゆらと揺れるヒロインたちに目掛けて熱きセーエキを水中でぶっ放せばティッシュの手間も要らないし、お湯の温度も温まるので非常に経済的であります。スクリャーピンあと100年あとに産まれていればもっとバカなことが出来たのに、非常に残念であります
ね。。

>>マーラーやプロコフィエフというよからぬ音楽に手を染めてしまったのだ。

此方は一応真面目に答えますが、エロゲじゃなくって現実の糞ムカつくニュースやら野田首相のドヤ顔を見たりしたあとには、やっぱりマーラーやプロコの音楽がいちばん良いですね。特に311から一ヶ月後ぐらいは、ほぼ毎日彼らの音楽を聴いていました。なんつーか、現実が悪い冗談になっており、しかもそれを悪戯にひた隠そうとポポポーン!なポジティブさが席巻しているときには、彼らのよからぬ音楽が現実のBGMとして笑えるほど耳に応えてきました。ちょうど原発がメルトダウンしている
最中(そのとき現実は「日本の科学技術力は世界一だからメルトダウンなんてあり得ない!」とかいっていましたねぇ)に聞いていたのがチェリのプロ五番でして、いやぁエロゲにもああいう作品があったらいいと思うんですけどね。何の皮肉も嫌味も批評もなく、全世界の人間が一気団結して歓喜の声をあげながら凄まじいカタストロフィに突入してハッピーエンドみたいなヤツ。まぁ最近はまっているというかよく聴くのは、ベトたんの「ディアベリ変奏曲」でしょうか。この作品、随分前から敬遠していまして、というのもまぁベトたんの後期作品はかなり好きな方なんですが、このディアベリは率直に言ってワケわからねぇと申しましょうか、変奏曲マニアのベトたんがディアベリに対して「お前のクソみたいな主題をオレサマが好き勝手に弄り回しってやったぞハッハハハ感謝したまえ」と高笑いしているだけなんじゃねーのとテキトーにスルーしていたんですけど、マリア・ユージナという、まぁこの人に関してはたぶんvostokさんのほうが詳しいのでしょうけど(なんせパステルナークのマブダチでショスタコの師匠ですぜ)唯一、スターリンに真っ正面から逆らって生き残った伝説のピアニストがいます。彼女のショスタコのソナタのCDは高校生の頃から愛聴していたんですが、その他の録音はいかにもソ連製って感じの粗悪な録音が耐えられず、半ばシカトしていたんですよね。でも、最近、彼女の演奏を纏めてきく機会がありまして、特にそのディアベリの演奏を聴いて、これってひょっとしたら凄い曲なんじゃないの?と遅まきながら感心した次第であります。幸いなことに著作隣接権がきれているので、全曲版のリンクを張っておきましょうか。

http://www.youtube.com/watch?v=mJ0ofaeREuo&feature=BFa&list=PL64F1F92483B0C9B6&lf=results_video

これを聴いてからアウラだのソロコフだのいろいろと聴いている最中でして、まだ曲をある程度掴めたとも言い難い状態ですけど、しかしこのユージナたんは凄いです。「解りにくい曲はロシア人の演奏家に任せろ!」は鈴木氏の名言ですが、まさしくユージナたんはこの曲を完全に自分のものにしちゃって、聴き手になんにも疑問を抱かせることなくこの難物を、形式的に言えば一種の幻想曲のように聴かせてしまっているんですから。しかも、これが戦前のピアニストにありがちな、「ロマンティックな解釈」のように、やたらに感傷的なタッチになったりだとか、不自然にテンポを弄りましたりするような、演奏家の主観的な解釈を強く感じさせないところもなかなかに凄い。いや、もちろん「客観的な解釈」がどーこー言えるほど、僕はこの曲を聞き込んではいないんですけど、このユージナたんの演奏は「わたしがこう感じたんだからこのように弾くの文句ある?」っていうタイプの解釈(強いて言えば同年代のエリー・ナイとか)じゃなくって、曲と演奏家の間のそういうスキマを感じさせない「私は単にこの曲を弾いているだけだ」といったような、作品の核心に向けて脇目を振らず一直線に突き進んでいく芯の強さが素晴らしい。ベートーヴェンなんてシャラ臭くて聴いてらんねぇ!、というのでしたら、リスト編曲のバッハとか、モツのピアノ協奏曲あたり(これはかなりロマンティックにやっちゃってますが)が比較的音質が良いし、ホロヴィッツからリヒテルそしてウゴルスキまで、ロシア人ピアニストの必殺技であるところの展覧会の絵の魔改造演奏もご期待に敵うものと愚考します。もし、宜しければご試聴くださいませ。

