Skyさんの「殻ノ少女」の感想

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ゲームをクリアした人むけのレビューです。

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大半のエロゲはヒロインが“物語”を受け持つ。しかしイノグレの作品はヒロインが救われない話なので“黒幕”が鍵となる。そこに惹かれるものがあるかどうかが重要になるが、あまりにも歪んだ精神性に共感できず、プレイヤーはヒロインの死にカタルシスを感じられず釈然としないまま終わってしまうのではないだろうか。
 この作品のテーマでもある「偏執」を様々な人物達が抱えていることは伝わったが、それが“意図するもの”が何なのかが解らなかったというのが率直な感想。
 私的にこれがテーマかなと感じたところを、個人的な解釈で書かせていただきます。


 “悲劇だらけの世界の殻を打ち破るのは少女の微笑みなのかもしれない”
 
 あらすじにもあるこのフレーズ。結局のところ微笑んでないだろ、とそう思える。
しかしイノグレ作品は黒幕の視点で物語を見ていかないとテーマがみえてこない。今作もそうだった。

 この作品は「殻」に包まれた「少女」を作ることで、
 母親が微笑んでくれると偏執の念を抱いた間宮心爾の物語。

 冬子は四人とは違って無加工で『殻ノ少女』になる。母親に瓜二つなのだから当然ですね。それをようやく手に入れたことで母を求めた心爾の心は確かに救われたでしょう。心爾の世界(眼)では冬子は間違いなく微笑んでいるし(そう思い込んでいる?)それが必要だった。悲劇だらけの世界の殻は冬子の微笑みによって打ち破っている。

 『偏執』は人にうつる。病は再生する。
 たとえばラストの彼から卵を受け取った少年のように。
心像が偏執した『殻ノ少女』に魅入られた心爾が、自分も殻ノ少女を作ろうとしたように。あのシーンは作品のテーマ【偏執の連鎖】というものに説得力を与えるための場面ではないかと感じた。
 
 この連鎖を断ち切ることができるのは冬子だけ。
 …彼女は救いを与える崇高な存在として魅せたかった。ということではないかなと私は感じました。冬子自身も救われたと玲人が達観して話を終わらせているのは違和感がありすぎますけど。

 
 …と言ったところです。結局作品が何を伝えているのかみえてこなかったが、“芸術作品の美しさ”のようなものを描きたかったのかなと。ただ六識、心像、心爾、冬子…これらの人物の描写があまりにも足りないと思います。

 由良(カルタグラ)や久遠(ピアニッシモ)にはあったが、今回は黒幕から何か惹かれるものを感じない。心像や心爾の精神性が理解できなかった。

 しかしイノグレらしい作品だと改めて感じた。確実に魅せ方としては失敗しているとは思いますけど。主人公が物語の解説役なのはいいが、彼の推理で物語の全貌をみせ、彼の解釈で話を終わらせているのは違和感がある。変に意味を与えようとはせずに、黒幕たちをもっと掘り下げるべきではないだろうか。

 ヒロインが救われないと感じるのは当然の感情。
 煮え切らない。

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