http://www.youtube.com/watch?v=RxIBmbLJfv0

http://www.youtube.com/watch?v=5Wkv3tf3laI

http://www.youtube.com/watch?v=JI3HCVVajKU&feature=BFa&list=PL02BBE4BFA7B15828&lf=results_video





>>とまあ無理筋でクラシックな話題にして、スナイパーでの吉田秀和特集はマルセルさん的にどうだったのかなぁと聞いてみるテスト。

うーん、僕としてはわりと素朴に読んだといいますか、全体的にレベルが高いなぁとは思いましたね。わりとどうでも良い個人的なことでありますが、
中学生の頃に確か吉田氏が敗戦後すぐぐらいに書いた名曲300選を読んで、敗戦後すぐにショスタコ5番の正体を的確に言い当てているを見て、
評論なんて所詮はその当時の典型的なイデオロギーを尤もらしく言い換える欺瞞的な手段に過ぎないんじゃないか?とこれまた典型的なシニカル厨二病を煩っていた僕が、
世の中にもスゲぇ人はちゃんといて正体を見抜くものだなぁと偉く感心した覚えがあります。しかし、よくよく考えてみると、スナイパーの記事にもあったように、
吉田氏も戦時中は文化統制のお仕事――まぁ日本の文化統制は中国やらソ連やらナチス、いやアメリカに比べても随分ヌルイものでしたがだった(そのヌルさにはポッポポーン♪的な気持ち悪さがあるにせよ)――
をやっていたから、「強制された歓喜」みたいな感覚は普通の評論家以上に敏感だったんでしょうね。ロジェベンはまぁ仕方がないにしても、ムラヴィンスキーあたりの演奏家の評価が低いのもそのあたりが原因でしょうか。
むろん、だからといって吉田氏の批評家としての見識になにか泥を塗るお話にでもありませんが、まぁ吉田氏も時代の影響を受けた一人の批評家だったんだなぁと改めて認識した次第であります

>私的には、吉田秀和氏があそこまで敬して遠ざけられる立ち位置とは思っておらず、肩透かしながら腑に落ちたというか。
>>まあ私は素朴なんで、「マイナーだけど傑作じゃね?」という曲を落ち穂拾いしてくれた氏に対して勝手に同士扱いしちゃう的なー。

そこらへんの立ち位置の微妙さが「吉田秀和はそんなにエラいのか?」という、許氏の言葉を借りれば低脳を装った邪悪なタイトルをつけた理由ではないでしょうか。
特集の中にもありましたけど、個人に向けてアンケートを送れば「そんなに興味がない」とか「あんまし読んでない」とか、そこまで「敬して」いないコメントがわりとフツーに返ってくるんですけど、
なんといいますか「論壇的」というほど僕は論壇に詳しくはないんですが、そういう業界内部の不文律コードでは吉田氏について言及するのが、なにか躊躇われるような空気があるのは事実でしょう。
で、しかもそれには、個人の中には特に深い理由はないんですよね。普通に気軽にアンケートを送るとわりと気軽に返ってくる。でも、それが論壇だとか、まぁそういう共同体内部に入ってしまうと、
たんに「みんなが気軽に言及していないから」という理由だけで、それが不文律コードになってしまうという恐ろしさがある。だから、たぶん個人個人の感覚で言えばimotaさんのいうように、
あそこまで遠ざけられてはいないし、わりとimotaさんのように素朴に読んでいる人は沢山いるのでしょうけど(この前なんか村上春樹が吉田氏のシューベルト評論を絶賛しているのを見ましたし)、
それが何故かある共同体の中に入ると「吉田秀和がそんなにエラク」なってしまうところに、吉田秀和氏本人の問題ではなく、それを取り囲む共同体内部のほうに問題があるとは思います。
しかし、それもこの吉田秀和特集がでることによって、わりとあっけらかーんに変わってしまって、空気変わったから即言及可能みたいになってしまうところが、これまた面白いというか日本のあっぱれなところではありますが。

>>だってネット環境のない当時、ほんの二言三言の同意を得るために図書館を徘徊とか当たり前でしたもの。

あとはまぁ、いささか大仰な言い方になりますけど、そういうある種の権威のある批評家の存在が、この先どうなっていくんだろうなぁというのも大いに考えさせられました。
一昔前の僕はわりと許氏に近い考えを持っていて、批評家の権威なんてもはやゼロに近いし、この先も復活することはないだろう、とは思っていましたけど、
どうもここ最近は考えが変わってきてまして、人間はそう簡単に都合良く「衰退」しないし「動物化」もできないだろう、だから悪い方向でも良い方向でも、いや九割方は悪い方向で、
批評家の権威みたいなモノがある種の悪い冗談みたいなかたちで復活するんじゃないかなぁと考えたら、それはそれでちょっと怖い思いがしたのは事実です。

別に吉田氏のテキストが時代遅れだとか、そういうことを言いたいんじゃないし、少なくとも日本の批評に興味がある人なら吉田氏ぐらいは読んで欲しいとさえ思うんですけど、
知り合いのディスクユニオンで働いている人が、この前大学生ぐらいの男の人が、吉田氏が推薦したCDのリストをずらっと持ってきて、これ全部持ってきてくださいとか頼んだそうな。
いや、別にそういう権威に頼るのが良く無いだとか、ちゃんと全部新品で買えよwってツッコミ以前に、未だに吉田氏の推薦版が推薦版として機能してしまっていると言うことが、
僕には結構グロテスクな現象に思えます。まぁ情報化が進めば進むほどその反動として、人はある種の権威に頼らざるを得ないわけですし、別に情報化が進んでも日本の原発は絶対に安全だったんですから、
情報化が進んだところで、世の中大してかわんねーだろwっていうのもあるんですけど、それでも多かれ少なかれ変わるものはあって、昔の権威は今の時代では上のようなグロテスクな変化を被るかもしません。
そう考えると、ネット環境がなかった時代はわりと牧歌的だったのは事実でしょうね。imotaさんのエピソードは、僕が一日かけて3000円もするCDを毎月選んで買ってもらっていた小学生の時分を思い出させてくれます。
2012年03月08日00時44分40秒
ユージナのご紹介どうもありがとうございました。自分は音楽はまったくの素人なものですから、ユーチューブの演奏を聴いてもびっくりしたり出来るほどの耳がなくてマルセルさんがうらやましい。ユージナのファンだという人は知り合いにいて、僕にブローク(ショスタコーヴィチが曲を付けたこともある象徴派のスターですね)の魅力を教えてくれた方なのですが、勧められても特に聴く機会もなかったので、今回教えてもらってほとんど初めて聴いたようなものです。バフチン・サークルにいたとか、スターリン時代に修道女の格好でコンサートをやる怖いもの知らずだったとか、オリガ・フレイデンベルグ(パステルナークの友人で、構造主義が出る前に記号論的に神話件研究をしていた人)に影響を与えたとか、そんな断片的なことしか知らなかったのですが、教えていただいたリンクから飛んで見た伝記ドキュメンタリーで、哲学者で神父のフロレンスキーとも親交があったと知って驚きました。熱心な正教徒だったので当然なのかもしれませんが。戦時中の冬のコンサートでは曲の合間に日本のほっかいろで手を温めながら弾いて、聴衆のほうはみなフェルトのごつい長靴を履いてコートを着込んだまま聞き入っていたとか、時代的な背景を想像すると重苦しくならざるをえませんが、音楽自体はそんな背景とは切り離してそれだけで聴くことも可能なのはありがたいかもしれませんね。最近でた亀山さんのロシア音楽に関するエッセーの新書を読んでいるのですが、言いっぱなしの語りおろしのように勢いだけで書かれたような本で、いくら音楽だからってこんなに印象論で好きなように書いていいのかなと思うところもあるのですが、音楽について言葉で語るというのは難しいけど、自由度が高い分うまくいけば楽しいだろうなとまったくの門外漢は思ったのでした。エロゲーと関係ないことでお目汚し失礼いたしました。
2012年03月10日09時48分02秒

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